連載
#93 ○○の世論
ワクチン接種後「外出増やす」は36% 北海道・大阪より慎重な地域も
北海道・大阪より慎重だったところは?
新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいます。高齢者から先行して始まりましたが、今では現役世代まで接種の対象が広がっています。6月の全国世論調査(電話)では、ワクチンを打ったら外出を増やすと回答した人が36%、接種前と同じように外出の自粛を続けると答えた人は55%でした。年代や地域でも差が見られました。(朝日新聞記者・藤方聡)
今ではすっかり当たり前となったマスクの着用。6月の調査で、新型コロナウイルスの2度目のワクチン接種を済ませた後、接種前と同じようにマスクを着用しますか、と尋ねました。82%が「同じようにマスクを着用する」。「マスクの着用を減らす」は15%にとどまりました。男女別では、女性の86%、男性の78%が「マスクを着用する」と回答。年代別でも大きな差は見られませんでした。
こうした数字から、マスク着用は感染症対策の粋を超え、日常のくらしに不可欠なエチケットになっていることがうかがえます。
緊急事態宣言の下では、不要不急の外出の自粛が求められ、飲食店の営業時間の短縮、酒類の提供の制限が要請されました。6月調査では、ワクチン接種を済ませた後、接種前と同じように旅行や会食などの外出の自粛を続けますか、旅行や会食などの外出を増やしますか、と尋ねました。「同じように外出の自粛を続ける」は55%、「外出を増やす」は36%でした。
男女別では、女性の58%、男性の53%が「外出の自粛を続ける」と回答しました。「外出を増やす」は、男性40%、女性33%でした。年代別でみると、高齢者層で自粛の継続姿勢が顕著に出ています。70歳以上の74%が「外出の自粛を続ける」と答え、「外出を増やす」は16%にとどまりました。60代でも、「自粛を続ける」53%が、「外出を増やす」35%を上回りました。
一方、50代から下の年代では、「外出を増やす」の比率が高まります。50代では、「自粛を続ける」47%、「外出を増やす」44%と割れ、40代では、「外出を増やす」51%が、「自粛を続ける」44%を上回りました。30代では、「外出を増やす」48%、「自粛を続ける」45%でした。
コロナ禍の自粛疲れか、30~40代の現役世代の中核層は、旅行や会食などへの欲求が強いと言えそうです。
地域別でも違いがみられました。東北では「自粛を続ける」が最も高く62%で、「外出を増やす」は30%でした。これに対して、東京と大阪はほぼ同じ傾向で、東京では「自粛を続ける」50%、「外出を増やす」43%。大阪では「自粛を続ける」52%、「外出を増やす」42%。北海道も同じような傾向でした。
新型コロナウイルスのワクチン接種の広がりで、感染防止に期待が高まる一方、人流の加速化に懸念の声も根強くあります。また、さまざまな理由から、あえてワクチンを打たない人もいます。ワクチン接種を済ませても、当面の間は従来通りの感染予防策を続ける人たちが多いようです。
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