連載
#15 withコロナの時代
海外駐在までオンラインに? コロナで「必要に迫られ」気づいたこと
想像がつかないような利用のされ方に期待しています。
――4月から、「バーチャル旅行」や「オンライン雑談」など、Zoomなどを使って現地在住者とオンラインでつながれるサービスを充実させていますね。
新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限や、外出自粛を受けて、これまでのサービスの利用は9割減となってしまいました。
ユーザーからは、ゴールデンウィークをはじめ、旅行をやむを得ずキャンセルしたという声があり、オンラインでの海外旅行体験や、海外在住日本人との雑談を楽しめるようなサービスを4月中旬に始め、5月末までに452件の利用がありました。
――どんなエリアが人気ですか。
オンラインだとなかなか行けない地域への興味が高まっているようです。エストニアや、ウラジオストク(ロシア)、アブダビ(アラブ首長国連邦)などで利用がありました。
我々が「ひとりロコエリア」と呼んでいる、イギリスとフランスの間に位置するチャンネル諸島のジャージー島や、南アフリカ、アルゼンチン、ジャマイカなど、エリアに一人しかホストがいない場所があります。オンラインサービスだと、珍しさなどから「ひとりロコエリアにお願いしたい」というニーズもあります。サイト内に地図を実装しているので、とんでもないところに(ホストの存在を示す)ピンがあったりすると、そこに魅力を感じてサービスを利用するということもできます。
――旅は現地に行くのが醍醐味というところもあると思いますが、オンラインサービスの立ち位置は。
サービスは、60~70代のシニアもけっこう使っています。また、旅慣れているというか、ある程度「自分で」「自分のやりたいことをやりたい」という人が多いです。お金にも余裕がある人が多く、おそらくコロナが収まったらすぐにでも海外に行きたい・行ける人たちが利用している印象です。
ですので、また海外に行ける状況になったときに、すぐにリアルでつながることができるためのオンラインサービスという立ち位置です。
――とはいえ、コロナの流行は第2波、第3波が予想されるなど、影響は長引きそうだという観測もあります。旅行に行ける日は結構先になってしまうかもしれませんが……。
オンラインサービスに限らず、コロナ前からのサービス全体の利用傾向として、利用者の2~3割はビジネスでの利用です。
――コロナの影響が長引くことによって、オンラインで海外とのやりとが必要なビジネス利用が増えるのでしょうか?
今回、感染拡大を防ぐため、企業が海外出張を取りやめるということが起こっていて、商談や展示会への参加などで海外に行くことが難しくなっています。今後は海外の駐在をとりやめるということも起こってくると想定しています。
でも、だからといって、企業としては海外との関わりをそこで途絶えさせるわけにはいきません。そんなとき、「バーチャル駐在」みたいな人材を現地に置ける可能性があるんじゃないかと思っています。
例えば国内にいながら、ホストに取材をお願いするとか、商談に行ってきてもらうとかいうことが可能になるんじゃないかと思うんです。
いまのところはまだ本格的には動いていませんが、ビジネス利用向けのホストのリストアップも進めています。今回のコロナ流行で、よりニーズが高まっていると思います。
――オンラインで始まったビジネスの関係が、オンラインのまま続き、利益を生む可能性が広がるイメージでしょうか。
これまでビジネス利用していた人は、あくまで、まずは個人対個人の関係でサービスを利用していました。というのも、「オンライン上でしか会ったことのない人に仕事を頼む」ということをリスクとみる会社が多く、そのことをおおっぴらに言えないし社内稟議がなかなかおりないといった背景がありました。ただ、実際はむちゃくちゃ使えるんですよね。
そして、状況が変わり、今回のコロナによって海外に行くことが難しくなってきた。すると、「社内稟議」とか、そういうことも言ってられなくなってきたし、必要に迫られているのではないでしょうか。
そこで、これまで思い切ってオンライン上の関係をビジネスとして使えなかった人たちにとって、その関係を表だって生かすということは、現実的な話になってきたと思います。
――ただ、やはりオンラインだけでしか知らない相手のことを信用するには、ホストの身分保障がどうなっているのかが気がかりです。
基本的には、CtoCサービスなので、レビューがその人の評価となっていきます。
それに加えて、我々もホストが過去に請け負った仕事内容などを元にしたスコアリングシステムを導入しています。問題のある人はサイトにあがってこないような仕組みを作っているんです。
――コロナ禍によって、オンラインで人間関係を結ぶ可能性は広がるのでしょうか?
コロナ前に比べて、オンライン上で人がつながるということのハードルは大きく下がったと考えています。今までは直接会わないと物事が進みにくい場合もありました。しかし、「オンラインでも問題ない」ということになれば、移動する必要がなくなるので、制約なく世界とつながることができるようになります。すると、逆に世界が広がって、想像がつかないような利用のされ方がされるのではと期待しています。
記者の気づき
■文化見直される時期、オンラインはどこまでいけるか
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