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「エゴサの鬼」河野太郎大臣、10年分のツイート分析からわかった異変
「ツイッターはやらない」河野大臣を「宗旨替え」させたのは…

「ツイッターはやらない」河野大臣を「宗旨替え」させたのは…
これまでツィッターはやらないと行ってきましたが、今日、ブロードバンド推進協議会の新年会で孫正義会長から、ツィッターを一度試してみるべきと説得され、宗旨替えしてみます。
— 河野太郎 (@konotarogomame) January 13, 2010
突然の「宗旨替え」だったためか、周囲からは「偽物疑惑」が出ていたことも明かしています。
偽物疑惑が出ているらしい。お騒がせしました。
@konotarogomameが日本語、@konotarompは英語発信用です。
その後も着実にフォロワーを増やしていき、「ツイッター生活」を謳歌しているかと思いきや、2011年5月にはブログでこんな「弊害」をつづっています。
ツィッター以前は、電車の待ち時間とか、会議が始まるまでの5分とかに本を開いて読んでいたが、ツィッターを始めてから、そうした時間はツィッターにとられるようになった。
結構、この数分の積み重ねが馬鹿にできない。

破竹の勢いでフォロワーが増加
その勢いのまま、2019年9月に防衛大臣に就任すると、約1カ月で20万人ものフォロワーが増加。自衛隊の「ファン」も取り込みながら破竹の勢いで100万人を突破し、2020年9月末には200万人へ。この1年で約100万人のフォロワーを増やしています。
防衛大臣に就任した2019年9月11日の会見では、ツイートに関する記者の質問にこのように答えています。

ツイートの時間帯から見る大臣の動き
外務大臣時代と防衛大臣時代を比較して興味深いのが、ツイートを投稿する時間帯です。外務大臣在任時は21時頃を中心に夜ツイートが増える傾向があるのに対して、防衛大臣時代は12時台のお昼時にピークがあります。2015年10月~2016年8月の国家公安委員会委員長時代に比べても、外務大臣時代はこうした傾向が異なります。
外務大臣としての河野氏は、約2年の在任期間中にのべ123の国と地域に訪問し、歴代過去最多とされています。「3日に1回」以上は出張している計算になるほど、頻繁に外国出張していました。これによる「時差」が投稿する時間帯にも変化を及ぼしていることが考えられます。

更には、テキストマイニングのフリーソフト「KHcoder」を用いてツイートを調べると、外相在任中に最もつぶやかれていたのは「外相」の493回。他にも上位には「会談(418回)」「会合(148回)」「表敬(141回)」など会談にまつわる言葉が目立ち、足を使った外交をアピールする狙いがあると思われます。

リツイートに注力した防衛相時代
在任中に最もリツイートされていたのは、「防衛省統合幕僚監部」(@jointstaffpa)で267回。「防衛省・自衛隊」(@ModJapan_jp)187回、「陸上自衛隊 東部方面隊」(@JGSDF_EA_PR)111回と続きます。自衛隊は基地や地方協力本部、師団単位でもアカウントを持っており、河野大臣は「目指せフォロワー5000人」とフォロワー増加を後押しするツイートも投稿してきました。

こうした取り組みについて、9月13日の記者会見ではこのように語っています。
(中略)
いつどこで給水をやるとか、いつどこで入浴支援をするとか、そういう先々の情報もできる限り、負担にならない限りで流してほしいという要請をしていますので、そういうのが流れ始めたら、ツイッターでは私がリツイートしようと思っています
(中略)
こういう情報がここにありますよ、と自治体も流してくれていますが、それに加えて、自衛隊の方でもそういう情報が分かれば、部隊ごとに情報を出してください、とお願いをしているところです。
行政改革担当大臣になって1カ月、今後は…
行政改革担当大臣に就任して1カ月。ツイートの頻度は防衛大臣時代を踏襲しつつも、外務省や防衛省、自衛隊といった、足場となる組織のアカウントがないことも影響しているのか、リツイートの割合は16%程度(10月11日までのデータ)と減っています。

デジタル化の推進を進める菅内閣において、行政改革担当大臣として、ツイッター上でも外務大臣、防衛大臣時代とは違う新たな戦略を打ち出すことができるのか。
政界の「ツイッター第一人者」である河野大臣。投稿内容だけでなく、アカウント活用の変化も見逃せません。
この企画は朝日新聞社の技術部門・情報技術本部の研究開発チーム「ICTRAD(アイシートラッド)」を中心に、最新技術やデータを最近の出来事や身近な話題と組み合わせて紹介する連載です。