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「1日500個」弁当を無償提供、来日20年の店主に「涙が出る」反響

励ましの手紙に入っていた「私の給料2万円」

お弁当の準備をしている店主の李さん
お弁当の準備をしている店主の李さん 出典: 「三巴湯火鍋」提供

目次

東京・墨田区の中華料理店「三巴湯(さんばたん)火鍋」は、新型コロナウイルスで困っている人のため、毎日、お弁当を無料で提供してきました。「まわりの日本人から、多くの助けをもらったから」と、1日10万円ものコストを度外視して無償提供を決断した店主。その活動が注目されると、賛同した人たちから現金や野菜、お米などの支援もたくさん届きました。緊急事態宣言の解除を受け、6月5日から、通常営業に戻ります。「感動の毎日」と話す店主の李さんに、お店再開までの心境を聞きました。

現金入りの手紙「涙が出た」

「三巴湯(さんばたん)火鍋」の店主、李さんは、4月14日から、お弁当の無償提供を始めました。

理由について、withnewsの取材に「恩返し」と答えていました。

「店を始めたばかりのころ、私もまわりの日本人から、多くの助けをもらいました。 日本は治安がよく、大好きな国です。今回のお弁当は、微力だと思いますが、日中友好のためにも、続けていきたいです」

「三巴湯火鍋」の取り組みが報じられると、李さんが思っても見なかった反響が起きました。

毎日500食のお弁当を無償で提供していることを知った全国各地の人から、励ましやお礼の手紙が届くようになったのです。

飲み物や、お菓子、マスクのほか、野菜、果物、お米もありました。現金が入っていたことも少なくなかったと言います。

【関連記事】「1日500個」弁当を無償提供 来日20年の店長が伝えたかった「感謝」
 
送られたお米
送られたお米 出典: 「三巴湯火鍋」提供

飲食店のパートだという人からは、「先月は今までの2割程度しか稼げませんでしたが、誰かの役に立てたらと思いました」と書いた励ましの手紙と、その人が4月に稼いだ給料の2万円が入った封筒が届きました。

札幌市からも「コロナが落ち着いたら、きっとお店へ行きたいです」と手紙が届きました。「仕事が減って大変な毎日を過ごしています。あたたかい気持ちが何倍にもなって、あなたたちにかえってきますように!」とつづられており、1万円が同封されていたそうです。

李さんは「手紙を読んで涙が出ました。どんな言葉もそのありがたさを表現できない」と感激を隠せませんでした。

「連絡先を書いてくれていた人には、電話をかけて、お礼の気持ちをを伝えています」

李さんに送られた手紙と現金
李さんに送られた手紙と現金 出典: 「三巴湯火鍋」提供

毎日、店の前に野菜の箱が……

反響はそれだけではありませんでした。

「感謝したくてもまだ感謝できていない人もいました」と李さんが話すのは、野菜の差し入れです。

「名前も告げず、野菜を店の前に置いてくれる八百屋さんがいたのです」と明かします。

お店に送られた野菜の数々
お店に送られた野菜の数々 出典: 「三巴湯火鍋」提供

withnewsで記事になった5月20日、「余った野菜を提供したい。置く場所を教えてほしい」という電話をもらったそうです。そして次の日から、店の前に野菜の箱が置かれるようになりました。

ほぼ毎日、野菜は置いてありました。でも、送り主は名前も明かさず、姿を見せたこともないそうです。

李さんは「監視カメラで分かったのは、野菜を置いて行ってくれる車が品川ナンバーということぐらい。おそらく近所の八百屋ではありません。とてもありがたいです」

「感謝の気持ちをぜひ、直接伝えたい」と話す李さん。

「6月2日はお弁当を提供する最後の日です。野菜を届けてくれる方と会えたらうれしいです」

「無償提供は6月2日最終日」とする貼り紙
「無償提供は6月2日最終日」とする貼り紙 出典: 「三巴湯火鍋」提供

ボランティアが行列を整理

注目が集まったことで、お弁当をもらいに来る人は増えました。もともと「限界」と話していた500食から、さらに100食以上を足すことになりました。

「コストなどはすでに度外視でした…」と李さんは話します。

毎日、4種類から5種類を配っているので、お気に入りのお弁当を入手するために、早めに並ぶ人も多くいます。

「お弁当は11時半と午後5時に2回配りますが、早い人は午前9時か、午後2時ぐらいから並んでいます」

人が集まったせいで、なかには店の近くでお酒を飲んだり、たばこを吸う人もあらわれました。李さんと従業員はなるべくお弁当を早く作ることで、待ち時間を短縮させようとしましたが、騒音やゴミ問題でクレームも来るようになりました。

「人手不足で、秩序を維持するまでの余裕がありませんでした」

そんな中、助けてくれたのは、お弁当をよくもらいに来る人たちでした。ボランティアでゴミを拾ったり、列が乱れないように整理してくれたりしたそうです。

「とても助かっていました」と李さんは振り返ります。

お店の前にできたお弁当をもらう長蛇の列
お店の前にできたお弁当をもらう長蛇の列 出典: 「三巴湯火鍋」提供

「未来への期待がありますね」

もともと緊急事態宣言の解除まで、というつもりだった李さん。東京の緊急事態宣言は5月25日に解除されましたが、お弁当を待つ人が多いので、無償提供の期間をさらに1週間延ばしました。

6月2日はお弁当を配る最後の日にしています。貼り紙も出しました。通常営業の準備でシェフが増えるため、2日に限って1000食分を提供する予定です。

お弁当の無償提供はある意味で「計画外」の出来事でしたが、李さんが「日本への恩返し」をしたいという気持ちは変わりません。

「振り返ってみて、自分は本当に何も大したことができなかったと思います」

李さん自慢の火鍋料理「三巴湯火鍋」の味が懐かしくて、常連客からは毎日のように、いつ営業再開するのかと問い合わせがあると話す李さん。李さんも5日の通常営業に合わせ、しっかりと準備したいと言います。

「にぎやかさが完全に取り戻せる未来への期待がありますね。いまのところは、みんな健康第一で、今までどおりの美味しい三巴湯火鍋と中華料理を提供しつづけたいです」

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