連載
#6 「きょうも回してる?」
「そりゃ鬼滅は出したい、でも…」ガチャガチャメーカーの誇り
「ワクワク」とスリル感のはざまで経営
ガチャガチャ業界は受注産業です。その産業から誕生する新商品は毎月少なくとも60タイトル、300種類ほどになります。メーカーは国内で30社ほどあり、毎月目まぐるしく商品を作っています。
各メーカーは、いかにヒット商品を生み出し、いかに販売店から多くの受注を獲得できるかがカギになります。
とくに、オリジナルだけで勝負しているメーカーは経営をする上で、ヒット商品を持っているか否かはとても重要になってきます。
正直言って、オリジナル商品は何が売れるかわからないからです。また、販売店もキャラクター商品ならどれくらい売れるかは計算ができますが、オリジナル商品だと、どれくらい売れるか判断できず、初回の受注数を少なくする現状があります。
メーカーが「これはウケる!」と万全を期してこだわりを見せた商品を販売しても、初回受注で終わってしまうことも。さらに、あまりに造形にこだわりすぎて、金型など製作費が赤字なるケースが多々あります。
ただ、ガチャガチャの商品以外に、アミューズメントやホビー事業などを展開しているメーカーの場合、赤字の部分を補填できます。
しかし、オリジナルだけの商品を作るメーカーはその補填ができません。だから、オリジナルだけで勝負するメーカーは何かひとつヒット商品を生み出さないと経営的に厳しくなります。
まるで自転車操業のように、「次こそは!」とワクワクする商品を考えながらも、「いつまで経営が続けられるのか」というスリルを感じながら経営しているのです。
「そりゃ、うちだって鬼滅の刃の商品を出したいよ、だって売れるから。でもね、それは売れるだけの楽しみしかないよね。オリジナル商品を作ったときのようなワクワクはない 」
あるメーカーの人の本音を聞いたことがあります。このメーカーのように、オリジナル商品に対する矜持を見せるメーカーがいることも事実です。
オリジナル商品で勝負をしているメーカーは、業界の生き残りをかけて、毎回「ヒット商品になってほしい!」と願いながら商品と向き合っているのです。
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