連載
#85 #父親のモヤモヤ
笑顔で見送った妻、帰宅すると家出していた……父親が得た「教訓」
【#父親のモヤモヤが書籍に】
多くの父親の葛藤に耳を傾けてきた連載「#父親のモヤモヤ」が『妻に言えない夫の本音 仕事と子育てをめぐる葛藤の正体』というタイトルで、朝日新書(朝日新聞出版)から10月13日に発売されました。
「イクメン」の誕生から10年。男性の育児が促される一方、葛藤を打ち明けられずに孤立する父親たち。直面する困難を検証し、子育てがしやすい社会のあり方を考える一冊です。詳細はコチラから。
番組は、九州朝日放送(KBC)の「小林徹夫のアサデス。ラジオ」。仕事と家庭の両立などに葛藤する男性の姿を描く朝日新聞の「#父親のモヤモヤ」企画とのコラボコーナーに男性は登場しました。放送は9月でした。
登場した男性は、馬場義之さん(50)。妻と3人の子どもがいます。月1回程度開き、葛藤を語り合う「#父親のモヤモヤ・オンラインオフ会」に参加してもらったご縁で出演が決まりました。
この日の放送では、小林徹夫アナウンサーがお休みで、馬場さんと同じく三児の父親でもある沖繁義アナと、一児の母親の山﨑萌絵アナで進行しました。
テーマは、「家事育児の分担」。沖アナが、ベランダに干した洗濯物を妻がきれいに直してモヤモヤしたというエピソードを紹介。「自分(の器)が小さいと思うことがある」と話しました。山﨑アナは「洗濯は夫で、朝ご飯は私、夜ごはんは空いている方」と分担を明らかにしました。
番組に登場した馬場さんは、分担について「夫婦の縦割り」になりかねないとして「決めていない」。「排水溝など、妻がやらないところをやっています」と話しました。
魚の三枚下ろしもするなど料理にも積極的な馬場さん。雰囲気が変わったのは「どんなことでぶつかりましたか?」という山﨑アナの質問です。
「随分前になるのですが、長男が2歳の時、10年ほど前、妻が笑顔で送り出してくれたのですが、残業して帰ると部屋が暗くなって、妻が家出をしちゃったんです」
「えっ」という山﨑アナの反応に馬場さんが続けます。「私としては、やっているつもりでも、妻としては最優先にうつらなかった。それまで不満を言いませんでしたが、ある日突然、水があふれたんですよね。例えば、産後にしてほしいことがあったとか、初めて気づいたんです」
この話に沖アナも「僕もそういうところがある。笑顔で送ってくれると、円満にいっている気になってしまう。話をしなくてもわかってくれると思ってしまうけど、話をすることは大事」とコメントしました。
馬場さんは、夫婦関係をOSに例えながら「教訓」を語りました。
「ちょっと前まで、夫が(古い)『Windows98』で妻が最新型。そこでギャップがありました。この頃は変わってきて、(モデルは同じ最新型のスマホでも)Androidの端末にiPhoneのアプリは載らないということがある。子どもを塾にやるかどうか、という手法論ではなくて、お互いに(価値観のすりあわせという)OSの平準化をした方がよいと思うようになりました」
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