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「正社の立場からそんな事言わないで」コロナで浮き彫り…立場の違い
在宅勤務の日々を描いたマンガ「毎日をしぶとく生きる」

リモートワークや時差出勤……「働く」が大きく変わった1年でした。そんななか在宅勤務の「あるある」や、メリット・モヤモヤを、ユーモアたっぷりに描いたマンガ「在宅勤務子ちゃん」が書籍化されました。Twitterでリアルタイムに作品を発信してきた一秒さんに、マンガに込めた思いを聞きました。
「何日後に何かが起きる」を描きたかった
一秒さんが在宅勤務をテーマにマンガを描き始めたのは、2020年4月に初めて緊急事態宣言が出た頃でした。
「SNSでマンガ『100日後に死ぬワニ』が話題になって、私も〝何日後に何かが起きる〟という作品を描いてみたいと思っていました。そこで『出社まで何日』というカウントダウン形式で描き始めたんです」

在宅勤務のメリットとしんどさと
最初は「すぐ休憩できる」「リラックスできる」「通勤時間がない」「私、在宅勤務の才能あるかも」と思っていたタク子でしたが、徐々に「雑談したい」「テキストのコミュニケーションって難しい」……と在宅勤務のしんどさも描かれていきます。

作者の思いを反映、共感を呼んで
1年前の宣言が出た時は、夫も完全に在宅勤務になり、子どもの保育園もお休みに。狭い部屋のなかでイライラが伝わり合うこともあって、育児と仕事の両立は難しかったといいます。
「緊急事態宣言が延長されたとき、自分で思っていた以上にショックを受けました。『あと少し我慢すれば外に出られる』と思っていたのに……タク子と同じように酒を飲みましたね(笑)」

「立場の違い」を浮き彫りにしたコロナ禍

「コロナ禍って、そういう立場の違いや壁を際立たせるものだったと思うんです」
「働く」をさまざまな視点から
そんな「立場の違い」を意識したことで、書籍化の際には、タク子以外のキャラクターにフォーカスを当てたマンガを描き下ろしました。

「在宅勤務ひとつとっても、さまざまな立場や思いの人がいるんだと改めて考えました。『働く』って人の根幹に関わる、アイデンティティーの深いところにあることなんですよね」
働き方が変わったプラスマイナスの両面
リモートワークが定着し始め、一秒さんは「在宅勤務がOKかどうかを会社選びの基準にする人もいるかもしれません。自分のライフスタイルにあわせた働き方を選びやすい時代に近づいていると思います」と指摘します。

一秒さんは「医療現場や、コロナで傷ついた人たちのことまで描けなかったことは心残りではあります」と語ります。
ただ、このマンガの制作を通じて「その場その場で、毎日をしぶとく生きていくしかないと感じました。ありきたりの言葉ではありますが、コロナ禍ってそんなストレートな言葉が染みる非日常な時代なんだと思います」。
在宅勤務子ちゃんと乗り越えたあの時期
「『あの時こんな風に思ってたんだ』『つらかったことって意外と忘れちゃうんだな』と振り返りながら読みました」と話します。

「2週間で終わると思っていた『在宅勤務子ちゃん』が50日間続き、本というカタチになりました。継続って大事なんだなぁと。そして、描くことで、私自身もタク子と一緒にあの時期を乗り越えられたんだと思います」