高低差約30mを解消する工夫

円の直径が約270mと巨大であること、海上に設置されていることなどは国内でも極めて珍しく、名所化しています。
車内から見ても、地上から見ても迫力のある建造物ですが、一体これは何のためにあるのでしょうか。この建造物に関わる株式会社ゆりかもめ、東京都港湾局、首都高速道路株式会社を取材しました。

ループの構造を説明します。芝浦と台場を渡るレインボーブリッジ(正式名称:東京港連絡橋)の高さは、東京都港湾局によれば海面から約52m。対するゆりかもめの走行路は、株式会社ゆりかもめによれば地上から約10〜15mの高さ。
つまり、ゆりかもめが地上からレインボーブリッジに接続するためには、海抜を考慮しても、レインボーブリッジ端部との間の高低差約30mを上る必要があります。
この約30mという高さを直線で解消しようとすると、勾配は相当になります。同社によれば、スリップ等の危険性もあるため、これをループしながら上ることで解消しているということでした。
なお、同社担当者によると、このループについての質問はこれまでよくあり、近年も年に数回は直接の問い合わせが同社に寄せられるそう。実際に乗ったり見かけたりすると、不思議に感じられる建造物と言えそうです。


「もともと高架を走っている」というのは当たり前のようですが、あらためて考えると、高速道路はかなり高いところを走っていることになります。ここで思い出すのが、このようなループ構造は、高速道路のインターチェンジやジャンクションなどにおいて、地上と高架をつなぐ際にも用いられていることです。
実は身近なループ構造。レインボーブリッジの手前のものについてはその規模が大きいため、疑問に感じやすい面がありますが、交通の工夫として一般的なものでもあるのです。
【連載】#ふしぎなたてもの
何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。