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維新に投票したら格差は解消する? 松井さんに若者政策を聞いてみた
あくまで野党の立場にこだわる理由
大阪で教育無償化を実現し、国政でもその存在感を示してきた日本維新の会。衆議院議員選挙を前に「日本大改革プラン」を発表し、政府が国民に一定額の現金を毎月無条件で支給する「ベーシックインカム(BI、最低所得保障)」の導入を掲げるなど格差解消を目指すとしています。そもそも日本維新の会とはどんな政党なのか、若者政策としてはどんなことを考えているのか、松井一郎(まつい・いちろう)代表にYouTubeたかまつななチャンネルで聞きました。
――まず、日本維新の会がいま一番大事にしている理念はなんですか?
これから日本は超高齢化社会に入っていくので、社会保障を含めて持続可能な日本を作っていきたいということ。それと、一部の人たちに既得権という形で優遇・厚遇され過ぎているところがあるので、すべての納税者が納得できるような税金の使い方に変えていきたいということです。
――維新は今までの政党と何が違うんでしょうか?
まず既得権益打破です。日本の中で一番優遇・厚遇されているのは政治家なんですよ。特に国会議員。日本で領収書のいらない経費をもらえているのは国会議員だけです。これが月100万円の文書通信交通滞在費。1人あたり年間1200万円。領収書がなかったら、これはもうお小遣いやからね。これが税金で支給されると。そういう形で一番優遇・厚遇されている人たちが日本の税金の使い方を決めていく。
だからそういう状況にメスを入れていこうとすれば、まず議員の身分を変えないと。我々は、大阪維新の会というグループからスタートしているけど、徹底的に議員の身分についてはメスを入れてきました。例えば、いま普通の公務員で、大学を出て役所に就職する。そこで40年働いてだいたい大阪市で2500万から3000万ぐらい。
ところが、選挙で選ばれて知事や市長になると、1期4年で4300万くらいもらうわけ。退職金ももらえる。だから納税者が当たり前と思うような形に政治家の身分も変えていくというのが、我々の考え方です。僕も知事を2期やって、いま市長ですけど、報酬は4割カットで、退職金はなしです。
――疑問に思うのが、政治家の数や給料を減らすことは政治がよくなることに本当につながるのかということです。政治家になるのもリスクじゃないですか。供託金を含めて選挙にはお金もかかるし、今の職を投げ打って政治家になるのは大変なことだと思います。あまりに議員さんの給料が低いと政治家に憧れがなくなり、なり手がいなくなったりしないですか?
それを実際に実行してきているのが我々の政党。大阪維新の会で全国で初めて2011年に議員の優遇・厚遇にメスを入れることをスタートしたんですね。
大阪府議会議員の給料は3割カット、議員定数は2割カット。その結果、給料は日本の都道府県議会の中で一番少ないけど、それでも1000万あるの。いま日本の国民の雇用者所得の平均は550万円ぐらいかな。十分生活はできるでしょと。
定数についても、昔は政治家が地域の声を聞いて行政に伝えることが一つの役割だったけど、いま、政治家の数が多少減っても、情報伝達の技術、テクノロジーが進化する中で、皆さんの声は十分聞こえます。昭和の時代の数はもう必要ありませんね。
――議員の待遇を変えたとして、その上で、最終的にはどのような日本にしていくのが理想なんですか?
役割分担を明確にすることです。国の役割と都道府県の役割。一番重要なのは、基礎自治体、市町村の役割。コロナ対策にしても、今は国が権限と財源を持ってやっていますが、市民のニーズを一番取っているのは市町村です。
だから、権限とお金を市町村に渡して、国の役割は都道府県や自治体ではできない外交と防衛、通貨の製造にする。地域の活性化や経済政策についても都市部と農村部では入れるところが全然違う。それを、国が霞ヶ関で一律に決めるのは時代遅れだと思います。都道府県は道州制という形にしていきたい。
――地方分権を進めていくということですね。衆院選は国政の選挙です。国政政党としての日本維新の会の役割は、どこにあるのでしょう?
地方分権を進めるためには国の法律も変えなければならないし、地方に権限と財源を移す決定をするのは国会なわけです。だから、分権改革をやるために国会である程度の力を持ちたいと思っています。
――地域政党から国政に進出されましたけど、今のところ手応えはどうですか?
地域政党からスタートして10年で、我々は政府に対してある一定程度の力を持つことができました。例えば教育の無償化は、もともと大阪からスタートしたんです。橋下徹さんが知事時代に、まず私立高校の無償化をした。
僕が知事になったときに、その施策を拡充させた。それから幼稚園・保育園の教育費無償化。これも大阪でスタートさせた。大阪で実現できたことをなぜ国全体に広げないのかと、安倍総理時代に党首討論などいろいろなところで総理にぶつけたところ、いいことをやっているね、やろうじゃないかと全国に広がりました。
今、大阪だと幼稚園・保育園から高校出るまで無償です。大阪府立大学と大阪市立大学は来年の4月に大阪公立大学として新しい大学になりますが、大阪府民は無償ですよ。だから、大阪で子育てをして公立大学に入れば教育費はかからずに子育てができる。そういうことを日本中に広げたいと思っています。
――野党ではなく与党の方が実現できることが多いと考えると、連立政権を組むことも選択肢としてはありますか?
連立政権なんていうのは一切考えていません。少数で閣内に入ったところで、予算に反対することはできないから。我々は是々非々でおかしいところには反対していく。与党の一員として中にいるとそれはできません。
――維新はこれからどのように支持基盤を広げていこうと考えていますか?
どこかの団体にお世話になると、そちらを向いて政治するようになるから、我々は普通の人たち、納税者の感覚で政治をやりたいと思っています。でも例えば医師会、歯科医師会という組織もあるし、連合という組合組織もある。その人たちもみんな納税者だから、我々は納税者の目線で行政の運営をしていきたいと思います。
――衆議院選挙を控えて、どの政党も若者政策を打ち出していますが、ほかの政策に比べて優先順位が上がらないことが課題だという声を若手議員の方々から多く聞きました。どうしたら大阪のように若い世代のための政策が全国で実現できると思いますか?
我々が勢力を伸ばすというのが一番かなと思いますね。これから若い人は世界での競争になってくる。そこで一番重要なのは、教育です。家庭の格差が教育格差にならないように。
そのためには教育無償化、みんな豊かになってほしい。結局人間というのは、まず自分のことができて、その後に人のお世話もできるわけです。自分のこともできないのに、人のお世話はできないでしょ。だからまず若い人に豊かになってもらうためには、ツールとして教育は絶対に必要なわけです。税でそこを通していくのは、まさに持続可能な国になるための手段だと思います。
――政治が先導して持続可能な社会を作るということにぜひ期待したいです。そのためには維新の議席が伸びることが必要だということですが、若者の間では橋下さんへの待望論も多いのではないでしょうか。復帰は厳しいでしょうか?
厳しいやろうね。個人的な利益はないし、批判もされるし、報酬もバサッとカットしているし、プライベートはないし。僕も、もういい加減やめたいと思ってやってきているので。2期8年もやればもう辞めたいと思うのよ。
それに、ずっと政治家でいたいと思うと、どの年代層にも、あちらこちらのさまざまな団体の人たち全てに対してもいい顔をしたくなる。でもそれは無理なんですよ。決められた税収入の中でやっていくわけで。
――いろいろしんどいことがあるんですね。
橋下さんにしても僕にしても、家族との私生活もあるわけだから。特に彼の場合は子どもが7人もいてね。僕らは家族を含めていろいろと誹謗中傷されたり、攻撃されたり。僕のことをボウガンで射殺するとネットで言われたこともあった。自分のことはまだいいけどね、家族のこととか言われると精神的なダメージもあるから。ある年月が経つと「もうやることやったから、次の人、やってよ」となってくるよね。
――国政選挙で若い人が維新に票を入れたらどんなメリットがあるのかお聞きしたいです。私は東京に住んでいるんですけど、大阪で強い維新に一票を託したらどうなりますか?
この一回の選挙で、来年、再来年に全国の若い人の生活が劇的に変わるとまでは言えないけど、教育無償化は我々が政府を動かしたと思っています。10年の間に、僕らはずっと教育無償化を言い続けている。
東京は完全無償までは行っていない。私立高校によって授業料が高いところと安いところがあるから、授業料が無償になっているところもあれば、自己負担があるところもあるはずですよ。大阪の場合はそれも合わせたのでね。どこの学校に行っても無償です。
――ちなみに次はどういったことをやりたいとお考えですか?
格差解消をなんとかしていこうと思っている。まずは低所得者にはベーシックインカムのように、一人あたりいくらというのをやりたい。ただしそれは、働いて儲かってきたら、税は払ってもらう。
例えば、やりがいを持てなくてもしょうがないから仕事をやっている人に対して、ある程度最低保障があれば、自分がやりたいことにチャレンジしていけるようにしたい。
――セーフティーネットがあるからこそ安心してチャレンジできるということですね。今の制度でも生活保護がありますが、なぜベーシックインカムが必要なんですか?
生活保護は、預貯金がいくらあったらだめだとかいろいろと条件や制約があるじゃない。働くと金額を減らされたり保護を止められたりする。でもベーシックインカムはそういうことはない。逆にいうと、生活保護を選ぶ人が少なくなる。給付付き税額控除というのが正しい言い方かもしれない。
例えばひとり親家庭で子どもが3人いる場合は、4人分の給付があるわけだから、子どもたちの手が離れてくれば、働ける。生活保護だったら働いた瞬間に、保護の金額は落ちるけど、(ベーシックインカムの場合は)落ちないからね。さらに子どもたちが育って大成功したら、今度はその人たちは他の人たちを支えるために税金を納めてもらうことになる。
――最後に、選挙も近いですが、若い人は日本維新の会に入れるべきでしょうか?
入れてもらいたいと思うね。我々は持続可能な国、次の世代のためにいろいろなことを変えてきたので。僕らの政党は国においては少数だから、行政を動かすとか、直接予算を組む力はないけど、大阪ではそれをやってきたので。大阪でやっていることを全国に広げたいと思うのであれば、ぜひ応援してもらいたいと思います。
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