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お金と仕事

コロナで不安、保険は解約するべき? お金の相談、増えたのは…

将来設計を楽しみに変えるコツ「人生の節目」の整理

新型コロナウイルスに感染しているまたは疑いのある患者が搬送された場合に使われる病室=2020年1月28日、東京都大田区の荏原病院、福留庸友撮影
新型コロナウイルスに感染しているまたは疑いのある患者が搬送された場合に使われる病室=2020年1月28日、東京都大田区の荏原病院、福留庸友撮影 出典: 朝日新聞

目次

新型コロナウイルスの感染拡大によって社会生活が変わり、個人の暮らしぶりにも変化がありました。中でも増えているのがファイナンシャルプランナーへの相談です。「コロナの入院でも保険がおりる?」「家計が苦しいので解約したいんだけど……」。相談内容から見える「お金の話」について、日々、現場でアドバイスをしている専門家に話を聞きました。(ライター・安倍季実子)

コロナで変わった「お金の相談」

話を聞いたのはこの道6年のアクサ生命保険のフィナンシャルプランアドバイザー大内勇毅さんです。


――コロナによって相談件数はどのくらい増えたのでしょうか?

「相談件数でいうと、前年度比2倍くらいです。コロナの影響で給与・賞与が減ったことで、新規・既存に関わらず様々な方からご相談がありました。コロナによってオンライン化が一気に進んだことも、相談件数増加の理由のひとつだと思います。オンラインにすることで前後の移動時間がなくなり、遠方にお住いの方からのご相談が増えました」


――どんな相談内容が多かったのでしょうか?

「既存の人からの相談のほとんどは、『今の保険はコロナで入院したら使えるの?』といった質問や、『収入が下がったけど、契約内容はこのままでいいのか?』などの確認でした」


――コロナで入院した時、給付対象となる保険とならない保険があるのでしょうか?

「保険によって保障内容がちがうので一概には言えないのですが……。たとえばアクサ生命の場合は、コロナと診断され入院が必要な場合、また医療機関の事情等でホテルや自宅待機で治療を行う場合は、入院給付金の支払い対象となります。ただし、濃厚接触者に当たるために自宅待機になった場合は給付対象外となります。これは保険会社によっても異なる部分なので、心配な方は確認しておくといいでしょう」

アクサ生命保険のフィナンシャルプランアドバイザー大内勇毅さん
アクサ生命保険のフィナンシャルプランアドバイザー大内勇毅さん

保険を解約するのはどういうケース?

――経済的に困った状態になっても保険は解約しない方がいいのでしょうか?

「解約を考えた方がいいのは、その人の経済状況に見合っていない大きな保障の保険に入っている場合です。両親やまわりに勧められて内容を理解しないまま加入している人は、これに当てはまることがあるので、不安な場合はライフプランを作ってみるといいでしょう。すると、将来必要なお金が見えてきます。住宅購入、車の購入、家族に残したい金額などの目安に対して、加入中の保障内容が希望に合っているかどうかがわかるので、減額や解約を考えるのは、その後ですね」

「経済状況に対して保障が大きすぎると、何かを我慢して生活しながら将来に備えていることになります。毎日を充実させることも大事だと思うので、自分の生活や今後のことを考える、良いきっかけにもなると思います」


――解約を考える際に、注意することはありますか?

「保険の中には、保険料の支払いを減らす減額や一時保険料の支払いをストップできるものもありますが、満期保険金などが少なくなるといったデメリットもあります。解約した場合は、経済状況が戻ってから新しく加入し直すこともできますが、保険料が高くなる場合もあります」

「また、ここ数年でメンタル系の病を患う若者が増えています。保険に加入するときは、健康状態の確認が必要なので、一旦解約して後でもう一度加入しようとしても難しい場合もあります。現在の経済状況に合わせたい気持ちもわかりますが、担当者に相談して、保険に加入した理由を見直してから決めるといいでしょう」

悩みの背景にあった「お金への興味」

――コロナによって、どんな経済面の変化がありましたか?

「20代後半~30代だと、給与形態が変わった方、勤務時間が減って収入が減った方など、収入面で変化した方が多く、それに伴ってお金の心配に直面したという印象を強く受けました。その反面、外出自粛でお金を使わなくなった方もいました。使うものといえば、日用品や食品に加えて、リモートワーク用のデスクや照明など。収入面だけでなく、お金の使い方も変わったのだと思います」

「相談されるタイミングも変わりました。コロナ禍前までは結婚や出産などのタイミングで相談されるケースがほとんどでしたが、最近はこういった出来事に関係なく、独身層からの相談が増えました。まわりの状況やニュースを見て危機感を持つ方が増えたのだと思います」


――その他で、気づいた変化はありましたか?

「お話を伺っていて、お金に興味はあるけど、実際はよく知らないのだなと思いました。気にはなっているけど、なかなか口にすることもない。今まで何となく触れずにきたけれど、コロナの感染拡大で、状況的に向き合わざるを得なくなってしまった。また、胸の中にあった興味が顕在化したような気がします」

「お金の話」がしやすくなるコツ

――ライフプランを考えると、どんないいことがあるのでしょう?

「一番のメリットは、先々の見通しがついて、安心感が持てることだと思います。たとえば、銀行から借入をしている場合は返済の見通しができて、貯蓄を始められる目途がつきます。お子さまがいらっしゃる場合は、自分たちが何歳の時に大学卒業するのかが確認できるので、授業料の支払の終わりがわかり一安心できます」

「ほかにも、奨学金を借りている若い社会人や大学生の場合は、繰り上げ返済の計画を立てられます。住宅購入を考えている方は、購入後の生活ができるだけ苦しくならないように調整することも可能です」

「もうひとつ、家族で暮らしている方には『お金の会話が増える』という副産物があります。お金の話は大事だとわかってはいるけど、なかなか会話の中に出てこないものです。人によってはお金の話をしたくない方もいるでしょうし、タイミングによってはお金の話で険悪なムードになることもあるでしょう。しかし、ライフプランを作ると必然的に将来使うお金の話になります。そこではじめて、お互いの考えやプランを共有することになるので、自然と会話が増えるんです」


――ライフプランを作るときに気を付ける点はありますか?

「『ライフプランを作る』というと、大げさ・大変そうというイメージがあると思います。しかし、実際にはやりたいことを考えることからスタートするので、とても楽しいものです。例えば『〇歳で結婚式を挙げる』、『〇歳で家を買う』、などの大きな出来事がわかっていたら、みなさん準備しますよね? そして、準備は早ければ早いほどいい。ライフプランを作った方からは、『どのくらいの貯蓄が必要なのか、毎月のやりくりする額などがわかった』、『理想の結婚式、住宅購入、子供の教育などが実現できるとわかって安心した』という声をいただきます。頭の中でボンヤリ考えていた夢が、実現できるとわかったことがお客様の喜びにつながっているようです」

「ライフプラン作りは、『やりたい』『叶えたい』ことを考えることからはじまります」と話す大内勇毅さん
「ライフプラン作りは、『やりたい』『叶えたい』ことを考えることからはじまります」と話す大内勇毅さん

人生の節目を整理してみる

――ライフプランを作るタイミングはありますか?

「個人的には、ここぞというタイミングはなくて、早ければ早いほどいいと思っています。でも、なかなかきっかけがないという方は、『人生の節目=ライフプランを作るタイミング』と考えるといいと思います。昨年は、コロナの影響で収入が変化したことをきっかけに、ライフプラン作りをされる方がたくさんいました。まだ作っていない方は、今もライフプランを作るいいタイミングだと思います。何かきっかけがほしいという方は、以下のようなタイミングがいいと思います」

20代→就職、転職、結婚・出産
30代→結婚・出産、子育て、転職、転勤、住宅購入
40代→教育(受験・入学・進学)、住宅購入、介護
50代→教育(受験・入学・進学)、自分たちの介護、
60代→リアルなセカンドライフ 

「20代は、学生から社会人になることで収支バランスが変わる方が多い年代です。30代も含めて、転職も大きな変化を迎えるポイントです。転職をせずに順調にキャリアを積んでいく方の中には、転勤をする方もいます。これもいいタイミングだと思います。40代に入ると両親の介護をする方が増えます。生活の中心が介護になることで、お金の使い方がガラッと変わります」

「50代に入ると、子どもの教育費にまわしていたお金が、セカンドライフといった自分たちの老後にまわっていきます。また、『自分たちの介護はどうしたらいいんだろう?』ということで悩むようにもなります。60代は、もらえる年金の額がリアルになるので、それを元に残りの人生をどう生きていこうか考えはじめる年代です。絵に描いたようなのんびりとしたセカンドライフを希望する方もいれば、定年退職後は夫婦で喫茶店を開きたいといったように、新しいキャリアを思い描く方もいます」

「また、『投資をはじめようと思ったとき』も、全年齢に共通したタイミングでしょう。ライフプランを作ることで将来必要な金額がわかるので、そこから投資額の目安がわかります。上記に当てはまらなくても、iDeCoやNISAを検討しているのなら、一度ライフプランを作ってみてもいいと思います」

ライフプランのレポート
ライフプランのレポート

――ライフプランを作りたいと思ったら、どうしたらいいのでしょうか?

「すでにライフプランを作っている知り合いがいれば、その人からファイナンシャルプランナーさんを紹介してもらうといいでしょう。もしくは、現在加入している保険担当者に相談するという手もあります。もしまわりにそういう人がいないのなら、一度、会社の福利厚生を確認してみてください。無料のライフプラン相談を福利厚生に取り入れている会社もあります」

「人生と経営はよく似ていて、言ってみれば、一人ひとりがその方の人生の経営者だと思います。自分の未来のために、人生経営(ライフマネジメント)とそのためのライフプランをしっかり考えることが、当たり前の世の中になることを願っています。」

自分らしさ大事にするための「お金」――取材を終えて

お金の話題はタブーとされがちですが、コロナという事態はライフプラン作りに取り組むいい機会になるのかもしれません。

大内さんの言葉で印象的だったのは、「お金の話」は、不安をなくすだけでなく楽しみを考えるきっかけになるという発想の転換です。

「老後2千万円」のきっかけとなった「高齢社会における資産形成・管理」の報告書には、「ライフプラン作りの推奨」についても触れられています。

ライフスタイルが多様化する中では、個々人のニーズは様々であり、大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め上げ、退職後は退職金と年金で収入を賄い、三世帯同居で老後生活を営む、というこれまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんどあてはまらないかもしれない。今後は自らがどのようなライフプランを想定するのか、そのライフプランに伴う収支や資産はどの程度になるのか、個々人は自分自身の状況を「見える化」した上で対応を考えていく必要があるといえる
金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について:金融庁

様々な生き方、価値観が生まれる時代だからこそ、「お金の話」と切っても切り離せないライフプラン作りに取り組むことで、自分らしい人生を送る準備ができるのかもしれません。

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