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#41 ○○の世論

「アメリカは嫌い」復帰前の沖縄で行った世論調査、本土との温度差

53年前の「やむにやまれぬ叫び」

「沖縄の本土復帰は決まった」という小旗を手に静かに行進する沖縄青年会議所の人たち=1969年11月22日午後、那覇市の国際通り
「沖縄の本土復帰は決まった」という小旗を手に静かに行進する沖縄青年会議所の人たち=1969年11月22日午後、那覇市の国際通り 出典: 朝日新聞

目次

沖縄にある米軍普天間飛行場の辺野古への移設について、計画を進める安倍政権と、反対する沖縄の民意との溝は、埋まらないままです。1972年に沖縄が本土に復帰して48年。本土と沖縄のギャップのルーツを、復帰前の沖縄で実施された世論調査の結果から、ひもといてみました。(朝日新聞記者・松井夕梨花)

「現実的」な沖縄の世論

朝日新聞が沖縄で世論調査を初めて実施したのは1967年9月。復帰の5年前にさかのぼります。同じ時期に全国調査も実施し、本土と沖縄の民意の比較をしています。

「沖縄は日本に返されるべきだと思いますか」。この質問への回答に、本土も沖縄も85%が「返されるべきだ」と答え、差はありませんでした。

ただ、具体的に復帰の時期について聞くと、温度差がありました。

 

「早いほどよい」は本土の81%に対し、沖縄は60%にとどまり、慎重な姿勢がうかがえます。沖縄の人には、こんな質問もしています。

 

復帰で暮らし向きが「苦しくなる」は30%。「変わらない」や「楽になる」よりも多かったのです。そして、3人に1人が「復帰すると、経済が成り立っていかなくなる」という不安を持っていました。こうした先行きに不安を感じている人ほど、早期復帰に慎重な意見が多い傾向がありました。

先行きに不安を感じながらも、祖国復帰を望む沖縄の人の思いを、沖縄タイムスの比嘉博論説委員は、朝日新聞に寄稿した記事の中で「やむにやまれぬ民族的な叫びなのである」と代弁していました。

米国に対する思いは……

アメリカへのまなざしも、本土と沖縄とでは、対照的な結果となっています。

 

調査員と対面しては、答えにくい質問だったのでしょう。本土・沖縄ともに、「その他・答えない」が半数前後と多いのが目を引きます。

そして、本土では「好き」26%が、「きらい」19%を上回ったのに対し、沖縄では「きらい」が40%もいて、「好き」はわずか14%でした。

沖縄の人に「いまの沖縄では、住民の人権が尊重されていると思いますか」と聞くと、53%が「尊重されていない」と答え、「尊重されている」は10%、「最近はよくなった」は6%でした。日本国憲法は適用されず、本土との行き来には「渡航証明書」が必要な時代でした。

調査結果を伝える朝日新聞の社説では、独立から15年たって米軍人の姿を街頭で見かけなくなった本土と比較し、戦後22年過ぎてなお米国の軍事占領下にあった沖縄住民の「胸の奥底からほとばしった叫びであろう」と分析しています。

そして基地問題

米軍の基地問題についても、本土と沖縄では、当時から、大きな意識差がありました。

【沖縄の基地は、極東の平和や日本の安全のために、必要だという意見があります。あなたは、この意見に賛成ですか】
・本土=賛成(40%)/反対(30%)
・沖縄=賛成(28%)/反対(40%)
※その他・答えないは省略。

 

沖縄の基地は「必要だ」という意見は、本土では、賛成の方が多く、沖縄では、反対の方が多いという対照的な結果でした。

復帰から40年以上たっても、基地問題への意識の差は埋まらないままです。

2015年4月に実施した沖縄県民調査(電話)で、「沖縄には、在日米軍の基地や施設の74%が集中しています。この状態は本土に比べて、沖縄に犠牲を強いていることになり、おかしいと思いますか。それとも、地理的、歴史的にみてやむを得ないと思いますか」と聞くと、「おかしい」が67%で、「やむを得ない」の26%を大きく上回りました。一方、同じ時期に実施した全国調査(電話)では「おかしい」45%、「やむを得ない」43%に割れました。

歩んできた歴史の違いから、本土と沖縄の意識の差が生じるのは当然なのかもしれません。政府は「沖縄に寄り添う」と繰り返す前に、まずこうした意識の差を理解することから始める必要があるのではないか、と思います。

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