連載
#87 ○○の世論
緊急事態宣言の評価は? 世論調査に現れた「これまでで最悪の結果」
菅首相の姿勢「信頼できない」が6割に

連載
#87 ○○の世論
菅首相の姿勢「信頼できない」が6割に
政府の新型コロナウイルス対応への不満が高まっています。5月15、16日に実施した全国世論調査(電話)で、菅内閣の支持率は33%まで落ち込み、不支持率は昨年9月の政権発足以来最も高い47%でした。そんな中で出されている3度目の緊急事態宣言。その効果は、必ずしも実感されていないようです。(朝日新聞記者・磯田和昭)
政府のコロナ対応を「評価する」はわずか23%。「評価しない」が67%に上りました。2020年10月から毎月尋ねていますが、これまでで最悪でした。「評価しない」人の内閣支持率はわずか18%ですので、コロナ対応のつたなさが内閣への不信につながっている様子が現れています。
世論の不信の対象は、個々の対策のまずさだけではないようです。
5月調査では、「菅首相の新型コロナウイルスに取り組む姿勢を信頼できますか」という質問もしました。「信頼できる」は27%にとどまり、「信頼できない」が61%に達しました。自民支持層ですら、「信頼できる」46%、「信頼できない」41%に割れました。
今回の調査は、緊急事態宣言の対象地域に北海道、岡山県、広島県が加わるタイミングと重なりました。
宣言が感染拡大の防止にどのくらい効果があると思うかを聞くと、「あまり」「全く」あわせて59%が、効果が「ない」と答えました。効果が「ある」は「大いに」「ある程度」をあわせて41%でした。
効果を疑問視する見方は、首相のコロナへの取り組み姿勢を「信頼できない」人で際立ち、効果が「ない」という割合が74%に達しました。
ほぼ1年前の最初の緊急事態宣言の時と比べると、人の流れの減り方が小さく、実感として効果が感じられない人が多いのかもしれません。
地域別にみると、対象地域の中でも、東京都、大阪府ではだいぶ違う結果になりました。
東京では、効果が「ある」が36%と全体より懐疑的であるのに対し、大阪では「ある」が44%とやや多めでした。
東京、大阪の違いの理由は判然としませんが、宣言が出されてからの感染状況が反映しているのかもしれません。
3度目の緊急事態宣言では、お酒を提供する飲食店に休業が要請されました。
この対策への評価を聞くと、「評価する」が54%で、「評価しない」の36%を上回りました。政府は「感染リスクが高いと指摘されている飲食の場を避けるため」だと理由を説明していますが、一定の理解を得ているようです。
男女別にみると、女性は58%が「評価する」と答え、「評価しない」の29%をはっきりと上回ったのに対し、男性は「評価する」50%に対し、「評価しない」も44%いました。
また、この対策への評価でも東京と大阪で、宣言への効果と同じような違いが出ました。
東京では「評価する」47%、「評価しない」49%と割れたのに対し、大阪では「評価する」が57%、「評価しない」33%と評価が高めでした。
今回の調査結果から感じたのは、やはり、政(まつりごと)は「信なくば立たず」ということです。「営業の自由」など私権制限にからむ対策を打つからには、信頼なしには、うまくいくはずもないようです。
1/17枚