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「メガロドンだ!」津波で全壊した自宅跡から出てきた〝歯〟の正体

津波で被災、かさ上げした自宅から見つかったのは…。

メガロドンの歯と思われる化石
メガロドンの歯と思われる化石 出典: うりゅーさん提供

目次

今月、ツイッターでなにやら大きな動物の歯のようなものの写真が投稿されました。「何の歯かわかりますか?」という投稿者の問いかけに多くの人が反応しました。発見者に話を聞くと、8年前に庭から見つかったものを大切に保管していたものであることがわかりました。そして気になる「歯」の正体を専門家に聞きました。

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津波被害、自宅再建でかさ上げ

「歯」を見つけたのは、仙台市宮城野区で飲食店を経営する阿部幸子さんです。
2011年の東日本大震災で、阿部さんの義実家は、津波の被害を受けて全壊。自宅を再建するにあたり、80センチのかさ上げが必要でした。

かさ上げに必要な土は、業者が県内各地から集めたもので、「歯」が見つかったのは、庭の土をならしていたときのことでした。

店のスタッフと一緒に土をならしていたとき、スタッフが「これって…」と阿部さんに差し出したのは縦10センチ、横6センチほどのかたまり。「明らかに石じゃないし、ギザギザしたものもあったので、「なにかの歯かな」と。みんなで『ええ?』となったのを覚えています」

見つけたスタッフは「もしかしたらなにかあるかもしれないから、家宝にしてください」とその「歯」を阿部さんに託しました。

(「歯」がみつかったあたりの地図)

店に飾り「いつか詳しい人が来たら」

その後、「歯」は店に大切に飾り、「いつか詳しい人が来たら見てもらおうと思っていた」と阿部さん。
そして今年に入り、店を訪れた一人のお客さんに「これってなんの化石かわかりますか」と「歯」を見せたところ、SNSで話題に。2万件以上の「いいね」がつき、「(約180万年前に絶滅した)メガロドンの歯では」とするリプライが多く寄せられました。

「何万年前かの生き物を触っている…ワクワク」

実は阿部さん、それまでもこの「歯」の正体が気になり、インターネットで検索したこともありました。「調べてみると、メガロドンの歯にそっくりだったので、そうじゃないかなあとは思っていました」。でもいまいち確証は持てず、「メガロドンだったら楽しいな」という思いで過ごした8年間だったといいます。

そして今回。
ツイッターで、メガロドンと推察する声があがっていることについては「めちゃくちゃうれしかったです。何万年も前の生き物を触っているっていうのがワクワクしちゃう」と声をはずませます。そして「わかるならいつごろ生きていたのかを知りたい」と話します。

専門家「メガロドンでいいと思う」

ではこの「歯」、本当にメガロドンなんでしょうか。
古脊椎動物が専門で、埼玉県立自然の博物館の学芸員もつとめた、県文化資源課の北川博道さんは、「写真をみた限り、メガロドンでいいと思う」と話します。その根拠として、「鋸歯と呼ばれる歯の端の方にあるギザギザがある」そして「大きな三角形」であることを挙げます。

メガロドンには、200本ほどの歯がありますが、今回の歯は正三角形に近いことから、「上の前の方の歯ではないか」と北川さん。

北川さんによると、宮城県はメガロドンの有名な産地でもあるそう。「仙台市内にも産地はあります。採石場などにたまたま石として入り込んだものが民家に持ち込まれた可能性が考えられます」

「メガロドンは昔から『変なもの』という認識があって、『天狗の爪』として神社に奉納されていることもありますし、縄文時代の遺跡からはアクセサリーの一部のようにしたかたちで出土することもあります。これまでも、(先人が)たまたま見つけたものを大切にし、その後、第三者がみつけるということはあったと思います」

また、阿部さんが「いつごろ生きていたものなのかが知りたい」と言っていた旨を伝えると、「結論から言うと、歯だけだとわからない」とした上で、「仮に仙台市周辺から持ってきたのであれば、数百万年前の地層があると思うので、その辺ではないでしょうか」と話します。

阿部さんの手元にあるメガロドンの歯はいま、仏壇に大事に飾っているそうです。

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