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憲法改正、みんなが思っていること 世論調査が示す「ふんわり感」

安倍さんから菅さんになっても同じ?

安倍晋三首相(左)に花束を渡す菅義偉官房長官(当時)=2020年9月14日午後3時42分、東京都港区、伊藤進之介撮影
安倍晋三首相(左)に花束を渡す菅義偉官房長官(当時)=2020年9月14日午後3時42分、東京都港区、伊藤進之介撮影 出典: 朝日新聞

目次

いまの憲法が施行されて、5月3日で74年です。有権者は、いまの憲法をどうみているのでしょうか。朝日新聞社の全国郵送世論調査で調べてみました。(朝日新聞記者・磯部佳孝)

変える「必要がある」45%、「ない」44%

郵送調査は2021年3月上旬から4月中旬にかけて、全国の有権者3000人を対象に行いました。

この調査はあらかじめ全国の市区町村で選挙人名簿を閲覧して、抽出名簿をつくり、調査票を郵送する調査です。回収率は73%。憲法や政治に関する郵送調査は、第2次安倍政権発足後の2013年から毎年行っており、今回で9回目になります。

あなたは、いまの憲法を変える必要があると思いますか――。9回の調査で、このように聞いた結果は、次のようなものでした。

 

2013年は「変える必要がある」54%が「変える必要はない」37%を上回っていましたが、14年から「変える必要はない」が「変える必要がある」を逆転しました。

2016年に「変える必要はない」55%と「変える必要がある」37%の差がもっとも開きました。今回は9回のなかで、「変える必要がある」45%と「変える必要はない」44%の差がもっとも縮まりました。

ただ、第2次安倍政権下で最後の調査となった2020年の「変える必要がある」43%、「変える必要はない」46%と今回を比べると、変化はほとんどみられません。首相が2020年、安倍晋三さんから、菅義偉さんに代わった影響は数字を見る限りないようです。

ふんわりとした憲法観

そもそも、日常のくらしのなかで、憲法について考えたり、意識したりすることはあるのでしょうか。今回の調査で聞いてみました。

 

「よく」「時々」を合わせた「ある」は30%に対し、「あまり」「まったく」を合わせた「ない」が68%でした。年代別に比べると、「ある」は70歳以上が41%でもっとも高く、18~29歳が20%でもっとも低い結果でした。一方、「ない」は18~29歳が80%でもっとも高く、70歳以上が57%でもっとも低い結果でした。

では、憲法を「変える必要がある」と答えた人と「変える必要はない」と答えた人を比べてみます。

 

「変える必要がある」と答えた人では、「ある」39%、「ない」61%でした。一方、「変える必要はない」と答えた人では、「ある」27%、「ない」73%でした。

「変える必要がある」と答えた人であれ、「変える必要はない」と答えた人であれ、憲法を意識したり、考えたりすることがあまりないことがわかります。

「変える必要がある」「変える必要はない」と答えた人に、その思いの強さを「強」「中」「弱」から1つ選んでもらうと、「変える必要がある」は「強」27%、「中」55%、「弱」13%に対し、「変える必要はない」が「強」23%、「中」59%、「弱」12%でした。同じ質問をした2013年と比べても、思いの強さはあまり変わりませんでした。

改憲必要派にしろ、改憲不要派にしろ、ふんわりとした憲法観にもとづいたもののようです。背景には、いまの憲法に対する肯定感があります。

 

9条についても同じ傾向です。9条の条文を示して答えてもらう現在の形の質問を始めた2013年では、「変えないほうがよい」は52%、「変えるほうがよい」39%でした。その後、2014年~2021年は、「変えないほうがよい」が一貫して6割以上を占めました。

高まらない改憲機運

2020年、憲法改正の旗を振り続けた安倍さんが退陣しました。そもそも、改憲の機運はどの程度高まっているのでしょうか。2019年から今回まで、同じ質問をしました。

 

今回は、「大いに」「ある程度」を合わせた「高まっている」が19%、「あまり」「まったく」を合わせた「高まっていない」は76%でした。「高まっている」は19年22%→20年21%→21年19%、「高まっていない」は19年72%→20年76%→21年76%と大きく変わっていません。

結局、安倍政権から菅政権に代わっても、改憲の機運は高まっていないと言えます。

そんななか、いまの国会では、憲法審査会が始まっています。憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案をめぐり、与野党の溝は埋まらない状況が続いています。

今回の調査で、有権者は国会で憲法にかかわるテーマについて、何をもっと議論してほしいのかを、10択の中から複数回答で選んでもらいました。

 

「知る権利」43%がトップでした。次いで、「教育の無償化」42%、「自衛権のあり方」38%、「地方分権のあり方」30%、「プライバシー権」27%、「環境権」26%、「首相公選制」25%、「天皇制のあり方」18%、「首相の衆院解散権」8%、「憲法裁判所の設置」6%と続きました。

憲法を「変える必要がある」と答えた人で関心が集まったテーマ上位3つは、「自衛権のあり方」56%、「教育の無償化」「知る権利」41%となりました。一方、憲法を「変える必要はない」と答えた人の上位3つは、「知る権利」48%、「教育の無償化」44%、「環境権」30%でした。

憲法へのまなざしは2つに割れ、憲法議論に求めるものは多岐にわたっています。だからこそ、政治家には、改憲を大上段に構える前に、有権者の複雑な思いを汲むことが求められそうです。

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