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「整形、親にバレてた」 手紙で届いた母の思い、染みこんだ言葉は
「これからもみんなに愛されて、みんなを元気に幸福にできるあなたでありますように」

仕送りと一緒に届いた封筒
開くと、横書きの白い

「整形したこと、やっぱバレてたんだ」
気づかれるのは時間の問題だと思っていたので、そこまでは驚きませんでした。大きな整形手術をしてから1年以上が経っていて、3カ月に1回ほどのペースで母と会っていました。
その度に、母から「目大きくなった?」「顔がほっそりしたね」と言われ、「お化粧のやり方を変えた」「歯医者で矯正した」などとごまかしていました。あごや二重まぶたなど、メスを入れたのは10カ所以上。別人の顔立ちになったわけではありませんが、親なら気づいて当然だったのかもしれません。
数日前は、LINEで「もしかして整形したの?」と聞かれ、正直に答えられませんでした。その後、口げんかをして気まずくなってしまいました。
過保護で教育熱心な母 恋愛は禁止
物静かな父と、教育熱心で厳しい母の間に生まれました。
小学校では、放課後は毎日習い事で、週末は地元バレーボールチームの活動。中学では、テスト前の週末は10時間以上勉強し、学年成績は常に5位以内がノルマでした。恋愛なんてもってのほか。つらい時もありましたが、母に褒められたくて我慢していました。
ところが、地元の進学校の高校に進むと、授業についていけなくなりました。初めての彼氏との交際は、心配性な母に猛反対され、1カ月で別れることに。何でも口をはさむ母に反感を持つようになりました。
ずっとコンプレックスだった自分の顔
大学生になっても、母の過保護ぶりは相変わらずでした。耐えきれず、地元の町を離れて一人暮らしを始めました。
大学卒業後は地元で就職。社会人2年目の時、ずっとコンプレックスだった外見を変えたいと、初めての整形手術にのぞみました。目の下のたるみを取ったり、あごにヒアルロン酸を入れたりしました。
鏡に映る自分の顔は、前よりすっきりとしていて可愛く見えました。以来、ボーナスが入るたびに、メスを入れるようになりました。
生まれつき上下のあごや歯がずれているせいで、かみ合わせが合わない
東京の美容外科で、あごの骨を切ってつなげ直す大手術をしました。麻酔が切れた時の痛みは、一晩中眠れないほど。顔が腫れて、呼吸器がないと息さえできませんでした。
母の言葉 素直に受け取れないまま
手紙からは、母なりに整形のことを心配してくれていることが、伝わってきました。きちんと返事をしたいと思う一方で、「整形を完全には認めてくれないのかも」と、母の言葉を素直に受け止められませんでした。
LINEで「手紙読んだよ」とそっけなく伝え、手紙をクローゼットにしまいました。

母の日の前日 ふと読み返した手紙
手紙が届いてから3カ月ほど経った5月9日の明け方。前の晩からよく眠れず、スマートフォンに保存された写真をスクロールしていました。
前に撮ってあった手紙がふと目に入り、改めてじっくり読んでみました。今のままで十分――。母の言葉が心に染みこんできました。整形をしたい気持ちはまだ残っていましたが、思い直しました。母の言う通り、完璧を目指すと、きりがなかったのです。
「もう整形は十分。外見も大事だけど、それだけに固執せず、内面も磨いていきたい」
そう決意し、ツイッターに手紙の写真を投稿しました。
整形、親にバレてた。
— ばぶ🐄@整形垢 (@akachanmandeth) May 8, 2020
お母さんもかなり悩んだんだろうな。
親と喧嘩中だけどどうしたらいいのか葛藤。
一時の怒りや「どうせ理解して貰えない」という感情や妄想が先走って、本当はすごく恵まれてることに気付かない。
麻痺してる。しっかりしてよ自分。 pic.twitter.com/0lIkVgOpWl
昼過ぎに目を覚ますと、ツイッターの大量の通知に驚きました。13万近い「いいね」とともに、200件を超えるコメントが書き込まれていました。
<どんなに姿変わってもお母さんはあなたのことが大好きですね>
<仲直りできますように>
どんな時も支えてくれたお母さんへ
母との思い出がよみがえりました。
大学生の時、心配して一人暮らしの家に手作りのお弁当を届けに来てくれたこと。
舞台に立つ仕事への挑戦を、全力で応援すると言ってくれたこと。
そして、整形について納得できていなくても、否定はせず、少しずつ受け入れようとしていること。
たしかに過保護で、考えが合わないことは日常茶飯事。
それでも、誰よりも支えてくれたのは、母でした。
「お母さんにちゃんと、ありがとうの気持ちを伝えなきゃ」
偶然にも、翌日は母の日でした。慌ててスマホでショートムービーを作りました。
たった20秒間。幼稚園のころのツーショットや、母が作ったロールキャベツの写真、整形後に笑顔で働いている様子・・・。そして、メッセージを添えました。
「お母さんの、何でも応援するって言葉に支えられています。いつも、私のことを一番に考えてくれてありがとう。これからもよろしくね」
朝になると、母からLINEが来ました。いつもの、娘を気遣う言葉とともに。
<うれしくて泣いちゃった。ありがとう。ちゃんとご飯食べて体には気をつけてね>
