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連載

#116 #父親のモヤモヤ

子育てアプリにパパモード、見直した妊娠期の「飲み会連絡」の文言

夫婦の「情報格差」をなくしたい。そう思ってアプリを活用する父親もいます。

髙橋諒さん(左)と長男の公太ちゃん=髙橋さん提供
髙橋諒さん(左)と長男の公太ちゃん=髙橋さん提供

目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

妻の妊娠期や出産直後から、子育てに対する夫婦間の意識のズレが大きくなっているのではないか――。そんな危機感を抱きながら子育てする父親を取材しました。

山形県に住む団体職員の髙橋諒さん(28)は今年2月、長男を授かりました。その後、8週間の育休を取得し、職場に復帰。妻は現在、育休中です。


 
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「離乳食は3回に」 アプリで確認

髙橋さんは平日、午前6時半に自宅を出発し、車で1時間半かけて職場へ向かいます。始業までのひととき、スマホにインストールした子育てアプリに目を通すのが日課です。

1日2回程度だった離乳食は、2カ月ほどすると3回に。昼寝は1日1回に――。アプリには長男の生年月日を入力。成長の目安に関する情報などを確認します。

「赤ちゃんの成長は早いです。個人差が大きいことは理解しつつ、親として今、そして少し先にどう関わればよいかが知りたいです。知識の『入り口』としてアプリを使っています」

夫婦の「情報格差」を生まないように

髙橋さんが子育てアプリを活用するようになったのは、夫婦間で子育ての「情報格差」が生まれないようにしたいと考えたからです。

「妊娠すれば、妻の体調は変わり、胎児もどんどん大きくなります。この間、夫が無自覚だと意識のズレが積み重なります。『任せきり』の子育てになってしまうことを恐れました」

妊娠期は、妊婦の体調変化や胎児の成長の様子、出産後に準備することなどを確認。生まれた後は、赤ちゃんの成長に加え、「100日祝い」など、節目にどんな風習があるのかも調べています。

髙橋さんは、ことあるごとに妻に尋ねるわけにもいかず、自ら情報を集める必要性を感じたそうです。活用するアプリは、「日めくりカレンダー」のように日々情報が更新され、髙橋さんの求めるペースとも合っていました。

「パパモードがほしい」の声で開発

髙橋さんが活用するアプリは、エバーセンス(東京)が2016年から提供する「パパninaru」です。

同社では、主に母親を想定したアプリ「ninaru」を前年にリリース。「パパモードがほしい」との声を受け、父親向けのアプリを開発したそうです。

アプリ担当の三木悠輝さん(32)は「夫婦でのコミュニケーションにつながれば」と話します。

パパninaruの画面。「今日の赤ちゃん」「今日のパパへ」「先輩パパのひとこと」といったメッセージが日替わりで表示される=エバーセンス提供
パパninaruの画面。「今日の赤ちゃん」「今日のパパへ」「先輩パパのひとこと」といったメッセージが日替わりで表示される=エバーセンス提供 出典:エバーセンス

妊娠期から体調の変化が伴う妻に対し、夫は意識の変化が起こりづらい場合もあります。アプリを通じて夫が「気づき」を得ることで、夫婦間の情報のでこぼこをなくす狙いがあるとします。

アプリは無料。「妊娠モード」と「育児モード」があり4歳まで使えます。

子どもの誕生日を入れて使うため、「今日の赤ちゃん」「今日のパパへ」「先輩パパのひとこと」といったメッセージが日替わりで表示されます。ほかにも、子育ての制度や行事、保育園や幼稚園の基礎知識などについても調べられます。提供する情報は、医師や管理栄養士ら専門家の監修を受けているとします。

つわり中は食べ物だけでなく、香りにも敏感になります〟(妊娠61日:今日のパパへ)

〝自分が風邪でダウン…。ママにうつったら大変!うがい・手洗いを徹底しよう〟(妊娠107日:先輩パパのひとこと)

〝友達は保育園の見学を始めたみたい。ちゃんと入園できるか心配だな…〟(妊娠184日:ママのきもち)

〝産道を通り抜けられるように、手足も折りたたんで準備万端です〟(妊娠266日:今日の赤ちゃん)
エバーセンス

妊娠期の飲み会、マメに連絡を! → 控えよう

男性の子育てに対する意識の変化を反映し、アプリで表示されるメッセージも見直されています。

例えば、かつては、妻の妊娠期に「飲み会などで帰りが遅くなるときは、今までに増してマメに連絡を!」というメッセージが表示されていました。しかし、ユーザーの声も参考に、「妊娠中はなにが起こるかわかりません。いつでもサポートできるよう、飲み会は控えましょう」に変わりました。

「パパninaru」では、子育て情報をまとめた記事「パパぺディア」も配信している=エバーセンス提供
「パパninaru」では、子育て情報をまとめた記事「パパぺディア」も配信している=エバーセンス提供 出典:エバーセンス

「妊娠モード」の月間ユーザーが10月に過去最高を記録するなど、アプリも受け入れられています。

担当の三木さんは「ユーザーの意見を取り入れながら、父親の行動をサポートできるアプリでありたいと思います」と話します。

あなたのモヤモヤ、お寄せください

記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(dkh@asahi.com)で、朝日新聞「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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