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ミックスジュース「発祥の店」存続のため立ち上がった大阪人の熱意
絶妙な果実味に欠かせない〝リンゴの皮〟
大阪の名物「ミックスジュース」には、発祥の地と言われるお店があります。新世界に構える、「千成屋珈琲」です。一度は閉店に追い込まれましたが、地元の人々の熱意から、引き継いだ企業が再オープン。さらには新店舗も展開し、若い人たちに味を広めるための挑戦もしています。今回はオープンしたばかりの「センナリヤフルーツパーラー」に訪問しました。
訪れたのは、9月にオープンしたばかりの「センナリヤフルーツパーラー」。ミックスジュースを生んだと言われる1948年(昭和23年)創業の新世界の喫茶店「千成屋珈琲」の運営会社が展開する新店舗です。1階は流行りの台湾カステラ店を併設し、2階がフルーツーパーラーになっています。
フルーツパーラーでオリジナルのミックスジュースやオムライスなど喫茶店の名物メニューのほか、若い女性をターゲットに狙ったフルーツを使った新メニューをそろえました。新世界の本店は残念ながら、コロナの影響で少なくとも11月中は休業するとのことです。
10月に訪れたセンナリヤフルーツパーラーは、阪急駅高架下の好立地。若者の集まる茶屋町に近いこともあり、若い女性たちでにぎわっていました。
さっそくオリジナルのミックスジュースMサイズ(税抜き500円)を注文しました。レトロな重厚感のあるガラスのコップに入っていて、ストローで飲んでみると、すぐに吸い込めないくらい、シャリっとした「氷感」があります。スムージーのような口当たり。リンゴとバナナの味が先にでて、すっきりとした味わいでした。
ミックスジュースの歴史は1948年にさかのぼります。新世界の「ジャンジャン横丁」で初代店主が前身となる果物店を創業し、完熟した果物をミキサーにかけ店頭で提供したのが始まりといわれています。
地元の人たちに大人気となったため、1960年、喫茶店「千成屋珈琲」へと業態を変え「冷コー(アイスコーヒー)」とともに2大看板メニューとなり、親しまれました。
しかし、3代目店主が体調を壊し2016年に一度閉店してしまいました。その時、「大阪の文化をどうにかつなぎとめたい」と動いたのが、地元商店街の人々です。
飲食・プロモーション業の地元会社「LIFE style」が手を挙げ、存続が決定。同社が翌2017年から経営を引き継ぎ、再オープンを果たしました。
担当の後閑昇さんは「レシピを完全に引き継ぎ、味を守っていきたいという思いで始めました」と話します。
当時、朝日新聞でも地元の人々の思いを記事にしていました。
そんな発祥の店の「伝統の味」のレシピは、どんなものなのでしょうか?
フルーツは、バナナ、りんご、缶詰のミカンと黄桃を使っています。リンゴは、皮も残るようにすることで果実味を残しているそうです。さらに、四角い氷(製氷器の大きさと同じ)、牛乳は欠かせません。
甘味については、「企業秘密」ということでした。ただ、甘すぎずすっきりとした味わいが印象的でした。
後閑さんは「ミックスジュースにはフルーツが命。果物の卸店3店舗と契約してその中で状態の良いものを仕入れています」とこだわっています。
後閑さんは「私たちは、味を守ることとともに、もっと全国に味を広めることが使命だと思っています。喫茶店には比較的高齢の方が多くいらっしゃります。若い人たちにはなじみがあまりないため、知ってもらうことが必要だと思いました」と意気込みます。
LIFE style は8月には関東に2店舗目を神奈川県川崎市の若者に人気の大型ショッピングモール「ラゾーナ川崎プラザ」に構えました。さらに、9月には阪急梅田近くに「センナリヤフルーツパーラー」を開店。フルーツパーラーのターゲットは、「流行に敏感で、SNSなどで発進力のある若い20~30代」だと言います。
「ミックスジュースから連想するのはフルーツ。だからこそ、フルーツパーラーとして品質を重視し、ジュースだけでなくたくさんのフルーツメニューの展開に力を入れています」
オリジナルのミックスジュースのほか、生のフルーツをトッピングした「ロイヤルミックスジュース」、アイスを乗せた「フロート」など種類を増やしました。
さらには、パフェも多数展開。店内の雰囲気は、レトロなインテリアで、おしゃれですが、高級すぎるイメージではありません。その理由として「東京には老舗のフルーツパーラーはあります。ただ、値段が高価でなかなか通えない人も多い。もっと若い女性にも気軽に入ってもらえるようにパフェの価格も1500円以内に抑えています」と明かします。チョコバナナパフェが880円、シャインマスカットパフェも1500円でした。(税抜き)。
店舗デザインなども手がける飲食プロデュース会社であるLifestyleは、10月9日に、フルーツパーラーの1階でテイクアウト専門の「台湾カステラ 米米(ファンファン)梅田」もオープンしました。
「タピオカの流行が去って、東京では台湾カステラ店が出始めました。大阪で流行を作りたい」
10月9日に取材で訪問すると、女性が列を作っていてすぐに売り切れに。台湾のオリジナルと違い、タピオカ粉と米粉を使うことで、グルテンフリーでされにもちっとした味わい。2階のフルーツパーラーでは、フルーツを乗せたイートインメニューまで出しています。
詳しくは以下の各ページで店舗案内をご覧ください
今は、高齢化だけでなくコロナ禍で昔から愛される飲食店が次々と閉店しています。そんな中、自宅でも楽しめる持ち帰りの「ミックスジュースの素」(410円)も販売するなど、「大阪のミックスジュース」に触れる機会を増やそうとする挑戦が続いています。
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