MENU CLOSE

連載

#193 #withyou ~きみとともに~

「青春が奪われたのに社会は普通だった」コロナ、高校生たちの違和感

新高校1年生に、新型コロナと付き合う日々で感じたことを聞きました。

「学校に早く行きたい」の一方で=写真はイメージです
「学校に早く行きたい」の一方で=写真はイメージです 出典: pixta

目次

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、長いところでは3カ月にわたった休校。その間、子どもたちはどんなことを考え、いま、何を思っているのでしょうか。この春、都内の高校に進学が決まったものの、学校に行けない日々を過ごした当事者に思いを聞きました。率直な声からは、「早く学校に行きたい」という期待感の一方、勉強の遅れや友人関係、感染リスクなど新生活を不安に思う気持ちが入り交じっていることを感じました。

【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」
【アンケート実施中】「休校で感じたことを教えてください」(小学生~大学生対象 ※保護者も回答可能)

休校中はどんなことをしていましたか?

オンライン授業が「楽しくない」と感じ、自宅での時間をうまく使うことができずに「むなしかった」という気持ちが聞かれる一方、少し意外だったのは、前向きに新しいことに取り組む姿です。学校の課題をこなしつつ、趣味に没頭する時間が持てたり、家族との時間が持てたりすることで、充実感を得ていたという声が寄せられました。想定外の事態で課題はたくさんあるけれど、学生にとっては、最初で最後の時間でもあります。与えられた環境をどう生かすか、まっさらな気持ちで向き合う強さを感じる回答でした。

 

 

休校中は主に課題をしていました。学校がない分、課題も多いとはわかっていましたが、想像以上に多くて、高校生活が少し不安になりました。また、家族と一緒にいることが多くなったので、母の手伝いをしました。大変なことが多くありますが、母が楽しくやるので私も楽しく過ごしていたと思います。

 

 

ゴールデンウィークが明けた5月11日から、先生方が一生懸命作ってくださった動画をみて、遠隔授業を受けています。学校に行って授業を受けることは出来ないけれど、先生方が工夫して分かりやすく授業をしてくださっているのでとても楽しいです。
数学指導の動画を撮影する住吉高校の西沢拓真教諭。アーカイブ化も検討しているという=2020年5月20日午前10時11分、川崎市中原区木月住吉町、松沢奈々子撮影
数学指導の動画を撮影する住吉高校の西沢拓真教諭。アーカイブ化も検討しているという=2020年5月20日午前10時11分、川崎市中原区木月住吉町、松沢奈々子撮影

 

 

2月28日に休校が決まった時は、残り数週間の中学校生活をいつも通り過ごせないのは辛い、悲しいとネガティブな気持ちでいっぱいでした。しかし、卒業式が終わった頃から、「高校生になるのだからそれに向けて新しいことを始めよう」という気持ちになりました。食生活を見直したり、大嫌いな筋トレを毎晩したり、夜ご飯を作ったりしています。オンライン授業の合間にはピアノやギターを触ったりしています。思ったより自粛は苦ではないです!

 

 

休校中は高校の課題をしたり、家の前で家族とキャッチボールをしたりしていました。勉強の面では、教わっていないことも多く、難しくて楽しいと思うことはできませんでしたが、普段よりも家族との時間が増えて楽しかったです。

 

 

ずっと学校からの課題と、オンラインでの授業に取り組んでいました。オンライン授業でも、話したことが無い人達との授業なので、面白いこともなく、正直楽しくはありません。なので『中学校に戻りたいな』と毎日思っています。

 

 

休校中はここ何年かで一番怠けました。youtubeもいままでは音楽を少し聞く程度だったのが何時間も動画を見ていて、自主的な勉強はあまりできませんでした。正直ゲームをしても動画を見てもたいして楽しくないし、むなしかったです。

 

 

オンライン授業の予習や復習や課題で忙しい。授業ではグループ分けをされて、話し合いをする場面も沢山あるので、クラスメイトと話すことができて楽しい。

休校中どんなことを考えていましたか?

「これからどうなるのか」「思い通りに時間を使うことができず悔しかった」など、不安要素を訴える声が目立ちました。高校受験を終えた後の高校1年生だからこその視点として「あこがれていた制服を早く着たい」「部活がしたい」など、新生活への期待や、今年の受験生を心配する声もありました。

 

 

「これからどうなるのかな」ということです。自粛期間のはじめの方も、「いつまでこの生活が続くのだろう」と考えていましたが、最近はそれにプラスして、第2波の心配もあり、さらにコロナの大変さを考えています。また、家族との長く一緒にいることで家族の大切さについて考えさせられました。

 

 

早く学校に行って友達や先生方に会いたいと思っていました。そして、ずっと憧れていた制服を着て1日でも早く登校したいと思っていました。また、コロナが収まって普通の生活がしたいなと思っていました。
「早く制服が着たい」という声も聞かれました=写真はイメージです
「早く制服が着たい」という声も聞かれました=写真はイメージです 出典:pixta

 

 

早く学校に行って授業を受け、部活がしたいなと思っていました。3月から学校に行けない日々が続いていて、この期間をモノにしないと大変なことになるなと感じていながらも、なかなか思い通りに時間を使うことができず、少し悔しい気持ちもありました。

 

 

休業中は毎日、『中学校に戻りたいな』と思っています。でも逆に1年ズレていたら、中学校最後の運動会やその他の行事が出来なかったかもしれない、部活も最後まで出来なかったかもしれない、極めつけは、受験勉強がしっかり出来ていなかったかもしれない。考えるだけで背筋が凍りそうです。だから『自分は運が良かったんだ』と思うようにしています。

 

 

なぜ今までに比べ、学びへの意欲が下がったのかを考えてました。あと、自粛警察は存在すべきなのかについても考えていました。

コロナ流行下でモヤモヤしたり納得がいかなかったことはありますか

「学生は緊急事態宣言の一か月以上前からひきこもることを強制された」「私たちは青春が奪われたのに、社会は普通に動いた」――。自分たちを取り巻く環境と、「社会」との差を不満に思う声が聞かれました。
自粛生活に従っていない人を責める行動をとる「自粛警察」に対して「その正義の表し方は違うのではないか」と苛立ちを訴える声もありました。
回答から伝わってきたのは、自分たちが強いられた生活と、それとは関係なくまわっているように見える社会との間にある矛盾への違和感でした。

 

 

高校はリモートで授業をしたり、メールでお知らせが届いたりしていました。リモートは途中で切れてしまったり、メールはギリギリになって届いたりと少し不便に感じました。特に授業はこれからに大事になるのにしっかりと受けられないのは厳しいなと感じます。成績が左右されるので心配です。

 

 

パチンコ屋に並んで遊びに行く人のニュースを見ると、外出自粛でストレスが溜まってしまうのいうのは分かりますが、それって今本当に必要な外出なのかなと疑問に思いました。また、医療従事者やその家族に対する心ない言動や差別は絶対に良くないと思っています。いきすぎた正義感(自粛警察)の行動のニュースなどを見ると、その正義の表し方は違うのではないかとモヤモヤしたりすることがありました。

 

 

私は2月から4月の間に、好きなアーティストのライブに3回行く予定でしたが、コロナによって全て中止になってしまい、とても辛かったです。中止が決まったその瞬間より、チケットを払い戻した時に「ああ、本当に会えないんだ」と実感が沸いてきて、友達に慰めてもらいました。仕方がないことだというのは分かっていてもやはり辛かったです。学校では、3月4日に球技大会を控えていて、休校が決まる前日にクラスのみんなでチーム決めをして「絶対勝とうね!」と盛り上がっていました。それもなくなってしまい、日常が続くのは当たり前の事じゃないんだなと痛感しました。
分散登校した県立芦屋高校の3年生のクラスでは約2カ月ぶりにホームルームが行われた=2020年6月1日午前9時3分、芦屋市宮川町、武田遼撮影
分散登校した県立芦屋高校の3年生のクラスでは約2カ月ぶりにホームルームが行われた=2020年6月1日午前9時3分、芦屋市宮川町、武田遼撮影

 

 

他の高校は映像授業等しているのに、そういったものがなく、置いていかれるような気がしてモヤモヤしました。

 

 

この期間の学校や日本政府の措置に納得がいかなかったことは特にありません。実際、アメリカやイタリア等に比べて圧倒的に死亡者が少ないのは、政府の対応と、それに対する国民の対応が正しかったからだと思います。

 

 

多くの人が緊急事態宣言で自粛を始めるなか、学生は一か月以上前からひきこもることを強制されました。なのにもかかわらず学生が息抜きに公園やちょっとの買い物に出るだけで苦情が来たりしました。自粛生活でいえば我々は一か月先輩です。みなさんより一か月分ストレスが溜まっている中、さも学生の意識が低いかのように言うのはいかがなものかと思いました。
 

 

 

なぜ学校を休校にするタイミングと、緊急事態宣言を出すタイミングがこんなにずれたのだろうかと不思議に思っています。受験がやっと終わり、最後の楽しい中学校生活が待っていると思っていた矢先、休校が決められました。しかもとても唐突で、準備期間などほとんどありませんでした。私たちは青春が奪われたのに、社会は普通に動いていて、夜の街で遊んでいる大人だって沢山いる。「子供の安全を守るために休校にする」という言葉との矛盾を感じました

学校再開にあたって心配なことはありますか

友達との接し方や、感染リスクへの不安、学習の遅れや体力の低下についてなどの心配事が寄せられました。すでに再開している人は、「クラスの空気が凍っている」と感じているそうです。
長いところでは3カ月ほどの休校を経て元の生活に戻るのには、心身共に相当の負荷がかかるはずです。精神的ストレスの高まりに警鐘を鳴らす医師もいます。大人たちも、心身ストレスを感じる子どもたちをどのようにサポートすることができるかが問われています。

 

 

心配なことは2つあります。
1つ目は、高校生活でのことです。今はインターネットで繋がっている友達がいて学校に入る前から知っているというのが普通になっています。私はそれをしていないので誰とも話してなく、不安なところが多いです。また、授業も遅れをとっているので、(再開後)すぐ行われるテストなど今後に関わっていくことに心配が募ります。
2つ目は学校に行く時の公共の場です。電車での通学になりますが電車はたくさん人がいるし、距離も近いので、感染のリスクが高まるような気がしてなりません。学校がはじまるからといって気を抜かずに感染予防をよりしていかないといけないなと思います。

 

 

初めての登校日が決まりました。電車に乗るため不特定多数の人と接触することになります。そのときに自分がコロナやその他の病気にかかってしまったり、またそれらを家族や友人にうつしてしまったりしないかとすごく心配です。また、勉強面では休校中、直接授業を受けていなかったので、授業ついていけるかどうかということや、テストなどで心配な面があります。新型コロナウィルスの影響でなくなってしまっている学校行事もあるため、文化祭などが出来なくなってしまったら嫌だなと思っています。

 

 

第二波が心配です。分散登校とはいえ満員電車に乗らなければいけないのは不安です。また、それ以上に学力面が心配です。オンライン授業は毎日受けていますが、定期テストがなくなったり自宅で1人で受けたりしているので、自分の学力のレベルが他の子と較べてどのくらいの位置にいるのか分からないこともあり、焦りを感じています。学校に通いたい気持ちと感染への心配が混合しています。
校舎に入る前に手を洗う生徒たち=2020年6月15日午前9時3分、千葉南高校、寺沢知海撮影
校舎に入る前に手を洗う生徒たち=2020年6月15日午前9時3分、千葉南高校、寺沢知海撮影

 

 

授業についていけるかが心配です。また、この休みの期間、あまり友達と直接話していなかったので、しっかりとコミュニケーションがとれるかどうかも不安があります。

 

 

高校は僕にとって、まだ未知の世界なので再開にあたって不安な事は少しあります。でも小学校や中学校の時も最初はそうだったし、それらをしっかりと乗り越えてきた経験があるので今回も大丈夫という自信があります。だから早く学校の空気に馴染んでいきたいなと思っています。ただ、高校の受験勉強にあたり部活を引退し、受験が終わると外出自粛になってしまったので運動が出来ておらず、最初は部活についていけるかどうかが、僕の中での1番大きな不安です。

 

 

実際始まったのでいまぶち当たっていることなんですが、クラスの空気が凍ってます。本来であれば4月から関係を築いていき、また多くの学校が遠足や体育祭を置くことでクラスをほぐしていくわけですが、6月にもなって初対面の相手といきなり授業を受けているので、仲のいい人ができないわけではないものの、授業の中で笑顔が絶えます。ほぐそうと頑張っている先生方に余計申し訳なくなります…。

 

 

先生方はとても親切で、週一の登校日で友達もできたのであまり強い不安はないが、学習の遅れが取り戻せるのかについて不安はある。しかし、不安よりも高校生活がはじめられるというワクワクする、楽しい気持ちの方が大きな割合を占めている。

休校を経験した、あなたの声を聞かせてください

今回話を聞かせてもらったのは、東京都内在住の新高校1年生です。コロナ禍での進学は、想像以上に負担感が大きいことが、回答からも伝わってきました。
18歳以下の悩み相談を受け付けているNPO法人チャイルドラインが、2月28日~4月30日までに子どもたちから寄せられた新型コロナウイルスに関する悩みの内容を集計した結果、6割を占めたのが「ネガティブ感情」で、「葛藤・迷い・戸惑い等の感情」も2割にのぼったということです。

     ◇

今回話を聞かせてもらったみなさんのように、先の見えない新型コロナ流行に不安があったり、流行下の社会や大人の説明に納得がいっていないことがあったりする人もいると思います。
withnewsではアンケートを行い、休校を経験したみなさんの気持ちを知り、今後、記事を書く参考にしたいと思っています。休校中に感じた気持ちや休校明けに感じている気持ちを聞かせてもらえませんか? アンケートは以下から記入できます。ご協力お願いします。
アンケートはこちら

10代のための相談窓口あります

チャイルドライン
18歳以下の相談窓口。電話やチャットで相談できます。

Mex(ミークス)
10代のための相談窓口まとめサイト。なやみに関する記事や動画も見れます。
 
 

withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を続けています。
 


みんなの「#withyou #きみとともに」を見る

連載 #withyou ~きみとともに~

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます