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#98 ○○の世論

五輪、喜べない都民 世論調査で74%が「安心・安全の大会できない」

コロナ対策の評価も全国より〝辛口〟

太陽が照りつける国立競技場周辺=2021年7月16日午前9時58分、東京都新宿区、細川卓撮影
太陽が照りつける国立競技場周辺=2021年7月16日午前9時58分、東京都新宿区、細川卓撮影 出典: 朝日新聞

目次

緊急事態宣言下の東京で、オリンピックが開幕しました。新型コロナウイルスの新規感染者が連日1000人を超える中、「当事者」の東京都民は、政府のコロナ対策、そして五輪開幕をどう受け止めているのでしょうか。開幕直前の7月17、18日に実施した全国世論調査の結果から、分析してみました。(朝日新聞記者・風間裕之)

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政府のコロナ対応「評価しない」74%

「新型コロナウイルスを巡るこれまでの政府の対応を評価しますか」。この質問に「評価する」と答えた東京都民はわずか18%。74%が「評価しない」と答えました。全国では、「評価する」26%、「評価しない」65%でしたので、東京の方が〝辛口〟でした。

 

同じ質問は6月調査でもしていますが、東京では「評価する」37%、「評価しない」57%でした。この1カ月で都民の評価は大きく下がっています。

政府がコロナ対策の「決め手」と強調するワクチン接種への評価も微妙な結果でした。ワクチン接種に関する政府の取り組みを「評価する」都民は、「大いに」「ある程度」合わせて49%。全国では54%が「評価する」と答えたのと比べて、やや低めでした。

ワクチンを巡っては、自治体や職場に希望する量が届かず、予約を停止するところも出ています。この問題に対する政府の「責任は大きい」と答えた都民は67%(全国は63%)に達しました。

4度の緊急事態「効果なし」も74%

東京では7月12日、4度目の緊急事態宣言が出されました。今回の宣言が「感染拡大の防止にどのくらい効果があると思いますか」と聞くと、「効果がある」と答えた東京都民は、「大いに」「ある程度」合わせて26%。「あまり」「全く」合わせた「効果はない」が74%でした。

全国でも「効果がある」33%、「効果はない」66%と効果を疑問視する声は多かったのですが、対象地域の東京で、一層、効果に懐疑的な回答が目立ちます。

 

前回、3度目の緊急事態宣言ではどうだったのでしょうか。

5月調査で、同様の質問をした時の都民の回答は「効果がある」36%、「効果はない」64%でした。「効果はない」が3回目64%→今回74%と増えていることが分かります。

今年に入り、東京では宣言が解除されたと思ったらまた宣言、が繰り返されてきました。3度目が解除されたのは6月20日で1カ月ももたずに4度目。その「疲れ」を都民は、ほかの道府県民以上に感じ、「慣れ」てしまっているのかもしれません。

効果が薄れることは、政府も想定したのでしょう。飲食店での酒類の提供自粛を徹底させようと、金融機関や酒販売業者を通じた対策強化を打ち出しましたが、批判を受けて撤回しました。一連の対応で、菅内閣への不信感が「高まった」という都民も53%(全国は51%)に上りました。

安全、安心「できない」74%

東京の新規感染者数は、調査前日の7月16日で1271人。「第5波」の中での五輪開幕を都民は、どうみているのでしょうか。

この夏にオリンピック・パラリンピックを開くことに「賛成」は30%で、「反対」は58%に上りました。全国では賛成33%、反対55%でしたから、開催地東京の方がやや反対が多めでした。

また、無観客での実施になったことは「よかった」と思う都民は68%で「よくなかった」の19%を大きく上回りました。ただ、こちらは全国の76%に比べると、低めです。会場で見ることを楽しみにしていた人や、会場周辺がにぎわうことに期待していた都民も一定数いたのかもしれません。

 

今回のオリンピック・パラリンピックが、菅首相の繰り返し述べたように「安全、安心の大会」には「できない」と思う都民は74%(全国は68%)に達しました。「できる」はわずか17%(同21%)でした。

政府の発表では、7月19日現在、東京都民のワクチン接種率は1回目で26.74%、2回目はまだ14.98%です。パンデミックが収まらない中での「祭典」を手放しで歓迎できない東京都民の複雑な思いが、透けてみえるようです。

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