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#32 ○○の世論

安倍内閣、支持率最低で起きた「二つの異変」離れた民意の行き先は?

それでも上がらない野党の支持率

衆院厚労委で答弁する安倍晋三首相=2020年5月22日午後、岩下毅撮影
衆院厚労委で答弁する安倍晋三首相=2020年5月22日午後、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

目次

朝日新聞社が5月23、24日に実施した全国世論調査(電話)で、安倍内閣の支持率は3割を切って29%に下がり、7年余りに及ぶ第2次政権で過去最低を記録しました。支持政党別に分析してみると、与党・自民党の政党支持率の低下と、自民支持層の中での内閣支持率の低下という「二つの政権離れ」が同時に起きていることがわかりました。(朝日新聞記者・君島浩)

減りはじめた常連客

2012年12月に第2次安倍政権が発足して以降、2020年4月まで実施した107回の調査を分析すると、自民党の政党支持率は平均で36%でした。ほかの政党は、いずれも支持率が1割に満たない中、自民党の存在感は圧倒的です。安倍内閣は、その自民支持層の厚い支持に支えられてきました。

自民支持層に限ると、内閣支持率は平均で83%です。36%の8割ですから、自民支持層以外、だれひとり安倍内閣を支持しなくても、30%近い支持率を確保できる計算になります。

当選を決めた候補者名に花をつける自民党の安倍晋三総裁=2017年10月22日、東京・永田町、林敏行撮影
当選を決めた候補者名に花をつける自民党の安倍晋三総裁=2017年10月22日、東京・永田町、林敏行撮影 出典: 朝日新聞

では、なぜ30%を割ったのか。5月下旬の調査では、自民党の政党支持率も26%と、第2次政権では最低まで下がったことが影響しています。

これまでの最低は2014年11月末。衆院選の直前の調査の27%でした。国政選挙の時は、無党派層が減って野党の支持が伸びる一方、与党の支持率は減る傾向があります。

国政選挙時を除くと、1番低かったのは2017年7月で、30%でした。加計学園をめぐる問題で、首相側近の萩生田光一官房副長官(当時)らの「指示」が取りざたされ、稲田朋美防衛相(当時)の自衛隊の政治的中立性を侵しかねない発言や、下村博文・自民党幹事長代行(当時)の献金疑惑などが追い打ちをかけていたころです。

同時期に行われた東京都議選で自民党は歴史的な惨敗を喫しました。

 

自民から離れていった職業は?

2020年に入り、新型コロナウイルスの感染が拡大した3月の調査でも、自民党の支持率は36%でした。平均値と同じです。ところが、4月には33%となり、5月下旬には26%に落ち込みました。

職業別にみると、製造・サービス従事者層の自民離れが目立ちます。この層の自民支持率は、3月の36%から4月は27%、5月下旬は21%と急落しています。コロナで自粛を求められた業種に従事する有権者が、不満を募らせたのかもしれません。

支持基盤である自民支持層がやせ細っただけではありません。その自民支持層の中でも、安倍内閣の支持率が下がっていました。

■支持政党別の内閣支持率(%)
1月=全体(38%)/自民支持層(78%)/無党派層(16%)
2月=全体(39%)/自民支持層(78%)/無党派層(18%)
3月=全体(41%)/自民支持層(80%)/無党派層(19%)
4月=全体(41%)/自民支持層(80%)/無党派層(21%)
5月中旬=全体(33%)/自民支持層(68%)/無党派層(17%)
5月下旬=全体(29%)/自民支持層(68%)/無党派層(14%)

自民支持層では、3月、4月とも8割が安倍内閣を支持していました。ところが、5月には、68%まで低下しました。第2次政権下では、最低タイです。同じく最低だったのは、2018年4月の調査。森友・加計問題への批判が高まり、安倍内閣の支持率は今回調査以前の最低だった31%を記録しました。その時と同様の支持離れが起きたと言えます。

また、連立与党の公明支持層の内閣支持率も4月の49%から、5月下旬には32%に落ち込みました。このことも内閣支持率の低下に拍車をかけたと言えるでしょう。

政府与党政策懇談会を終え、取材に応じる公明党の山口那津男代表=2020年4月7日午前、首相官邸、岩下毅撮影
政府与党政策懇談会を終え、取材に応じる公明党の山口那津男代表=2020年4月7日午前、首相官邸、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

民意が流れた先

安倍内閣や自民党は、新型コロナウイルスをめぐる対応だけでなく、異例の定年延長を認めた東京高検の黒川弘務検事長の問題などで世論の支持を失ったとみられます。

しかし、その不満が、野党への支持につながっているとは言えない状況です。

日本維新の会は1月の支持率は1%でしたが、4月は3%、5月下旬は4%でした。コロナ対応で副代表の吉村洋文・大阪府知事のメディア出演が増えた効果と思われます。しかし、近畿以外の地域の支持率はいずれも1~3%にとどまっており、全国的な広がりは見られません。

新型コロナウイルス対策本部会議を終え、記者の質問に答える大阪府の吉村洋文知事=2020年5月5日午後、大阪府庁、金居達朗撮影
新型コロナウイルス対策本部会議を終え、記者の質問に答える大阪府の吉村洋文知事=2020年5月5日午後、大阪府庁、金居達朗撮影 出典: 朝日新聞

一方、野党第1党の立憲民主党の支持率は1月は7%でしたが、4月、5月下旬ともに5%。支持を拡大するどころか、低迷が続いています。

では、自民党から離れた民意はどこに流れているのかといえば、無党派層です。1~4月の調査ではいずれも49%と横ばいでしたが、5月下旬の調査では55%に増えました。勢いを失った自民支持層の倍近い最大勢力です。無党派層の安倍内閣支持率はもともと全体より低く、特に今回の調査では14%まで落ち込みました。

全都道府県で新型コロナの緊急事態宣言が解除されたとはいえ、終息の見通しは全く立っていません。戦後最大級とも言える危機が続く中、漂う民意をしっかり受け止められる政治が求められています。

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