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お金と仕事

看護師から専業主婦へ 夫の転勤先に帯同、引っ越し先で〝ギャップ〟

奨学金は、貯金から切り崩し…

イラストの中では「転妻」の苦悩にふれるものも=こまつさん提供
イラストの中では「転妻」の苦悩にふれるものも=こまつさん提供

目次

3割以上の企業が「正社員のほとんどが転勤の可能性がある」と答えた調査があるなど、身近にある転勤。制度をめぐっては、家族の事情などに配慮できていないなどといった否定的な意見も表に出てくるようになりました。結婚を機に、転勤のある配偶者に帯同した25歳の女性は、キャリアへの不安と同時に経済的な不安も感じると明かします。

看護師だった25歳が…

専業主婦のこまつさん(25)は、昨年春に夫の転勤に帯同して北陸地方に引っ越しました。
大学を卒業後、看護師として働いていた2024年秋、「北陸地方への転勤がある。付いてきてほしい」と夫から伝えられ結婚を決めました。

当時二人が住んでいたのは関西地方で、離れて暮らす場合は数時間かけて行き来することになり、こまつさんにとってそれは現実的ではありませんでした。
「不安はありましたが、一緒にいることを優先した結果でした」

当時こまつさんは、介護施設で看護師として働いていました。ただ、転勤帯同を機に、引っ越した先では新たな職場にチャレンジしたいと、希望を持って転職活動をしたといいます。

簡単ではなかった転職活動

ただ、転職活動は容易ではありませんでした。転居前の通勤範囲内でこまつさんの希望する条件で求人を検索すると「無数にあった」一方で、転居先の都市での求人はわずか1件。その1件をたよりに面接を受け、採用が決まりました。

昨年4月に転居し、これまでは必要なかった運転免許取得のために教習所に通い、転職先での勤務は5月から開始しました。

ところが、ところが、そこでは働き方の慣習をめぐって「ギャップをすごく感じた」と離職。その後、別の勤め先を見つけたものの職場環境が原因で離職。昨年11月からは専業主婦となりました。

こまつさんがインスタで投稿しているイラスト=こまつさん提供
こまつさんがインスタで投稿しているイラスト=こまつさん提供

怖いブランク…「もし転勤がなかったら」

3年前、新卒で働いた職場での出来事をきっかけに、メンタル不調を抱えていたこまつさん。ただ、職場を変えながら、少しずつ「働ける」という自信を積み重ねてきました。

11月の離職は、服薬を減らしながら徐々に元のように働けるようになり「充実してきた」矢先のことでした。

「もしも転勤がなかったら、元の職場でもっとキャリアアップしていただろうな」――。

そう考えないわけではありません。「ただ、夫の仕事は転勤が必要で、社会に貢献している重要な仕事と考えています」と、「転勤があることは仕方ない」と納得しています。

一方で、こまつさんのように転勤に帯同する立場の人は、配偶者の転勤にあわせてキャリアを組み立て直す必要があります。「会社にとって従業員にあたる夫を、サポートする家族のキャリアにも目を配ってほしい」と訴えます。

「今後、看護師をすることがあるかもしれませんが、夫の次の転勤までは専業主婦でいるつもり。その間のブランクが怖いです」

インスタで公開しているイラストの一部=こまつもえかさん提供
インスタで公開しているイラストの一部=こまつもえかさん提供

奨学金返済、貯金を切り崩して

専業主婦になり、もう一つ心配なのは経済面です。

こまつさんは、学生時代に借りた奨学金の返済が残っています。残り280万円ある奨学金を月に2万円ずつ、働いていたころの貯金から切り崩しています。

こまつさんに「付いてきてもらった」と負い目を感じているという夫からは、代わりに返済するという提案がありましたが、「それは違うぞ、と思って。私が勉強したお金は、自分で払います」。

また、自身の看護師時代に「こんなに若くても病気をするんだ」という患者さんをたくさん見てきているというこまつさん。

「夫にだって、いつなにがあるかわからないと思っている。そういうときに、自分が働いていないいまの状況は経済的な自立ができているとはいえない」

ただ、こまつさんは仕事をしているときは余裕がなく家で落ち込み、夫にも「自分を大切にしてほしい」と言われることもあったといいます。その状況からは離れることができ、いまは仕事の負荷がない分、精神的なゆとりもあるそう。

インスタで公開しているイラストの一部=こまつもえかさん提供
インスタで公開しているイラストの一部=こまつもえかさん提供

知らない土地、イラストで紹介

葛藤の中にあるこまつさんの、いま生活の支えになっているのがイラストを描くこと。

子どもの頃から絵を描くことが好きだったこまつさんは、看護師になってからもインスタで作品を描き、副業で企業からの案件を請け負うこともありました。

仕事や引っ越しの忙しさから、しばらく放置していたアカウントを専業主婦になってから再開しました。

「日中は家事もするのですが、夫が帰ってくるのは夜9時以降。時間はあるのになにもしないのが気持ち悪くて」と、イラストを描く時間に充て始めました。

「私は元々外に出ないタイプなんですが、夫に引っ張られて引っ越し先では色んなところに行くようになりました」

引っ越しがなければ来ることもなかったであろう土地で出会う、おいしいものや美しい場所――。知らなかった世界に出会ったときに、イラストとして記録しています。

「いまの生活はポジティブとネガティブが半々です」。複雑な思いはありつつも「いまは自分を見つめ直す期間だと思って」、専業主婦としての時間を過ごしています。

いま生活をしている土地を発信する投稿も=こまつさん提供
いま生活をしている土地を発信する投稿も=こまつさん提供

  ◇
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