MENU CLOSE

お金と仕事

「リモートは絶対ではない」創業時から在宅、あるベンチャーの気づき

リモートワークやオンライン会議が進んだ日本。これからの働き方とは=PIXTA
リモートワークやオンライン会議が進んだ日本。これからの働き方とは=PIXTA

目次

新型コロナウイルスの感染拡大以降、3密を回避するため、リモートワークやオンライン会議の推進など、これまでの働き方が大きく変わっています。リクナビの副編集長などリクルートで10年間人材領域に携わり、現在はオンラインアウトソーシングの会社で働く小澤美佳さん@mica823が「『withコロナ時代』の働き方」を考えます。
【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

リモート=在宅勤務だけではない

こんにちは、小澤美佳です。これを読むみなさんの中には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、働き方が変化した方も多いのではないでしょうか。

今回は「リモートワーク」をキーワードに、「自分らしい働き方、そして生き方は何か」ということをお伝えします。

リモートワークが実現できること=knit提供
リモートワークが実現できること=knit提供

私が働いているknit(ニット)という会社は、様々な組織や個人の業務をオンラインで代行するサービスを展開しています。会社は都内にありますが、事業はオンラインで完結するので、創業からフルリモートを前提としたマネジメント。現在400人のリモートワーカーが在籍しています。

今は、感染防止対策から「リモート=在宅勤務」のように取り上げられていますが、本来、リモートワークというのは、オフィス以外で仕事をすることです。自宅以外にも、カフェやコワーキングスペース、旅行先……など、色々な場所で仕事をすることを指します。

リモートワークになれば、出社による拘束もなくなり、時間の使い方も自由度が上がります。そのような働き方の一例として、ニットでリモートワーカーとして働く女性を紹介します。

3児(13歳、9歳、6歳)の母親でもある女性は、1日のスケジュールに「スマホでメール対応/家事」「子どもの宿題見ながら、資料作成」といったような「仕事とプライベート」が混ざり合った時間があります。これはまさに、リモートワークによってもたらされるライフスタイルです。

knitに在籍するワーキングマザーのスケジュール=同社提供
knitに在籍するワーキングマザーのスケジュール=同社提供

リモートワークはコロナ禍限定?

新型コロナの影響で初めて、リモートワークを経験した人は多いと思います。また、緊急事態宣言の解除後、少し落ち着いたと思ったらまた感染が拡大してきたので、再びリモートで働いている人もいると思います。

今回、Twitterで「新型コロナウイルスの終息後の働き方」についてアンケートをしてみました。

231票が集まった結果は、リモートワークを続けたい人(基本リモート+時と場合によってはリモート)が80.1%と大多数でした。緊急事態宣言をきっかけに、働き方の意識が大きく変わってきているのを感じます。

東京都の統計によると、周辺の県から東京に通勤する人は約300万人います。例えば、この300万人が全員リモートになったら、満員電車から解放され、精神的・肉体的な疲労もなくなるでしょう。仕事の生産性が上がる人も増えるかもしれません。

在宅勤務制度を整えている企業は本当に増えています。企業によっては「週2日在宅勤務」と設定しているところもあります。ただ、ここで質問です。リモートワークって本当に必要なのでしょうか。

リモートに向かない仕事も

私の答えは「リモートワークは絶対ではない」です。なぜかというと、実は対面の方が向いている業務があるからです。

みなさんも「○○さんとの会話がきっかけでこのアイデアを思いつきました」という話をよく聞きませんか。

創業時からフルリモートを推進しながら、オフィスも構えているニットの経験を通して、イノベーションは何気ない会話から生まれることが多いのではと考えています。

「熱量が伝わりづらい」ということも、大きな弊害と言えるかもしれません。テキストコミュニケーションが中心になるので、「文字に体温を乗せられるか?」ということも、大事なポイントです。

ですので私は、「すべてリモートが正しい!」と言う気は全くありません。それよりも、対面とリモートそれぞれの強みを理解しながら、自社の状態や部署の特徴に当てはめて実践するのが大事です。「なぜリモートワークをするのか?」「なぜオフィスワークをするのか?」ということを、業務の棚卸しによって会社単位から部署単位、理想は個人レベルで明確にした方が良いと考えています。

対面の方が向いている業務=同社提供
対面の方が向いている業務=同社提供

自分の人生を改めて考える

もちろん、最初は上手くいかないこともあると思います。例えば、リモートワークは評価や育成が変わる部分も出てくるので、マネジメントが難しくなります。

理想は、試行錯誤しながら会社にあった形の働き方を目指すことです。柔軟さを取り入れながら、事業運営をしていくことで、きっと今まで以上に、生き生きとした組織を創ることもできると思っています。

そしてそれは、私たち一人一人にも当てはまります。冒頭で紹介した女性は、前職がフルタイムの外勤でしたが、東日本大震災をきっかけに、「子どもたちのそばで仕事をしたい」と考え、ニットで働くことを選択しています。彼女以外にも、特定の家を持たずに住む場所を転々とする「アドレスホッパー」の営業やUターンで地元の鳥取へ拠点を移して、農業とニットの仕事をしている事業開発などもいます。

これまでは、「ワークライフバランス」と言われていたように、ワークとライフがバランスよく保たれている状態が良いよね、とされてきました。しかし最近では、 ワークとライフが混ざり合う「ワークライフブレンド」が増えてきています。

ワークライフブレンドに移る、これからの働き方=同社提供
ワークライフブレンドに移る、これからの働き方=同社提供

その際に、時間や場所にとらわれず、様々な働き方の可能性を見出せるのがリモートワークの最大のメリットです。コロナ禍以降、皆さんの中でも、自分らしいワークライフブレンドが見えてきた人がいるのではないでしょうか。

お伝えしたようにリモートワークは、業種、創業からの年次、従業員規模、文化…様々な特徴によっても、向き不向きがあります。あくまで、自分らしい働き方をするための手段にすぎません。

自分らしい働き方は、生き方にもつながります。だからこそ、オフライン・オンラインでの仕事のスタイルをどう決めていくかは、新型コロナが終息した後も重要な価値観になると思っています。今回の記事が、自分や組織の働き方を見つめ直すきっかけになれば良いなと思います。

小澤美佳 株式会社knit(ニット)広報。2008年に株式会社リクルート入社。中途採用領域の営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年 中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→人事→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。Twitterアカウントは16,000人以上のフォロワーがいる。

Twitterアカウント:https://twitter.com/mica823
note:https://note.com/micakozawa

小澤美佳さん=同社提供
小澤美佳さん=同社提供

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます