MENU CLOSE

ネットの話題

東北大理学部「情熱的動画」が話題 ガチ研究者の全能感あふれる表情

「配信前夜は「辞職」の二文字が頭の中をよぎっていました」

サイエンスチャレンジャーズ=東北大学理学部・理学研究科提供
サイエンスチャレンジャーズ=東北大学理学部・理学研究科提供

目次

右腕にやる気を込めた「数論のファンタジスタ」、まっすぐな眼差しで何かを指さす「カーボンナノチューブのレジェンド」、両腕を広げ全能感漂わせる「次世代分子触媒のフロントランナー」――。東北大学理学部が受験生向けに作った動画が発表から2年の時を経て再び注目を集めています。きっかけは、特徴ある学部紹介ページに気づいた、大学とは無関係のツイッターユーザーの投稿。今回の再注目を受け、改めて、この動画を作った狙いを聞きました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

「ノリノリで草」

ツイッターで話題になったのは、受総研(@jyusouken_jp)さんが、「東北大理学部教授の自己紹介、皆さんノリノリで草」と画像付きでつぶやいた投稿。1万8000件のリツイートと、6万件を超える「いいね」がつきました。ツイートには、「なにこれ行きたい」「ギャップが良い」「ブラックホールエクスプローラーのラスボス感好き」などと好意的な反応が多く寄せられています。受総研のアカウント運用者は「反響が想像以上で驚いています(笑) 。今回のツイートが全国の受験生の進路選択の一助となれば幸いです」。

実は2018年公開、16万回再生

東北大学理学部の広報担当者に聞くと、実はこの動画や画像は、2018年に公開したものでした。制作の大目的は、「高校生をはじめとした一般の方々に、東北大学理学部・理学研究科へ興味を持ってもらうこと」。

「多くの方に、本学で行われている最先端研究と真理の追求に挑戦する研究者の情熱に触れてもらいたいという思いで制作した」という言葉の通り、公開後1週間で動画再生回数は10万回を超え(2020年9月現在では16万回)、公開直後から地元テレビ局など報道機関からの取材もあり、メディア露出の機会獲得にもつながりました。

大学側で把握している反応としては、「こんな教授たちの教える授業なら受けてみたい」、「この宣伝の仕方は全く新しく斬新で学ぶ事に対する意欲を的確に掻き立てる素晴らしいものだった。新しい時代に突入した瞬間である」などがあったそうです。

東北大学理学部・理学研究科 SCIENCE CHALLENGERS 出典: 東北大学のYouTube

公開前、よぎった「辞職」の二文字

動画制作当時からいまに至るまで、理学研究科長・理学部長を務めている「次世代分子触媒のフロントランナー」寺田眞浩教授に聞くと、制作時、最も重視したのは「情熱をもって研究している研究者の姿を伝えること、しかも『かっこ良く』」だったといいます。

「研究者といえば、実験室にこもって『なにやら難しいことを黙々と実験している』というイメージがあるかと思いますが、それを刷新したかった」と振り返ります。

その思いを受けた理学部広報側と一緒に、動画制作に着手したのが2017年夏でした。
登場している各研究者は「理学部のためになるのなら」ということで、快く撮影に応じたとのことでしたが、「言い出しっぺ」の寺田教授のプレッシャーは大きかったようです。

「『かっこ良く』と依頼したのは自分ですが、いざ出演者の立場になると、依頼内容に自身で応えざるを得なくなり…。恥ずかしい思いはありつつも、責任感の元、制作者側からの要求に応えた記憶があります」

腕を組んで虚空を見つめたり、手のひらに「何か」を載せていたり、あごに手を当て視線の先をグッとみつめたり……確かにポージングに関してもかなり攻めた動画・画像になっています。
「一旦カメラを向けられると、無茶な要求やポーズであってもそれに応えようと真剣に向き合っていたことを思い出します。おそらく出演した他の7名の先生方も同じ思いを持っておられるのでないでしょうか」と寺田教授。

また、「これは余談ですが」としつつ、動画配信の際の杞憂を振り返ってくださいました。

「『大学の教育・研究を愚弄している』と取られてしまい、ネット上で炎上し大学教員の職を失ってしまうかもと不安と心配にかられたことを思い出します。今では笑い話ですが、配信前夜は「辞職」の二文字が頭の中をよぎっていました」
ちなみに、特徴的なキャッチコピーは、理学部広報室と、登場の研究者で相談し、決めたということです。

「次世代分子触媒のフロントランナー」寺田眞浩教授=東北大学理学部・理学研究科提供
「次世代分子触媒のフロントランナー」寺田眞浩教授=東北大学理学部・理学研究科提供

「また話題、ありがたい」

理学部広報によると、東北大学理学部では現在、「サイエンス チャレンジャー プロジェクト」と称し、広報活動に力を入れているとのこと。
新型コロナウイルスの影響で、高校生が来場する例年通りのオープンキャンパスはできませんでしたが、ウェブオープンキャンパスとして、ウェブ上で理学部・理学研究科を紹介するページを公開しています。(ウェブオープンキャンパスのページはこちら

ページ内には、実際に理学部キャンパスの様子が体験できる「バーチャルツアー」もあり、ページのアクセス数は、9月初旬時点で2万7000回となっています。
理学部広報担当者は「本学理学部・理学研究科の、社会に目を向けたこれらの取り組みが入学志願者の増加につながっていればいいなと考えています」。

また、今回、ツイッターでの投稿を機に、改めて研究者紹介が脚光を浴びたことについては、「紹介動画は、人に見ていただいて初めて意味を持ちます。また話題となったことはありがたく感じております」。
「これから、この動画をきっかけに本学理学部・理学研究科で行われている最先端研究と真理追求に挑戦する研究者の情熱に興味を持っていただければ非常に嬉しく思います」とし、「今後とも、東北大学理学部・理学研究科をどうぞよろしくお願いいたします」とコメントしています。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます