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ネットの話題

算数、裁縫…「竹尺」生産終了が話題に 国内メーカー「苦渋の決断」

「特に晒しの工程に手間。担い手がおりません」

使い込まれた竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供
使い込まれた竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供

目次

手芸用品や、学校教材として慣れ親しまれている「竹尺」。この竹尺をめぐり、大阪に本社を置く手芸資材の卸問屋が、取り扱いの中止をXで発表したところ、多くの反響がありました。なぜここまでの反響となったのか。竹材をめぐる近年の状況は――。取材しました。

100年以上の歴史ある大阪の卸問屋

取り扱いメーカーの生産終了に伴い、当該メーカーの竹尺販売の中止を発表したのは、創業1917年、100年以上の歴史を持つ大阪の手芸資材メーカーである 日本紐釦貿易株式会社です。

昨年末、同社の公式アカウントで「【竹尺】の取扱い終了&代替品検討中のお知らせ」と投稿したところ、3万件近くが再投稿され、5万6千件ほどの「いいね」がつきました。

投稿では「当社で長年取り扱ってまいりました竹尺(たけじゃく/竹製の定規)シリーズにつきまして、国産竹材の不足と価格高騰の影響により、年内をもってメーカーにて生産終了となりました。当社の生地売場でもおなじみで、私たちスタッフも長年お世話になってきましたので、大変残念ではございますが、在庫限りで販売終了します」と投稿した上で、代替品などについては検討中である旨を知らせています。

日本紐釦貿易株式会社で取り扱いのある各種定規=同社提供
日本紐釦貿易株式会社で取り扱いのある各種定規=同社提供

生活の一部の竹尺、問題意識も

この反響についてウェブ事業部の中野大亮さんは「これまでも商品の取り扱い終了のお知らせなどをしてきたので、今回も同じ感覚で投稿しました。でも、今回の反応はめちゃくちゃ大きかった」と驚きます。

小学生の家庭科で使う裁縫箱の中に20センチの竹尺が入っていたり、算数の授業で使ったりすることもある竹尺。中野さんは「生活の一部として溶け込んでいて、みんなが知っているものとして反響が広がったのはあるかもしれません」と話します。
コメントの中には、家にある竹尺の画像とともに思い出を書き込む人もいました。

また、中野さんは「潜在的な問題意識がにじみ出たのでは」とも指摘します。
投稿には、生産終了の理由に、竹材不足や価格高騰といったことがあると書き込みました。
「人手不足や後継者、里山の保全などについて、人々の潜在的な問題意識が、投稿をきっかけに表に出たのではないかなと思います」

貴重な「尺」表記、耐久性などにも特徴

同社での竹尺の取引先は、少なくとも50年以上前から現在まで、今回生産が終了となった国内のメーカー1社のみでした。
メーカーがおろしていた竹尺は、単位表記が「尺」や「センチ」のもの、そして両方が併記されたものなどが、様々な長さで取りそろえられていた計10種類でした。

国内には他にも数社、竹尺メーカーがあるそうですが、営業部次長の尾野健太さんは「他のメーカーは、基本的にセンチ表記ですが、今回生産中止するメーカーの商品には尺が表記されていました」とし、「尺の表記は、和裁で使うことがありますが、販売数でいうとそんなに多くはない。それでも需要があるということで、作り続けてくれていた貴重なメーカーです」。

そもそも、手芸においての竹尺は、生地の採寸などで使われます。尾野さんは「プラスチックなどの素材もある中で、竹という素材は軽く、滑りがいい。耐久性もあり、折れた竹尺を見たことがない」と、その特徴を説明します。

同社では、手芸用の布地も多く扱っていますが、「生地を採寸して切るときに、竹尺を使っているので、1メートルのものを各フロアに置いています」。

使い込まれた竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供
使い込まれた竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供

伐採から裁断、人手不足

生産中止を決めたメーカーに、書面で話を聞くことができました。
メーカーによると、生産中止の理由は、「竹材の入手がこの先恒久的に確保できる見通しが厳しくなった」とのこと。

竹尺は、竹を伐採、運搬、晒し(防虫、カビ防止、耐久性向上、艶出し等の目的)、切断などをした後、各種加工を施し、製造されます。しかし、同社によると、竹の伐採から切断に至るまでの業者が、高齢化などの理由で廃業が相次いだといいます。
「特に、晒しの工程に相当手間がかかるため担い手がおりません」

担い手不足などの事情から、竹尺の元となる竹材の仕入れ価格が一時、以前の3倍以上に高騰したとのこと。現在は2倍程度になったとのことですが、今後竹材を恒久的に確保する見通しが立たないため、「苦渋の決断ではございますが生産中止に至りました」。

代替品、海外製も視野に入れたけど

日本紐釦貿易の尾野さんによると、同社で取り扱いのある竹製品は、他にも編み物で使う「編み針」や、バッグの「持ち手」などがあるといい、「いずれも値上がりが激しく、ここ1、2年で急騰した印象です」。

今回の生産中止を受け、国産の竹尺を生産する他社のもので見積もりをとっていますが、原価で1.5から2倍になりそうだとのこと。

「海外製も視野に入れたのですが、品質チェックをすると、使う竹の部位が違ったり、厚みがあることで『しなり方』が違ったり、目盛りがぼやけていたりして、国産のものとは大きな違いがある」といいます。
「ユーザーの期待に応えるためにも、国産のものを検討していますが、価格の上昇は避けられない状況です」
春までには新たな竹尺の扱いを始める見込みだそうです。

上が国産、下が海外産の竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供
上が国産、下が海外産の竹尺=日本紐釦貿易株式会社提供

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