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連載

#103 ○○の世論

無党派層、わかりやすい「菅離れ」現状維持も3割…不満の行き先は?

内閣発足から1年の間に起きた〝異変〟

首相官邸に入り、汗をぬぐう菅義偉首相=2021年8月26日午前8時25分、首相官邸、上田幸一撮影
首相官邸に入り、汗をぬぐう菅義偉首相=2021年8月26日午前8時25分、首相官邸、上田幸一撮影

目次

菅義偉内閣の発足から、まもなく1年です。この間に朝日新聞が行った全国電話世論調査を分析すると、特定の支持政党を持たない無党派層に異変が起きています。間近に迫る衆院選に影響を与えそうです。(朝日新聞記者・磯部佳孝)

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膨らむ無党派層

無党派層とは、世論調査で支持政党を尋ねた際に、「支持する政党はない」と「答えない・分からない」と回答した人を合わせた数字です。

菅内閣が発足した2020年9月以降の政党支持率の推移をみてみます。

 

2020年9月調査で無党派層は45%でした。その後、2021年1月に5割を超え、8月は55%に増えました。一方、自民党の支持率は2020年9月に41%だったのが、2021年8月には32%に減りました。野党第1党の立憲民主党の支持率は2020年9月の6%からほぼ変わらず、ほかの政党の支持率にも大きな変化はありません。自民支持層の一部が無党派層になる現象がみてとれます。

次に、無党派層の菅内閣支持率をみてみましょう。

 

無党派層の内閣支持率は2020年9月に51%と好スタートしたものの、翌月に37%に急落。2021年1月には、16%に落ち込みました。その後も不支持率が支持率を大きく上回る傾向は変わらないまま、2021年8月の支持率は15%でした。

この背景には、新型コロナウイルスの政府対応への厳しい評価があります。

菅内閣発足直後の調査で、「新型コロナウイルスをめぐる菅首相の取り組みに期待できますか」と聞いたところ、無党派層の56%が「期待できる」と答え、「期待できない」は24%でした。無党派層の菅首相に対する期待値は当初高かったのです。

ところが、菅首相が昨年12月に観光支援策「Go To トラベル」の対処でつまずくと、政府対応への評価は一転します。それまで、政府対応を「評価する」「評価しない」が割れていた無党派層では、昨年12月に「評価する」が25%に急落、「評価しない」は63%に達しました。その後も「評価しない」が過半数を大きく上回る傾向は続き、今年8月には無党派層の73%が「評価しない」と答えました。

衆院選の投票先にも変化

自民支持層の一部の無党派層化と無党派層の「菅離れ」は、秋に迫る衆院選での無党派層の投票行動にも影響が出ています。

 

「仮に今、衆院選の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか」との質問に、無党派層で「自民党」と答えた人は2020年9月33%→2021年8月16%に減り、同11%→同16%に増えた「立憲民主党」と並びました。一方で、「答えない・分からない」が同28%→同42%に急増しています。

たしかに、無党派層の「菅離れ」は「自民離れ」につながっているようです。しかし、無党派層の内閣支持率が発足以来最低の15%になった今年8月の時点でさえ、「答えない・分からない」が多数派を占めていることからは、無党派層にとって、立憲が自民に代わる選択肢とは見られていないとも言えそうです。

行き場のない不満

いまの衆議院の勢力図は、自民と公明の与党が圧倒的な多数を占めています。次の衆院選では、この勢力図がどのように変わるかが最大の焦点となっています。

8月調査で、「今度の衆院選で、自民党と公明党の与党が、議席を増やした方がよいと思いますか。野党が議席を増やした方がよいと思いますか。それとも、与党と野党の議席は、今とあまり変わらないままがよいと思いますか」と聞きました。

 

全体では、「野党が議席を増やした方がよい」37%、「与党と野党の議席は今とあまり変わらないままがよい」34%、「自民と公明の与党が議席を増やした方がよい」15%だったのに対し、無党派層では、「野党が議席を増やした方がよい」42%、「与党と野党の議席は今とあまり変わらないままがよい」31%、「自民と公明の与党が議席を増やした方がよい」8%でした。

全体と比べると、無党派層では「野党が議席を増やした方がよい」が多めで、「与党が議席を増やした方がよい」は少なめでした。ただ、「今とあまり変わらないままがよい」が3割を超している点は全体と共通しています。

政治はコロナ禍に右往左往し、政治の役割であるはずの出口戦略を国民に示せずにいます。本来であれば、与野党が国会で出口戦略を議論し、国民にその道筋を示さなければなりません。しかし、与党が野党の召集要求に応じず、国会は不定期に数日間だけ開かれるだけです。

「野党が議席を増やした方がよい」が多数派を占めるものの、3割あまりが与党多数の現状維持を望む数字をみると、無党派層は、選挙では野党に勝ってほしいけど、与党から野党への政権交代を期待しているわけでもないという傾向がみてとれます。機能不全を起こしている政治に、やり場のない不満を抱えているようです。

無党派層の不満に、政治はどう応えるのか。そして、無党派層は今度の衆院選で、どんな審判を下すのでしょうか。

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