MENU CLOSE

連載

#3 #今さら聞けない子どもの安全

これってコロナ? 子どもの発熱〝自宅療養〟で気をつけるべきこと

感染源で一番多いルートは?

子どもの発熱、気をつけるべきこと
子どもの発熱、気をつけるべきこと

目次

寒い時期に入り、新型コロナウイルスは第3波が広がっています。そんな中、情報がネット上にあふれ、どれを信じたらいいのか分からないという悩みも生まれています。周りに聞いても年代によって考えが違うことも。子育ての不安は増えるばかりです。「子どもが熱!コロナ?悪化したらどうしよう」。そんな場面の悩みについて、同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長で小児科医の渡部基信先生に聞きました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格
#マスニッチの時代
※クリックすると特集ページに移ります。
【質問】
コロナの「第3波」で感染拡大が続いています。これからインフルエンザの時期でもあります。子どもが熱を出したとき、見分けるポイントはあるのでしょうか。
(34歳の記者)

 

渡部さん

インフルエンザ との見分け方はお医者さんでもすごく難しいのが現状です。今のところインフルエンザ については大きな流行なく経過していますが、今後は判断に迷うケースも出てくると思われます。 しかし、熱が出て苦しそうだ、というときに、急いで急患につれていったり、かかりつけの病院に駆け込んだりするのは慎重に考えた方がいいかもしれません。

今回の「第3波」は今までの流行とは規模が異なり、各地の医療機関は逼迫しています。熱が出てもすぐに受診できるとは限らず、待っている間に体調が悪化してしまうこともあります。さらに、もしコロナだったときに他の人たちにうつしてしまうかもしれません。発熱など感染症が疑われる患者のために、医療機関も診察室を分けるなど、準備が必要です。熱が出たら、 まずは病院や診療所に電話で問い合わせてください。パニックにならず「正しく恐れる」ということが大切です。

 

渡部さん

地元のお医者さんはコロナを含めその地域でどんな病気が流行っているか一番分かっています。さらに必要なときには、P C R検査を受けることができる地元の施設を紹介してくれるでしょう。問い合わせをした後、対応可能な時間帯に受診することによって、医療機関の混乱を防ぎ、ひいては適切な医療へとつながると思います。

在宅で看病 気をつけるポイントは

 

記者

子どもが万一コロナにかかってしまい、入院ではなく在宅で看病をする場合もあるかと思います。もし熱が上がって悪化してしまったらどうしたらいいのでしょうか。

 

渡部さん

まずは医師の指示に従ってください。入院かどうか判断する際、年齢や呼吸状態、肺炎の有無などは重要なポイントになってきます。現場の医師がそれらのことを考えて、入院か自宅療養か考えています。現在、入院できるベッド数が地域によって異なるので、保健所など行政機関がコントロールをしています。そのため、コロナになったから即入院という訳ではなく、ホテルでの療養や在宅での療養になる可能性もあります。今、「第3波」が広がってきて、空いている入院ベッドも各地域で減りつつあります。ですから、行政の指示により一局集中を避け、地域の医療を維持するようにしています。

 

渡部さん

子どもの重症化は少なく、ほとんど無症状や軽症なので、病院で「自宅療養で大丈夫」と診断された場合は、熱や呼吸状態に注意しながら経過を見て下さい。

ただ、小児でも重くなる例もあります。特に基礎疾患を持っている子どもは気をつける必要があります。日本小児科学会のサイトにあるQ&A(新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 小児における症状や注意点)には以下のように書かれています。

万一高熱続き症状が悪化しているようであれば、まずは保健所に問い合わせて、指示に従ってください。

子どもの患者が重症化する割合は成人と比べると少ないようです。
しかし、成人同様に呼吸状態が悪くなることもあります。
2歳未満の子どもは比較的重くなる傾向があり注意が必要です。
欧米からは、発熱が続き、腹痛・下痢、発疹を認める患者さんの中に、
心臓の動きが悪くなるような子どもが10歳前後を中心に報告されて
いますが、国内ではまだ少ないようです。
日本小児科学会「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 小児における症状や注意点」

子どもが感染するルートは

 

記者

子どもがコロナにかかってしまうルートとしてはどこからが多いのでしょうか。

 

渡部さん

まず、子どもがコロナにかかる可能性としては、学校や幼稚園、保育園などでクラスターなどが流行っていない限り、家庭内からの感染が一番多いです。

さらに、子どもは家族の中で先行感染者(一番最初にコロナに感染する)ことは少ないようです。 家族の中の大人が外で感染して、家庭内に広めてしまうケースがほとんどです。

家庭内に入ってしまえば、乳児であれば授乳、幼児でもオムツを替えたりご飯を食べさせたりと濃厚接触は不可避です。なので、大人がまず家庭内にコロナを持ち込まないように気をつけることが大切なのです。

 

記者

コロナかどうか分からないけれど、熱が出たという時は、市販の薬は飲ませてもいいのでしょうか。

 

渡部さん

もしコロナになった場合でも基本的に軽症や無症状の場合はお薬も必要ありません。もし、発熱などある場合は、お医者さんから処方された薬を飲みましょう。市販の薬の効き目は期待できません。

予防接種や乳幼児検診、遅らせた方がいい?

 

記者

コロナが流行っている中、予防接種や乳幼児健診は受けるのを遅らせた方がいいのでしょうか

 

渡部さん

乳幼児検診や予防接種は定められた期間内に行ってください。 もちろん、これはコロナが流行っているかどうかにかかわらずですが、子どもも付き添いの大人も発熱や体調不良の場合は治ってから受けてください。

予防接種は、個人を守り、さらに社会全体を守ることにつながります。みんなが免疫を持っていることで社会全体にも免疫が付くので疫病が広がらないために必要なのです。小児科学会でも、予防接種や乳幼児検診を控える傾向に警鐘を鳴らしています。先ほど紹介したQ&Aのサイトでもこのように伝えています。

乳幼児健診の目的は、年齢ごとに起こりやすい病気や問題を早めに見つけて治療などに結び付けることです。
予防接種についても、感染症にかかる前に接種することが極めて重要です。
新型コロナウイルス感染症を予防するための対策も重要ですが、
極端な制限によって予防できる他の重要な病気の危険性にさらされることを
避ける必要があります。今後も数か月単位での流行が想定され、その間に
乳幼児健診や予防接種を回避するデメリットは大きいと考えられます。
日本小児科学会「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 小児における症状や注意点」

 

記者

コロナに子どもがかからないように気をつけるべきことは何でしょうか。普段の生活で気をつけるべきことがあれば教えてください。

 

渡部さん

先ほどもお話したように、まず大人が持ち込まないように気をつけることが大切です。子どもがコロナにかかる場合は家庭内で大人からうつされるパターンが多いからです。家の中に入ったらすぐに着替えてお風呂に入るのは有効です。家の中に持ち込まないということが大切です。今は冬で寒いですが、定期的に人が集まるようなところは換気をしましょう。

今、外出時はほぼ全ての人がマスクをつけていらっしゃいます。しかし、マスクから鼻が出ていたり、マスクを顎にひっかけているだけの方もちらほら見かけます。鼻が出てしまっていると、ウイルスを掃除機で吸い込んでいるようなもので、「頭隠して尻隠さず」になります。私自身は、手洗いと消毒は気をつけています。特に、トイレや人が触るドアノブなどを触ったあとは忘れないようにしています。医療現場では1処置1手指消毒が基本です。

今、コロナで昔のような生活ができずみなさんストレスがたまっていると思います。でもきっと終わりはあります。三密を避けたり手洗いやマスクをしたりするなど基本的な対策をすることがルーティンとして定着するよう気をつけていくべきだと思います。

渡部基信さん
(わたなべ もとのぶ) 1965年6月9日生まれ。 同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長、日本小児科学会小児科専門医、医学博士 臨床心理士、日本眠育推進協議会理事。 1993〜2002年福井赤十字病院小児科、2006年からは、現在の医療法人社団医聖会学研都市病院の小児科で勤務。

 

子どもの「安全や健康」について、周りに聞きにくいことや今更聞けない「#今さら聞けない子どもの安全」への質問を募集しています。「お寿司っていつから食べていいの?」「ベランダから落ちる事故を防ぐには?」など、実際にあったことや、もやもやしていることを「#今さら聞けない子どもの安全」をつけてツイートしませんか?

連載 #今さら聞けない子どもの安全

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます