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連載

#2 #今さら聞けない子どもの安全

子どもにコロナうつさないには?インフル対策と同じ、オフこそ注意

乳児は「マスク禁止」の理由

子どもが熱…コロナと疑っていい? ※画像はイメージです
子どもが熱…コロナと疑っていい? ※画像はイメージです

目次

子育てに関する情報がネット上にあふれる中、どれを信じたらいいのか分からないという悩みも生まれています。周りに聞いても年代によって考えが違うことも。新型コロナウイルスは、子育ての不安をさらに大きくしています。「こどもが咳している!風邪?コロナ?どうしたらいいの?」。そんな場面の悩みについて、同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長で小児科医の渡部基信先生に聞きました。

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コロナかどうか見分けるには?

【質問】
子どもは保育園や幼稚園でよく風邪をもらってきます。とくに1歳のときはよく熱を出して入院したことも。コロナ禍で保育園が再開し、預けるようになりましたが、ちょっとした風邪なのか、コロナなのか見分けが子どもは難しいと思います。線引きはどうしたらよいのでしょうか。毎回コロナの検査をしてもらう必要はありますか。とくに最近インフルエンザが流行る時期です。また、家庭内で普段乳幼児がいるときに気をつけるべきことはなんでしょうか。家庭内感染も怖いです。
(34歳の記者)

 

渡部さん

ご指摘のように、これからの問題点として、コロナウイルス 感染とインフルエンザ等他の感染症と症状から見分けがつかないことがあります。しかしながら、これら感染症に対する予防法はコロナもインフルエンザも一緒です。手洗い、マスク、人混みは避けるなど、地道な対策が大切です。乳幼児の感染予防は、まず他のご家族の感染予防を徹底し、家庭内に持ち込まないことです。ご家族のインフルエンザワクチンの接種をお願いします。今、インフルエンザの流行に備えて、各医療機関ではコロナウイルス対策を練り直している最中です。熱などの症状があるときは、まず医療機関に電話で問い合わせてから、受診して下さい。事前に連絡なく直接来院されたときは、医療機関が対応できず、受診出来ない可能性があります。検査の必要性については、各医療機関で、症状、流行状況など判断して行っています。

家庭内感染は防げるの?

 

記者

予防接種する以外で家庭内で大人が気をつけることは何でしょうか

 

渡部さん

コロナウイルスに限らず、家族の1人が感染症になりますと、家庭内感染を防ぐことはとても難しいです。特に、乳幼児の場合では、母乳を飲ませたり、ご飯を食べさせたり、など濃厚接触が不可避です。そのため、一人一人が意識をし、自分の家庭にもちこまないというのが大事です。特に、仕事のときは皆さん気を張って感染防御をしていると思いますが、 オフの時こそさらに気をつけて欲しいです。例えば、我々医療者は病院での感染対策は当然ですが、オフもやっぱり医療者であるということを忘れずに、感染対策を心掛けています。我々だってぱっとリフレッシュしたい、という気持ちは山々です。しかしながら、コロナウイルス に人間のオンもオフは関係なく、気の緩みは感染リスクを高めることにつながります。

 

記者

仕事でどうしても取引先や会社の人と会食に行かなければならない、というときには、どう対策をすればよいでしょうか。

 

渡部さん

コロナウイルスによる第3波の感染拡大が全国的に見られるようになりました。自覚症状がなくとも、感染しているという可能性が、すべての人にある状況です。食事中マスクを外すことにより、飛沫が大量に飛散します。もし自分が感染していたら、会食中に大切な取引先のお客様に病気をうつしてしまうかも知れません。自分の健康を守るとともに、 周囲の人への配慮が、感染防止につながると思います。 外食をする場合、家族のようにお互いの健康状態を把握しているグループで、ごく小人数ならば、感染のリスクを抑えることが出来ると思います。忘年会も一堂に会するやり方ではなく、3、4人程度のグループに分散して行い、その時の様子をオンラインで中継したり、S N Sにアップしてみんなで楽しむ方法などいかがでしょう。

 

記者

大人もオフのときは楽しみたい場合、気をつけるべきことは何でしょうか。

 

渡部さん

もし、どこかへ出かけるならば、やはり家族のようにお互いの健康状態を把握しているグループで、少人数が望ましいと思います。お互いきちんとマスクをして、不特定多数の人々が出入りする場所には、長時間留まらないことも大切です。今は、それぞれの施設の方が対策を考えていらっしゃいますから、我々も利用しやすくなりました。しかしながら、最終的に大切なのは、自分で自分の身を守り、他の人への配慮を忘れないことだと思います。 いくら少人数でも、体調が悪い時は無理しないようにお願いします。

検査で陰性、安心していいの?

 

記者

コロナかもしれない、体調が悪い、という時にはどう対応をすればよいでしょうか。

 

渡部さん

ちょっと体調が悪い、というときに心配になってコロナの検査をすぐに受けたいという気持ちも分かります。しかしながら、 あまりパニックにならないことも大切です。まずは、かかりつけの病院やクリニックに電話で相談してください。地域によりコロナウイルス そしてインフルエンザ の流行状況は異なります。地域の医療機関の先生は、その地域で流行っている病気についてなど詳しいと思います。コロナの流行状況、患者さんの症状などを総合的に考えた上で、医師は検査をするかどうかという判断をします。かかりつけのお医者さんに相談し、先生の指示を仰いでください。そして、体調が悪ければ、躊躇せず保育園や学校や仕事を休んでください。今は発熱時の休み方については、それぞれの施設で規定があるかと多います。無理をしない、無理をさせないことが大切です。

 

記者

検査で陰性が出たら、安心して生活できますか

 

渡部さん

PCR検査でマイナスが出ると、免罪符のように思ってしまう人がいます。 検査は100%の正確性はなく過信すると危険です。「検査、検査」と焦る気持ちもわかりますが、まず受診した医療機関の先生と相談し、必要と判断された時に検査をしていただくことが第一です。

子どもにマスクとアルコール消毒はさせていい?

 

記者

子どものマスクはさせていません。必要はありますか

 

渡部さん

少なくとも 2歳まではさせないでください。日本小児科学会が発表していますが、乳児の呼吸器の空気の通り道は狭いので、マスクは呼吸をしにくくさせ 呼吸や心臓への負担になってしまいます。また、窒息のリスクが高まり、熱がこもって熱中症のリスクが高まる可能性があります。また、顔や唇を覆うことで、唇の色や、表情の変化など、体調異変への気づきが遅れてしまう可能性があります。3歳以上の子どもだから必ず安全というわけでもありません。小さい子どもたちはマスクをすると、隙間が空いていたり、鼻や口が見えていたり、ちゃんとできている場合が少ないのが現状です。小さい子どもの場合、人混みを避ける、手を洗うなど、他の予防法の方がむしろ大切と思います。

 

記者

幼児にアルコールの消毒液を頻繁に使うのは体に良くありませんか

 

渡部さん

手が荒れにくい場合は、アルコールを使っても良いと思います。幼児がひとりでは難しいので、必ず大人が助けてあげて下さい。万一、目に入った場合は、水でよく洗い、痛み・充血が続くときは、眼科の先生に相談してみて下さい。

「うつさない」思いやりが大切

 

記者

コロナ対策をしながら生活する上で大事なことは?

メコメ

渡部さん

私が一番伝えたいことは、「うつらないようにする」前に 「人にうつさないようにする」という意識が、大きな意味で社会全体の予防になるということです。人混みに行かないというのは、誰かにうつしちゃう可能性もあるかもしれないという配慮。マスクをせずに大声でしゃべると、周りの人にうつしちゃうかも。と考えて行動するということです。 コロナウイルスに対する治療法も予防法も確立していない今の状況で、日本は諸外国と比べると感染の拡大を抑えられています。私は、日本の社会の「思いやり」が成果に繫がっているのではと考えています。感染症に独り勝ちはありません。環境を整え、みんなで防ぐものなのです。一人一人がお互いの身体を気遣い、思いやることが、社会全体の感染予防に大切なことです。
※イメージ写真を変更しました(2020年12月8日)

渡部基信さん
(わたなべ もとのぶ) 1965年6月9日生まれ。 同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長、日本小児科学会小児科専門医、医学博士 臨床心理士、日本眠育推進協議会理事。 1993〜2002年福井赤十字病院小児科、2006年からは、現在の医療法人社団医聖会学研都市病院の小児科で勤務。

 

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