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グルメ

絶品レシピ「消防うどん」 急な出動も平気、消防官の胃袋満たす

「これいいやん! チョーサイコー!」息子もうなる…消防官のハードな胃袋満たす味 現代風のアレンジも

イラスト:仲程雄平 ※実際の料理時には防火服は着ていません 
イラスト:仲程雄平 ※実際の料理時には防火服は着ていません 

目次

「海軍カレー」でおなじみの「中の人のメシ」ですが、消防署にもあるのでしょうか? はい、私が勤めていた東京消防庁にもありました。元消防官の記者が経験談を交えて解説する消防のトリビア。今回は……私が勤めていた消防署、ひいては、東京消防庁の「消防メシ」の代表である「消防うどん」を、レシピも含めて紹介します。(元消防官の朝日新聞記者・仲程雄平)

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つけ麺。その理由は……

レスキュー隊員に憧れていた私は、高校を卒業して消防官になりました。2002年に東京消防庁に入庁し、2010年春まで東京都北区の滝野川消防署で勤務しました。

その間に夜間大学で学び、文章の魅力に取り憑かれた私は、お世話になった東京消防庁から飛び出し見聞を広め、ペンで食べていきたいと考えるようになり、新聞社に転職するために東京消防庁を退職しました。

その後、2011年春に朝日新聞社に入社しました。

当時の滝野川消防署
当時の滝野川消防署

シリーズの第2弾(2020年12月15日withnewsで配信)は、消防署の「台所事情」を解説しました。
その中で「消防うどん」にも触れました。

今回のテーマは、消防署の厨房で作っていた「消防うどん」です。

消防署では、ハンバーグやコロッケなどといった手の込んだ料理はしませんが、カレーライス、しょうが焼き、野菜炒め……といろんな料理を作ります。

その中で「消防メシ」と言えるものが「消防うどん」なんです。

ちなみに、当然のことかとは思いますが、消防官の人たちは、自分たちが作っているうどんのことを「消防うどん」とは呼びません。
ありのままに「うどん」です。

「消防うどん」は基本的に、仕事を終えた夜に仕込み、翌朝に朝食として出します。

どこが、普通のうどんと違うのか?

つけ麺なんですね。

なぜ、つけ麺なのか?

うどんを食べている最中に出動し、消防活動を終えて消防署に帰って来ても、麺が伸びていないからです。
麺に水を通し、つゆをレンジでチンすれば、またおいしく食べられます。
出動があることを念頭に置いた、消防署らしい「うどん」なんです。

レシピを紹介 「ツウ」な食べ方も教えます

それでは、本丸のレシピを紹介します。
元同僚にも確認をとった、スタンダードなレシピです。

■スタンダードな「消防うどん」のつゆのレシピ

(今回実際に使った分量です。5、6人前かと思います)

・乾麺(人数分の束)

・豚バラ(約200グラム)

・さつま揚げ(1袋)

・油揚げ(1袋)

・しいたけ、しめじ、えのき(各1パックないし1袋)

・タマネギ(1玉)

・長ネギ(1束)

・水、しょうゆ、めんつゆ、みりん、酒、かつおだし、砂糖(しょうゆとめんつゆをベースに各適量)

つゆの作り方は単純で、水を張った鍋をコンロにかけ、各材料を切って放り込み(豚バラは炒めてから入れても、そのまま入れてもOKです)、調味料で味付けをするだけです。

そうすると、写真のように、鍋が具だくさんのつゆで一杯になります。


麺につきましては、茹でる時間はかかりますが、乾麺を使うことをオススメします。茹でたあと、冷水で締めた麺はつゆによく合うからです。

茹でたあとの麺は冷水でしっかり締めます
茹でたあとの麺は冷水でしっかり締めます


自宅で久しぶりに作ってみた「消防うどん」がコチラです。

まさしく、コレです。

具だくさんのつゆに、艶やかなつけ麺。

これが「消防うどん」なんです。

麺をつゆに浸して一気にすすります
麺をつゆに浸して一気にすすります

一口食べた私の第一声は、「なつかしっ!」でした。

つゆににじみ出ている、さつま揚げの甘みや豚バラの旨みが「消防うどん」の特徴です。じわ~っと口の中に広がります。

7歳の息子にも食べさせました。

「うまいっ! これなら、ウーウーってなっても、箸置いてすぐ行けるやん! これいいやん! チョーサイコー!」

「消防うどん」としか説明していないのに……100点満点の感想を言ってくれました。

元消防官の妻にも食べてもらいました。
「おいしい」とは言ってくれましたが、「こんな具入ってたっけ……(消防署の朝食の「消防うどん」は)おいしかったって覚えてはいるんだけど……」ということでした。

ここでおまけとして、「消防うどん」の「ツウ」な食べ方も紹介します。

残りもののカレーをつゆに入れて、「カレー消防うどん」にするんです。

これは、私が在職時に実際にやっていたことで、夕食で余ったカレーを、翌朝の「消防うどん」に入れて食べていました。

そうです。まずいわけがありません。

夕食にカレーが出て、さらにルーが余らないと実現しない、「レア」な食べ方でしたからなおさらでした。

今回、たまたま自宅に残りもののカレーがありましたので、翌日、「消防うどん」を「カレー消防うどん」にして食しました。

つゆがカレー色をしているのが分かるかと思います
つゆがカレー色をしているのが分かるかと思います

「なつかしっ! これはたまらんっ!」

申し分ないうまさに舌鼓を打ちました。

アレンジされるスタンダード

「消防うどん」の今も取材しました。

東京消防庁の元同僚によると、スタンダードな「消防うどん」だけでなく、

・つゆを白だしメインに
・担々麺風に
・とろみをつけて中華風に
・肉みそを作って混ぜ麺に

と、「消防うどん」をアレンジする消防官が出てきた、ということでした。
また、最近では時間短縮のために、乾麺ではなく冷凍うどんを使う消防官もいるということでした。

私は「消防うどん」が、東京消防庁以外でも当然作られているものだと、勝手に思い込んできたのですが、どうも違ったようです。

兵庫県内の消防本部で働く知人も、京都府南部の消防本部で働く弟も、「消防うどん」は作っていない、ということでした。

兵庫県内のその消防本部は、現在は食事を作っていないようですが、知人は、「消防メシ」と言えば「消防うどん」ではなく、「食事を作っていた頃は、朝から牛すじを煮込んで、こだわりのカレーを作ったりしていました」と教えてくれました。

全国には、特徴ある「消防メシ」を作って英気を養い、災害に備えている消防署がまだまだあると思います。

「消防うどん」、ぜひ、皆さんの消防署や皆さんのご家庭で試してみてください。

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