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連載

#114 #父親のモヤモヤ

広島のワーママ応援本〝あるページ〟で台無しに 男性育児は手伝い?

「感謝と配慮を忘れずに!」のずれ感

Twitter上で批判を集めた広島県の「働く女性応援よくばりハンドブック」=広島県のホームページより
Twitter上で批判を集めた広島県の「働く女性応援よくばりハンドブック」=広島県のホームページより

目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

育児・介護休業法や労働基準法などから女性労働者に関係する条文や、支援制度をまとめた広島県の冊子「働く女性応援よくばりハンドブック」がTwitter上で批判を集めました。仕事と家庭の両立を目指すことを「よくばり」と表現していることや、「夜泣きがうるさくても我慢」「多少は手伝っている」などと描かれている父親像に、育児に積極的な男性も違和感を抱いています。
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パパも子育て当事者なのに

ハンドブックは2014年度に発行され、法改正などに合わせてこれまでに3回改訂されています。最後に改訂されたのは昨年2月ですが、その冊子を11月27日に広島県のTwitterが紹介したところ、5千以上の引用リツイートがされ、多くが批判的な内容となっています。

「労働に関する法律や男性育休の現状、妊娠が判明したときに必要な手続きや利用できる制度などがまとまっているのに、あるページが台無しにしています」

9歳の息子と5歳の娘を育てる小林晶さん(45)が話すのは、「ワーキングママの心構え 同僚・周囲への感謝と配慮を忘れずに!」と書かれたページです。

女性が仕事と育児・家事を両立させるために「周囲のサポートが欠かせない」と説き、同僚や上司、夫、祖父母から「こんな風に思われているかも」という心の声を描いています。批判を集めている一つが夫の声です。

「私ばっかり家事と育児をしている」というけど、こっちだって仕事で疲れてるんだよね。夜泣きがうるさくても我慢してるし、多少は手伝っているんだから、勘弁してほしいな……
「働く女性応援よくばりハンドブック」より

システムエンジニアとして働く小林さんは、娘の誕生とともに10カ月の育休を取りました。そもそも父親が「配慮される立場」であることに違和感を覚えたといいます。

「パパもともに子育てをする当事者なのに、公式の冊子でそうした存在になっていないのは『女は子育て、男は働け』という古い価値観を引きずっているようで不本意です」

小林さんが違和感を覚えたページ。父親も「配慮される立場」として描かれている=広島県のホームページ
小林さんが違和感を覚えたページ。父親も「配慮される立場」として描かれている=広島県のホームページ

「父親は子育てより仕事」意識の人は今も

小林さんが育休期間中、ママ友と会話するなかで感じたのが男性の育児参加の必要性です。

仕事をしているのはお互い様で、夜泣きも自分の子なのだから対応するのが当たり前。子育てを「手伝う」という感覚はありません。子育て当事者として「男性の家庭進出」の機運を盛り上げていこうと、市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」の活動にも携わっています。

一方、「父親は子育てより仕事」といった意識の人に出会うことはいまだにあるといいます。

「子育てに関わったことがない人が仕事の会議を18時から設定したり、定時退社しようとすると『(残って)仕事していかないの?』と声をかけられたり。そうしたとき、父親が子育ての当事者として認識されていないと感じます」

冊子の表紙につづられた「仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現のために」という表現にも引っかかりを感じたという小林さん。「仕事と暮らしの両立は欲張りではなく、今は当たり前のライフスタイルだと思います。母親も父親も子育てをしながら働くという立場に立って、行政はメッセージを発信してほしいです」

広島県「見直し含め考える」

広島県によると、「よくばり」という表現は元々、県の将来像を描く総合計画に入っていたものです。担当者は「仕事と暮らしのどちらかを諦めるということではなく、両方を追求し、自らの希望をかなえられる社会を目指す思いが込められています」と話し、ハンドブックも同様の表現にしたそうです。小林さんが指摘したページについても、仕事と子育てに前向きな当事者たちから意見があったといいます。

「今回、色々な意見が出たことは真摯に受け止めています。冊子の内容については、社会情勢や価値観の変化も踏まえ、改めて見直しすることも含めて考えていきたいです」

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記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(dkh@asahi.com)で、朝日新聞「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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