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岸田内閣が〝地味〟だった野田内閣すら超えた…世論調査で突出「DK」

誕生から2カ月過ぎても評価に戸惑い

こども食堂を視察し、試食する岸田文雄首相=2021年10月12日午後7時16分、東京都大田区、代表撮影
こども食堂を視察し、試食する岸田文雄首相=2021年10月12日午後7時16分、東京都大田区、代表撮影

目次

世論調査の質問によっては、「知らない」「わからない」と態度を明らかにしない人が出てきます。この割合を私たちは「DK」と呼んでいます。「どちらなのか、答えられない」の略語ではなく、英語の「(I) don't know」の略称です。この「DK」に目を向けると、岸田文雄内閣では、小泉純一郎内閣以降の20年に及ぶ自民党政権では見られなかった現象が起きています。この夏の参院選で国民の評価を仰ぐ岸田内閣を「DK」から切り込んでみました。(朝日新聞記者・君島浩)

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どじょうより影薄い?

賛否や意見が不明確なDKは、調査ではあまり重視されません。新聞紙上は「その他・答えない」として省略してしまうことも多いのですが、昨年10月上旬の岸田内閣発足直後の調査で、支持、不支持を聞いた質問では、DKは35%を記録しました。特に無党派層ではDKが50%と半数に達しました。

朝日新聞は、コンピューターでランダムに選んだ番号に電話をかける方式の調査を01年の小泉内閣発足以来、20年続けています。内閣発足直後の調査としては、岸田内閣の支持率は45%で、08年の麻生太郎内閣の48%を下回り、最低となりましたが、DKは11年の野田佳彦内閣の29%を超え、最高となりました。

 
 

逆にDKが最も少なかったのは小泉内閣の14%です。「自民党をぶっ壊す!」と叫び、小泉フィーバーを巻き起こしました。劇的な政権交代を果たした鳩山由紀夫内閣も、DKは15%です。この二つの内閣は支持率が78%、71%と極めて高いのも特徴です。

DKが3番目に少ないのは、麻生内閣の16%です。ただし、麻生内閣の支持率は2番目に低く、不支持率は最高の36%でした。内閣発足直後の支持率は、有権者の期待感もあり、高めに出る傾向があります。「ご祝儀相場」と言われるゆえんです。今なお「失言」が注目される麻生氏を苦々しく思う人が少なくなかったことを示していると言えますが、「キャラが立っている」という見方もできます。

どう考えたらいいのか……

これに対し、野田氏は、民主党代表選直前の世論調査の「次の首相にふさわしいのは……」という質問では、4%の支持しかなく、40%の前原誠司氏に大きく引き離され、5%の海江田万里氏にも及びませんでした。

しかし、実際の代表選では、1回目の投票で前原氏は3位に沈み、2位につけた野田氏は1位だった海江田氏を決選投票で逆転しました。地味な人柄を自認し、「どじょうが金魚のまねをしてもしょうがない」との名言を述べ、「泥臭く」「国民のために汗をかく」と強調しましたが、DKは高くなりました。

その野田内閣のDKは発足直後の29%から26%→27%→26%と微減傾向を示す一方で、不支持率は18%→26%→33%→43%と上昇し、支持率は53%→48%→40%→31%と下降。結局、1年3カ月後の衆院選で自民党に政権を奪われました。

一方、岸田氏も、自民党総裁選直前の世論調査の「次の総裁にふさわしいのは……」という質問で14%。33%の河野太郎氏、16%の石破茂氏に及びませんでした。しかし、実際の総裁選では、出馬を見送った石破氏とタッグを組んだ河野氏を破りました。

岸田氏は「発信力がない」と自ら認めるほどで、DKは内閣発足直後の35%から33%→28%→28%と、野田内閣の水準を上回っています。ただし、不支持率は20%→26%→27%→23%とやや山なりに、支持率は45%→41%→45%→49%とV字形を示しているとはいえ、大きな変化を見せていません。

これは、内閣誕生後、2カ月が過ぎても、岸田氏をどう評価したらいいのか、考えが浮かばない有権者が少なくないことを示しています。「安定」していると言えるかもしれませんが、「安全運転」かどうかは微妙です。

黙ったままでは看板倒れ

岸田首相のDKの高さは、首相肝いりの経済政策の評価にもあらわれています。

 

10月上旬の調査でDKは30%とやはり高めです。その後、DKは減っているものの、賛否が並んでしまい、有権者全体として賛成が多いとも反対が多いとも言えない状況が続いています。

対照的なのは、アベノミクスを打ち出した第2次安倍内閣です。内閣発足直後の調査と翌月の調査はともに、経済政策に「期待できる」49%、「期待できない」32%、「DK」19%で、その2カ月後には63%、21%、16%と「期待できる」が「期待できない」「DK」のそれぞれ3倍以上を占めました。

失言も名言もない岸田政権になってから、時々耳にするのは、説明や対話を大事にする「聞く力」です。昨年末の臨時国会では、18歳以下の子どもがいる世帯への10万円分の給付をめぐっては、持ち味の「聞く力」を発揮し、野党の攻撃をかわしました。しかし、経済政策の旗印となる「新しい資本主義」の具体像などは、明らかになっていません。国民からすれば、「どう期待すればいいの?」という思いが募りそうです。政権が黙ったままでは、看板倒れになりかねず、参院選を駆け抜けられるかどうかは見通せません。

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