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頭から離れない「マヌルネコのうた」 知ってほしかった動物園の使命
「マヌル ヌルヌル マヌルネコ……」

「意外と獰猛(どうもう)」「最古なネコ」「短いあんよを見せてやんよ」――。リズミカルな歌にあわせて、マヌルネコの躍動感あるジャンプや雪の上で遊ぶ様子が流れる「マヌルネコのうた」。那須どうぶつ王国がTwitterに投稿した動画が100万回再生されています。マヌルネコの魅力とともに知ってほしかったことは、「種の保存」という動物園の使命。制作の経緯や込めた思いを聞きました。
ツイッターに投稿したマヌルネコのうた
雪が積もった枝の上を歩く様子や、木の陰から何かを狙うような姿――。歌詞には「寒いところに住んでいる」「短いあんよ」「絶滅のおそれあり」といったマヌルネコの生態や現状が盛り込まれています。
一度聞くと、サビの印象的なフレーズ「マヌル ヌルヌル マヌルネコ」が頭から離れなくなります。SNSでも「クセになる」「予想外のかっこよさ」といった反響が寄せられ、これまでにTwitterで約100万回、YouTubeで75万回超、再生されています。
絶滅の恐れがある希少動物
マヌルネコは中央アジア周辺の、乾燥した樹木のない高地の岩場や平坦な草原に生息しています。夏は酷暑で冬は氷点下という過酷な環境です。
生息環境は雑菌が少ないため感染症に弱く、飼育下での繁殖は非常に難しいそうです。ワシントン条約の付属書Ⅱに記載されており、将来絶滅の危険性が高い野生希少動物とされています。
今日は「国際マヌルネコの日」です!みんなでマヌルネコのうたを聴いて、マヌルネコに思いを馳せまヌル#マヌルネコの日 #マヌルネコのうた pic.twitter.com/jU7uPXpB3F
— 那須どうぶつ王国 (@nakprstaff) April 22, 2021
那須どうぶつ王国では、そんな現状や、マヌルネコの独特な動きといった魅力を知ってもらおうと、まずは4月1日のエイプリルフールに「マヌルネコの歌」の予告編を出しました。
ヤツは実在した――。壮大な映画を思わせるような予告編に、「本当につくるの?」「これはウソ?」といった多くの反響が寄せられたといいます。それを実現したのが「マヌルネコのうた」だったのです。
クリエイターから「撮らせてほしい」
2019年に那須どうぶつ王国の夫婦(ボルとポリー)から生まれたマヌルネコの子ども(エルとアズ)のYouTube動画を見た富永さんは、一気にファンになったそうです。
ただ、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出ていたタイミング。クラウドファンディングを実施するなど園の運営を続けるのが精いっぱいで、なかなか動画制作の予算が捻出できずにいました。
かわいいけれど飼えません
頭を低くして、短い足を忍者のように運ぶ……そんな野生で見られる動きや躍動感が伝わってきます。
2頭のストレスにならないよう、音を立てない・カメラのレンズを近づけないなど、時間をかけて細心の注意を払って撮影したといいます。

那須どうぶつ王国の広報担当の宮地さくらさんは「そのかわいさから『飼いたい』という気持ちがわいてしまうのは分かるのですが、メディアで話題になったスナネコも含め、家畜化されていない野生動物はペットには向いていません」と指摘します。

鈴木さんは「マヌルネコに限らず、さまざまな動物の種が減っています。『種の保存』という動物園が取り組む使命をしっかりと伝えたい」と訴えます。
初めて知って検索しました 届いた手応え
ポリーがやってきた5年前は、まだまだマヌルネコの知名度が低く、そのユニークさや野生下での状況をSNSなどで訴えていたといいます。

「いつか必ず行きたいです」という反響
コロナ禍で、遠くから動物園を訪れることも難しい時期ですが、「いつか必ず行きたいです」といった声もあったといいます。
