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#88 ○○の世論

ワクチン接種への「評価」大幅ダウンの理由 世論調査で怒っている人

先進7カ国で「最低の接種率」への評価

大学のキャンパスを使って、高齢者への新型コロナワクチンの個別接種が行われた=2021年5月13日、東京都墨田区、池田良撮影
大学のキャンパスを使って、高齢者への新型コロナワクチンの個別接種が行われた=2021年5月13日、東京都墨田区、池田良撮影 出典: 朝日新聞

目次

新型コロナウイルス対策の「切り札」として期待されるワクチン。高齢者への接種が、ようやく本格化しました。5月15、16日に実施した全国世論調査(電話)で、政府のワクチン接種への取り組みについて尋ねると、「評価する」は47%。3月の69%から大きく落ち込みました。接種の遅れなどに、不満が高まっているようです。(朝日新聞記者・渡辺康人)

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「評価する」69%から47%にダウン

ワクチン接種に関する政府の取り組みの評価は、4択で聞きました。

「評価する」は「大いに」5%、「ある程度」42%を合わせて47%。同じ質問を今年2月と3月にした時には、いずれも7割が「評価する」と答えていたのと比べると、だいぶ下がりました。

一方、「評価しない」は「あまり」39%、「まったく」13%を合わせて52%と、半数を超えました。

高齢者への接種は4月12日に始まり、5月の大型連休明けから本格化しています。申込手続きが思うようにいかないなど現場の混乱も、評価に影響しているかもしれません。

 

ワクチン評価とは別に、「新型コロナウイルスをめぐる、これまでの政府の対応を評価しますか」と、コロナ対応全般の評価を尋ねる質問もしています。

こちらも「評価する」23%に対して、「評価しない」は67%と厳しい結果になりました。

ワクチン接種の取り組みを「評価しない」人に限ると、この全般の評価も、86%が「評価しない」と答えました。ワクチン接種の対応への不満が、コロナ対策全般の評価を下げている現状が見て取れるようです。

接種の遅れに怒る高齢層

日本のワクチン接種は、欧米諸国に大きく差をつけられ、接種率は先進7カ国(G7)では、最低です。こうした遅れに対し、66%が「政府の責任は大きい」と答えました。「それほどでもない」は28%でした。

年代別にみると、高齢層の憤りの大きさがうかがえます。

「政府の責任が大きい」が最も高かったのは、60代の80%、続いて50代は74%。接種の始まった70歳以上も73%が「政府の責任は大きい」と答えています。

 

「すぐに受けたい」が「様子見」を逆転

国民のワクチンへの期待は高まっています。

「ワクチンが無料で接種できるようになったら、どうしたいですか」と接種意向を4択で尋ねると、「すぐに受けたい」が47%で、「しばらく様子をみたい」の40%を上回りました。

5月から「すでに受けた」という選択肢を加えたため、単純には比較できませんが、「すぐに」は1月21%→2月29%→3月39%と徐々に増えてきました。それでも3月は「様子見」53%の方が多かったのですが、今回は、逆転しました。

 

男女別の傾向をみると、3月は女性の方がやや慎重で、「すぐに」は男性44%に対し、女性は34%でした。それが5月には男性は49%、女性も45%が「すぐに受けたい」と答え、男女差は縮まりました。

年代別では、「すぐに」は年代が上がるほど増え、18~29歳と30代で3割、40代で4割、50代で5割。60代では56%、70歳以上では61%が「すぐに受けたい」と答えました。

そして「すぐに受けたい」と思う人の72%が、接種の遅れは「政府の責任が大きい」と答えています。

ワクチンへの国民の期待は膨らんでいるのに、政府が応えていない――

そのことが、菅内閣の支持率が過去最低タイの33%まで落ち込んだ大きな理由の一つと言えるでしょう。

菅首相は「長引く感染対策の決め手となるのがワクチン」と語り、高齢者への接種を7月末までに終えると宣言しました。

国民の期待に応え、宣言通りに順調に接種を進めることができるのか。引き続き、内閣支持率の動向を握るカギとなりそうです。

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