連載
#90 ○○の世論
菅内閣支持率、半減の衝撃 頼みの自民支持層すら……一番の不満は?
東京五輪への姿勢「納得できない」58%
昨年9月、65%という歴史的な高支持率でスタートした菅義偉内閣。今年5月の全国世論調査(電話)では、33%とほぼ半分にまで落ち込み、不支持率は、47%と最も高くなりました。支持基盤の自民党の支持層からの支持も先細りしています。(朝日新聞記者・藤方聡)
菅内閣の発足直後の2020年9月16、17日に実施した全国世論調査(電話)で、内閣支持率は65%を記録しました。自民支持層の内閣支持率は87%と非常に高く、不支持率はわずか2%でした。無党派層も51%と半数以上が支持していました。
翌10月の調査では、内閣支持率は53%に落ちましたが、無党派層の支持が37%と大きく落ち込む一方で、自民支持層の支持率は80%と依然として高いままでした。9月の支持率が、無党派層の期待値を含めた「ご祝儀相場」で、10月に平時に戻ったと見る方がいいかもしれません。
自民支持層の菅離れが見え始めたのは20年12月。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「Go To トラベル」事業の停止が決まった直後の調査でした。
自民支持層の内閣支持率は67%まで落ち込み、以後、21年3月に72%にやや持ち直したのを除くと、6割台で推移し、5月も支持率65%で、22%は「支持しない」と答えました。
この自民支持層の内閣支持率65%を高いとみるか、低いとみるか。
前政権の安倍晋三首相の時と比較してみます。第2次安倍政権では、内閣支持率が29%と最も低かった20年5月でさえ、自民支持層の内閣支持率は68%ありました。少なくとも支持基盤が「盤石」とは言えない水準に、落ち込んでいると言えそうです。
一方、無党派層の支持も、20年12月22%→21年1月16%→2月18%→3月24%→4月25%→5月19%と低迷を続けています。
自民支持層は、菅政権のどこに反発を示しているのでしょうか。
5月調査では、新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れについて尋ねました。「他の先進国より遅れていることについて、政府の責任は大きいと思いますか」と聞くと、自民支持層の57%が「政府の責任は大きい」と答え、「それほどでもない」38%を大きく上回りました。
また、東京オリンピック・パラリンピックを巡って、菅首相が強調する「国民の命や健康を守り、安全、安心の大会を実現することは可能」という発言には、自民支持層でも58%が「納得できない」と答え、「納得できる」34%を上回りました。
五輪開催を突き進むあまり、コロナ対策が後手に回っているのではないか……。自民支持層も、政権に厳しい目を向けはじめているようです。
内閣支持率の下落と合わせて、自民党の政党支持率も菅内閣発足時の20年9月には41%だったのが、21年5月には30%まで下落しました。菅内閣発足後では最低の水準です。
自民の政党支持率が下がって支持基盤自体が細り、その自民支持層も内閣支持からはがれつつある。菅内閣は、まさに正念場と言えそうです。
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