連載
#45 ○○の世論
ビッグデータ活用、抵抗感ない人の特徴 ネット活用と内閣支持率
プライバシー提供に「前向き」な人たち
新型コロナウイルス禍で、さらに注目が集まるビッグデータ。買い物履歴や位置情報の分析などの活用が進むなか、世論調査で人々の意識を探ると、プライバシー侵害への抵抗感が根強いことが浮かび上がりました。(朝日新聞記者・植木映子)
個人の位置情報や行動履歴などの「ビッグデータ」を活用する動きが、世界で加速しています。
そのビッグデータ活用の重要なカギとなるプライバシーの保護について、日本人はどんな意識を持っているのでしょうか。
朝日新聞社が3月上旬から4月中旬にかけて郵送で行った世論調査で、ビッグデータを活用した社会でプライバシーが侵害される不安を感じるかを聞くと、「感じる」73%が「感じない」23%を大きく上回りました。
また、テロ対策や、信用評価などの事例についてどの程度抵抗を感じるかを尋ねると、総じて抵抗感が高い結果となりました。
今回の調査結果を、インターネットや新聞など、どのメディアを主に参考にしているかをもとに分析すると、ある傾向が浮かびました。
調査では、政治や社会の出来事についての情報を得るとき、参考にするメディアを新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットのニュースサイト、ツイッターやフェイスブックなどのSNSの六つの選択肢から複数回答で選んでもらっています。
「ニュースサイト」や「SNS」だけを参考にしている人(全体の7%。以下「ネット限定層」とする)に着目すると、ネット限定層では、ビッグデータの活用に抵抗感が弱い傾向がありました。
全体と比べて、ネット限定層の「抵抗がある」人の割合が特に低かったのは、「テロ対策のための収集」58%(全体71%)、「ネット買い物の関連クーポン送付」63%(同76%)、「AI人事評価」66%(同79%)でした。
また、安倍内閣を支持するかどうかでも、抵抗感に差が現れる項目がありました。
最も違いがあったのは、「テロ対策のための情報収集」です。内閣支持層は「抵抗がある」が63%(全体71%)、「抵抗はない」33%(同26%)、不支持層では「抵抗がある」77%、「抵抗はない」20%でした。
ネット限定層は、そもそも内閣支持率が51%で、全体の42%より高く、過去の調査でも同様に支持率が高い傾向が出ています。
ビッグデータの活用について言えば、ふだんからネットをよく利用している人たちは、ターゲット広告やクーポン送付などに慣れているため、抵抗感をあまり感じないのかもしれません。
またテロ対策については、ビッグデータを活用する政府側を信頼しているかどうかによって、抵抗感に影響が出ていると言えそうです。
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