話題
本宮佳奈さんからの取材リクエスト
散歩中の犬、声をかけても大丈夫?
散歩中の犬、なでていい?専門家が語る「絶対してはいけない」3項目
わかっているようで知らない、コミュニケーションの取り方

取材リクエスト内容
私は、動物が大好きで、犬ももれなく好きです!ですが家では飼うことができず、お散歩しているわんちゃんを見ては、あのもふもふに触りたいなぁと思っているのですが、飼い主さんとお散歩中...声をかけていいものか...それに、なんて声をかけたら?!といつも迷ってしまいます。
飼い主さん的に、触らせてくださいって言うのは迷惑なものでしょうか...? 本宮佳奈
記者がお答えします!
飼い主と一緒に、街中を散歩する犬。とてとてと歩く姿が愛らしく、道端で偶然目にすると、つい触れ合いたくなります。でも、全く見知らぬ人に話しかけられたら、怖がってしまうのでは……と心配に思えるのも事実です。楽しくコミュニケーションを取るためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか? 声優・本宮佳奈さんの疑問から考えてみました。(withnews編集部・神戸郁人)
いきなりなでるのはルール違反?
本宮さんは、外来種のげっ歯類・デグーの「きすけ」(♂)と一緒に生活。ツイッター(@motomiyakana)でたびたびツーショットを公開するなど、大の動物好きとして知られています。
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そんな本宮さんから届いた、今回のリクエスト。実は私にとっても、大いに身に覚えがある内容でした。散歩中の犬を見かけると、いつも自然と笑顔になり、吸い寄せられるように近付いてしまうからです。
ふさふさの毛で覆われた体を前にしたとき、わしゃわしゃとなでたくなるのが人情でしょう。しかし考えてみれば、飼い主や犬にとって、私は赤の他人です。初対面で突然話しかけたり、ましてや安易に犬に触れたりするのは、失礼に当たるかもしれません。
この機会に、きちんとした対応の仕方について知りたい。そう考え、犬の生態や飼育方法に詳しい、東京農業大農学部の増田宏司教授(動物行動学)にお話を伺うことにしました。

まずは飼い主と仲良くなろう
そもそも、犬は屋外で散歩しているとき、誰かに触れられても大丈夫なのでしょうか? 増田さんは「個体によって違う」とことわりつつ、未知の存在を受け入れられるかどうか考える上で、飼い主との関係性も重要と話します。
「飼い主との外出が楽しめていれば、犬はわくわくしながら、街中にあふれる匂いをかぐといった行動を取ります。他の人と触れ合うのにも大きな抵抗はないかもしれません。ただ元々怖がりだったり、飼い主への信頼感が十分でなかったりすると、動揺しやすくなる可能性があります」

増田さんによると、犬は正面に立った別の個体に、警戒心を抱きやすいそうです。人間にも同じ反応を示すため、威嚇(いかく)などをしやすくなるといいます。しかし脇に立つと、一緒の方角を向く形となり、恐怖感や不快感が薄まることが期待できるというのです。
「まず飼い主に『こんにちは』『何の犬種ですか』といった風に語りかけてみて下さい。楽しそうに話しているとわかれば、犬はリラックスします。近寄ってきたり、体をかいだりしてきたら、興味を抱いている証拠です。『触っていいですか?』と尋ねてみましょう」

感情が表れるのは尻尾だけじゃない
「人間だって、こうした仕打ちを受けたら嫌ですよね。また鼻の周りや足の裏、尻尾などの敏感な場所は、触れないようにして下さい。十分に気をつけても、なお嫌がるそぶりを見せたときは、その時点で諦めた方がよいと思います」
犬が警戒していないようなら、隣に座ります。これは「友達になろう」というメッセージとして伝わるそうです。そして毛並みに沿い、首の後方から体の後ろに向かって、優しくなでるのが望ましいといいます。
ところで、犬が喜んでいるか確かめたいとき、尻尾の動きが気になるかもしれません。増田さんによれば、好きな対象と交流すると、犬から見て右側に大きく振れ、苦手な対象の場合わずかに左側に寄ると、過去の研究から明らかになっています。
「ただ実際には、尻尾を振りながら、かみついてくる犬もいます。鼻面にしわをよせていないか、毛は逆立っていないか。そういった点も含め、相手をよく観察し、総合的に感情の動きを読み取ることが必要と言えるでしょう」

「そっとしておく」のも一つの愛し方
「犬は平和主義の動物です。日常の雰囲気を愛し、それらが壊れると動揺してしまいます。長い間、人間と生活や苦楽をともにしてきた、最良のパートナーであることは間違いありません。それでも、私たちと全く同じように、物事を考えているわけではないんです」
「彼らには彼らのルールがあり、それを破られて、普段と違う状況に置かれることを、いつも受け入れるわけではありません。出会ったとき、こちらに対して動揺しているようなら、そっとしておく。そうした決断も、犬好きであるからこそ、可能な愛し方だと思います」
リクエスト主の反応は……
意外と知らない、道端で出会った犬への接し方。専門家の答えを受け、リクエスト主の本宮さんはどう感じたのでしょうか?
本宮佳奈さん
思えば、気をつけていたつもりでも、上から触ってしまうことが多かったので、 今後からは、横に座って、首のあたりを優しくなでてあげたいと思います! そして、いろんなわんちゃんと触れ合いたいと思います!
ありがとうございました。