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これってコロナ? 子どもの発熱〝自宅療養〟で気をつけるべきこと
感染源で一番多いルートは?
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感染源で一番多いルートは?
寒い時期に入り、新型コロナウイルスは第3波が広がっています。そんな中、情報がネット上にあふれ、どれを信じたらいいのか分からないという悩みも生まれています。周りに聞いても年代によって考えが違うことも。子育ての不安は増えるばかりです。「子どもが熱!コロナ?悪化したらどうしよう」。そんな場面の悩みについて、同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長で小児科医の渡部基信先生に聞きました。
渡部さん
インフルエンザ との見分け方はお医者さんでもすごく難しいのが現状です。今のところインフルエンザ については大きな流行なく経過していますが、今後は判断に迷うケースも出てくると思われます。 しかし、熱が出て苦しそうだ、というときに、急いで急患につれていったり、かかりつけの病院に駆け込んだりするのは慎重に考えた方がいいかもしれません。
今回の「第3波」は今までの流行とは規模が異なり、各地の医療機関は逼迫しています。熱が出てもすぐに受診できるとは限らず、待っている間に体調が悪化してしまうこともあります。さらに、もしコロナだったときに他の人たちにうつしてしまうかもしれません。発熱など感染症が疑われる患者のために、医療機関も診察室を分けるなど、準備が必要です。熱が出たら、 まずは病院や診療所に電話で問い合わせてください。パニックにならず「正しく恐れる」ということが大切です。
渡部さん
地元のお医者さんはコロナを含めその地域でどんな病気が流行っているか一番分かっています。さらに必要なときには、P C R検査を受けることができる地元の施設を紹介してくれるでしょう。問い合わせをした後、対応可能な時間帯に受診することによって、医療機関の混乱を防ぎ、ひいては適切な医療へとつながると思います。
記者
渡部さん
渡部さん
子どもの重症化は少なく、ほとんど無症状や軽症なので、病院で「自宅療養で大丈夫」と診断された場合は、熱や呼吸状態に注意しながら経過を見て下さい。
ただ、小児でも重くなる例もあります。特に基礎疾患を持っている子どもは気をつける必要があります。日本小児科学会のサイトにあるQ&A(新型コロナウイルス感染症に関するQ&A 小児における症状や注意点)には以下のように書かれています。
万一高熱続き症状が悪化しているようであれば、まずは保健所に問い合わせて、指示に従ってください。
記者
渡部さん
まず、子どもがコロナにかかる可能性としては、学校や幼稚園、保育園などでクラスターなどが流行っていない限り、家庭内からの感染が一番多いです。
さらに、子どもは家族の中で先行感染者(一番最初にコロナに感染する)ことは少ないようです。 家族の中の大人が外で感染して、家庭内に広めてしまうケースがほとんどです。
家庭内に入ってしまえば、乳児であれば授乳、幼児でもオムツを替えたりご飯を食べさせたりと濃厚接触は不可避です。なので、大人がまず家庭内にコロナを持ち込まないように気をつけることが大切なのです。
記者
渡部さん
記者
渡部さん
乳幼児検診や予防接種は定められた期間内に行ってください。 もちろん、これはコロナが流行っているかどうかにかかわらずですが、子どもも付き添いの大人も発熱や体調不良の場合は治ってから受けてください。
予防接種は、個人を守り、さらに社会全体を守ることにつながります。みんなが免疫を持っていることで社会全体にも免疫が付くので疫病が広がらないために必要なのです。小児科学会でも、予防接種や乳幼児検診を控える傾向に警鐘を鳴らしています。先ほど紹介したQ&Aのサイトでもこのように伝えています。
記者
渡部さん
先ほどもお話したように、まず大人が持ち込まないように気をつけることが大切です。子どもがコロナにかかる場合は家庭内で大人からうつされるパターンが多いからです。家の中に入ったらすぐに着替えてお風呂に入るのは有効です。家の中に持ち込まないということが大切です。今は冬で寒いですが、定期的に人が集まるようなところは換気をしましょう。
今、外出時はほぼ全ての人がマスクをつけていらっしゃいます。しかし、マスクから鼻が出ていたり、マスクを顎にひっかけているだけの方もちらほら見かけます。鼻が出てしまっていると、ウイルスを掃除機で吸い込んでいるようなもので、「頭隠して尻隠さず」になります。私自身は、手洗いと消毒は気をつけています。特に、トイレや人が触るドアノブなどを触ったあとは忘れないようにしています。医療現場では1処置1手指消毒が基本です。
今、コロナで昔のような生活ができずみなさんストレスがたまっていると思います。でもきっと終わりはあります。三密を避けたり手洗いやマスクをしたりするなど基本的な対策をすることがルーティンとして定着するよう気をつけていくべきだと思います。
渡部基信さん
(わたなべ もとのぶ) 1965年6月9日生まれ。 同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長、日本小児科学会小児科専門医、医学博士 臨床心理士、日本眠育推進協議会理事。 1993〜2002年福井赤十字病院小児科、2006年からは、現在の医療法人社団医聖会学研都市病院の小児科で勤務。
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