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IT・科学

原発推進「賛成」62%だった日本 86年に賛否が逆転、何が起きた?

福島第一の事故から10年、変わらぬ警戒感

廃虚プリピャチで復元された幼稚園の休憩室。1986年、この場所で起きたのは……=2021年4月22日、国末憲人撮影
廃虚プリピャチで復元された幼稚園の休憩室。1986年、この場所で起きたのは……=2021年4月22日、国末憲人撮影 出典: 朝日新聞

目次

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から間もなく11年になります。かつては原子力発電の推進に賛成する人が6割を占めた年もありましたが、2021年2月の調査では、停止中の原子力発電の再開に反対する人が53%で、賛成の32%を上回りました。事故から10年以上経っても、原発に対する信頼感は回復していないようです。(朝日新聞記者・藤方聡)

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停止中の原発運転の再開に「反対」53%

21年2月の全国定例世論調査(電話)で、「あなたは、いま停止している原子力発電所の運転を再開することに、賛成ですか」と尋ねました。回答は、「賛成」32%、「反対」53%。男女別や年代別で大きな違いがみられました。男性では「賛成」45%、「反対」44%と割れましたが、女性は「賛成」20%に対し、「反対」61%。

年代別でみると、18~29歳では、「賛成」45%、「反対」41%でしたが、70歳以上では、「賛成」23%、「反対」58%でした。

 

13年以降、過半数が停止中の原発再開に「反対」

朝日新聞では、調査対象や方法が異なりますが、2013年以降、毎年、同じ質問で、停止中の原発運転再開の是非を尋ねています(電話)。「反対」が最も多かった調査は、18年2月の調査で、「反対」61%、「賛成」27%。「賛成」が3割台となる調査もありますが、13年以降、すべての調査で、過半数が停止中の原発運転再開に「反対」となっています。

緩やかですが、「賛成」が微増、「反対」が微減ですが、大きな傾向は変わっていません。原発運転再開に対する世論の厳しい視線が浮き彫りになっています。

 

かつては原子力発電推進に「賛成」6割

調査手法が異なりますが、朝日新聞では、1978年から2008年まで、「これからのエネルギー源として原子力発電を推進することに賛成ですか。反対ですか」と尋ねています。

78年から84年までは「賛成」が「反対」を上回っていました。最も「賛成」が多かったのは、79年12月の調査(面接)で、「賛成」62%が、「反対」21%を大幅に上回っていました。81年までは過半数が原子力発電の推進に「賛成」していました。

ところが、86年8月の調査(面接)で賛否が入れ替わります。「賛成」34%に対し、「反対」41%。この年の4月、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で、深刻な事故が発生しました。原子力発電に対する信頼感が大きく揺らいだことが調査の上でも読み取れます。

 

チェルノブイリ原子力発電所の事故から20年以上経った2008年の調査(郵送)では、賛否が入れ替わり、賛成が多くなりましたが、推進「賛成」は過半数には届きませんでした。

北朝鮮が核ミサイル開発、弾道ミサイル発射など、日本をとりまく東アジアの安全保障環境は年々厳しさを増していますが、広島、長崎への原爆投下の記憶があるためでしょうか、原子力の兵器への利用には、国民の大多数が「反対」しています。

一方、発電など原子力の平和利用には、一定の理解を示す世論が存在し、かつては原子力発電の推進に「賛成」が多数を占めた時期もありました。東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年以上が経ちました。事故の記憶が次第に薄れる中、運転再開に向けた世論がどう変化するのか。事故の教訓を真摯(しんし)に考え、事故の後に生まれた世代に伝えていくことが求められます。

チェルノブイリ原発事故で廃虚と化した街プリピャチのホテル・ポリーシャ最上階からチェルノブイリ原発を望む。現在はもう、この場所には上がれない。原発も2016年に完成したシェルターに覆われ、外部からは見えなくなった=国末憲人撮影
チェルノブイリ原発事故で廃虚と化した街プリピャチのホテル・ポリーシャ最上階からチェルノブイリ原発を望む。現在はもう、この場所には上がれない。原発も2016年に完成したシェルターに覆われ、外部からは見えなくなった=国末憲人撮影 出典: 朝日新聞
 
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