MENU CLOSE

連載

#78 #父親のモヤモヤ

家事も育児も「文化の衝突」散らかりが気になる“ズレ”どう埋める?

「#父親のモヤモヤ」オンラインオフ会で、父親たちが語り合いました。

夫婦で家事育児分担は決めていますか?(写真はイメージです)
夫婦で家事育児分担は決めていますか?(写真はイメージです) 出典: PIXTA

目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

子育て世代の課題の一つは、家事と育児の分担です。仕事をしているとはいえ、「忙しい」「疲れている」は言い訳にできません。夫婦でうまく連携していきたいと思っていても、掃除や洗濯、教育などへのこだわりのズレでストレスを感じることもあります。「文化の衝突」とも言える価値観の違いをどう埋めるか。「#父親のモヤモヤ」オンラインオフ会で、語り合いました。
【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」

【#父親のモヤモヤが書籍に】
多くの父親の葛藤に耳を傾けてきた連載「#父親のモヤモヤ」が『妻に言えない夫の本音 仕事と子育てをめぐる葛藤の正体』というタイトルで、朝日新書(朝日新聞出版)から10月13日に発売されます。

「イクメン」の誕生から10年。男性の育児が促される一方、葛藤を打ち明けられずに孤立する父親たち。直面する困難を検証し、子育てがしやすい社会のあり方を考える一冊です。詳細はコチラから。

家事育児分担、決めていない人が多数

8月29日に開いた「#父親のモヤモヤ」オンラインオフ会で、20〜40代の父親10人が家事育児分担について共有しました。参加者のうち、事前アンケートで「妻と家事育児分担を決めている」と答えたのは3人。他の父親は「明確には決めていない」「基本的には妻が行っている」などと答えました。

3人の子の父親は、「大雑把にしないと回らなくなった」と打ち明けました。「子どもが1人、2人のときは1対1で相手をできますが、3人だとそうはいきません。一度家事を見直して、大雑把にやろうと分担をやめました」

例えば掃除一つをとっても、分担制にすると担当者がやっていないことで責めたり、ストレスをためたりしてしまします。しかし、散らかっていてもいい前提で、かつ分担をしていなければ、心穏やかに自ら動いて掃除することができるといいます。

役割分担は「ざっくり決まっている」という別の父親も、「方針としては大雑把な方に合わせるようにしている」と話しました。「役割分担をしたら、いつ家事をするかは相手の自由。いつも朝やっている洗濯を夜やるのも自由です」

「ルールを決めてしまうことで、ルール以外のことをやってもらえなくなるのでは」と懸念する声も上がりました。

写真はイメージです
写真はイメージです 出典: PIXTA

育ってきた環境が違うから

多くの父親が感じていたのは、家事育児へのこだわりの差です。洗濯物の干し方や掃除の程度など、育ってきた環境の違いからどうしてもズレは出てしまいます。

専業主婦の妻が家事育児全般をやっているという男性は、自身のこだわりが強いと自覚しています。家事を担ったときに、散らかりが気になりけんかになってしまったことも。「感情をぶつけあっても解決しないので、価値観の違いなら伝えるようにする。その場でぶつけ合っても解決しないので、いいコンディションで話し合えるタイミングをうかがいます」

妻の「こだわり」に対して、こんな本音を吐露する人もいました。

「私はこだわりがない方だったので、妻のこだわりにほぼすべて合わせました。私がだらしない部分が多く、わりと怒られます。こっちとしては怒られないラインでやっている思いもありますが、その場では謝っておく。価値観を変えるのは難しいので、例えば掃除だったらどうしたらきれいになるかを考え、ルンバを導入しました。言われたことを直すより、もっといいやり方を探します」

写真はイメージです
写真はイメージです 出典: PIXTA

夫婦のOSを平準化する

参加者の1人からは、「結婚生活はそれぞれの育ってきた文化の衝突ですよね」という意見が出ました。「文化をどう折衝していくか、どう合致させていくかは課題です。うちはまだ、文化が一致していない部分があります」

この父親は、特に子どもの教育で価値観のズレを感じていると話しました。

「自分が親にしてもらった以上のことを娘にしてあげたい。ですが、娘を専門的なスクールに通わせることを妻に求めると、お金に余裕がない、時間がない、どこまでできるのかという議論でぶつかりました。自分の意見だけを通すのはエゴだと思うので、うまく折衝するために試行錯誤しています」

「まだ結婚3年なので20年、30年後はどうなるかわからないけど、つらいのは今です。20年後30年後に価値観が一緒になっても、そのころには子育ても終わっています。家事でも妻はすごくきれい好きで、例えば100のきれいさを求めても僕は10で十分きれいだと思う。50にしても僕は10でいいと思っているので、差分の40って僕にとっては無駄な家事です。コミュニケーションはとっていると思いますが、価値観をそろえられるのかという疑問は常々持っています」

別の参加者は、合理性を求めてはどうかと提案しました。

「家のことや子育てで女性と情報量の差があるのは事実です。よくよく聞いてみると、合理的なケースもあります。洗濯物を干すとき、伸ばして干すとあとの行程が楽になる。合理的なこだわりは採り入れていきますが、合理的でないケースは理解できません。『自分はそう思わない』というのでいいんじゃないでしょうか? 合理的ではないのに無理やりやるのはストレスです。納得するのが大事で、できないことは捨てて試合から降りてもいいと思います」

写真はイメージです
写真はイメージです 出典: PIXTA

「価値観が違うので、こだわりは埋まりません」と話す父親もいました。ただ、こうもいいます。「譲れないこともあると思いますが、相手が受け取れる形で伝え合うことが大切。100%は無理でも、話し合いです。私は夫婦が快適な空間を作るにはどうしたらいいかを心がけています」

冒頭の3人の子を持つ父親も、これまでの経験から話し合いの大切さを感じていました。

「文化の衝突が心に響きました。結婚14年目ですが、自分の10年前を思い出すようです。そのとき、私と妻のOSが違うんだろうなと思いました。Androidの端末にiPhoneのアプリは載らないにもかかわからず、一生懸命アプリだけを探し求めていたなと。まずは2人のOSを一緒にして、どのアプリがいいかではなくて、お互いの凸と凹を探す。夫婦のOSを平準化することが大事かなと思って、よく話し合いました」

父親のリアルな声、お寄せください

記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
みんなの「#父親のモヤモヤ」を見る

連載 #父親のモヤモヤ

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます