MENU CLOSE

連載

28534

#2 #おうちで本気出す

「コロナ太り」どう解消? 筋肉体操指導者に聞く家トレのポイント

「時代を変えていきましょう!」と谷本先生。

NHK『みんなで筋肉体操』を監修・指導する近畿大学准教授・谷本道哉さん。
NHK『みんなで筋肉体操』を監修・指導する近畿大学准教授・谷本道哉さん。 出典: NHK『みんなで筋肉体操』提供

目次

長く続く stay home 。SNSなどでは「太った」という投稿をよく目にするようになりました。体重は基本的に、摂取したエネルギーと消費したエネルギーのバランスに左右されるもの。運動量が減ってしまうと当然、太りやすくなります。

そんな「コロナ太り」を解消するには、どうすればいいのでしょうか。「 stay home 期間でも効果的なトレーニングは十分に可能」だとするNHK『みんなで筋肉体操』指導者・近畿大学准教授の谷本道哉さんに話を聞きました。
#おうちで本気出す

「 stay home 」=「外出禁止」ではない

――ほとんどのジムが休業し、「家トレ」が推奨されるようになりました。一方で、家でどんなトレーニングをするべきか、わからないという人も多そうです。

まず、誤解してほしくないのが、「 stay home 」は「人の集まるところに行かないように」であって、「外出禁止」ではないということです。ぜひ、家の外に出て、散歩やジョギングをどんどんしてください。それだけでコロナ太り解消の効果大です。外で動くと気持ちもよいですしね。他にも、例えば鉄棒など公園の器具を使ったトレーニングを取り入れるのもいいと思います。

なお現在、器具の使用が制限されている公園がたくさんありますが、みんなが「適切に使用する」ことで利用が再開される日が1日も早く来ることを願っています。
トレーニングの際は、基本的対処方針等諮問委員会の尾身茂委員長の言われる感染予防の「3つの基本」を守りましょう。「フィジカルディスタンス(2m以上)を保つ」「周りに人がいるならマスクなどを身に着ける」「帰宅後は手洗い・消毒を徹底する」です。

マスクは息苦しいこともあるので、フェイスカバーなどでも構いません。鉄棒など他の人も使う器具に触れる場合は、手袋をして、利用後に拭き取るか、自分の飛沫をつけないようにマスクなどをしましょう。もっとも簡潔で効果的な予防方法だと思います。「感染(うつ)さない・感染(うつ)らない」配慮は、運動に限らず必須ですよね。

ただし、遠くまで出かけると、もしもの場合に感染の拡大につながる恐れがあります。そこで私は「家と、家から半径1〜2km圏内」も含めたエリアでおこなう運動を「家トレ」と呼んでいます。

――具体的に、どんなトレーニングがおすすめですか。

エネルギーの消費量だけを考えるのであれば、散歩やジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。1時間以内を目安に、外を歩いたり、走ったりしてみましょう。

ウォーキングも、大股で腰を落としながらの歩き(ランジウォーク)を混ぜれば筋トレにもなります。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、これを見て「カッコ悪いな」と思う人の気持ちのほうがカッコ悪いと僕は思います。堂々とやってください。かつては腕をふるウォーキングでさえも、風変りに見えたじゃないですか。時代を変えていきましょう!

このとき、できるだけ人との距離を取る。近づいた人が予期せぬ動きをする可能性も踏まえて、3〜4mくらいは確保したほうがいいと思います。また、人が周りにいるときは、やはりマスクやフェイスカバーを着用することも必要です。フェイスカバーであれば、人に近づくときにさっと上げたり、いなくなったらまた下げたりもしやすいので。
 
また、筋トレなら家でできます。やり方次第ですが、しっかりおこなえば高い効果をあげられます。筋肉がつくとカッコいい体になるだけでなく、基礎代謝と呼ばれる運動時以外のエネルギー消費量が上がり、やせやすく太りにくくなります

ダンベルなどの器具が家にない人も多いと思いますので、まさに今は私がNHKの『みんなで筋肉体操』で指導してきた自重トレーニング(自重トレ)に取り組むときです。下半身の筋肉を鍛えるスクワット、上半身の腕立て伏せ、腹筋を鍛えるレッグレイズなどをおこなうといいでしょう。

なお、引く動作の種目は家ではおこないにくいので、公園での懸垂や斜め懸垂がおすすめです。何かしらぶら下がれるものがあるはずなので。もう一度、言いますが、近くの公園も含めての「家トレ」ですから。

筋肉体操の公式動画はYouTubeからなくなってしまいましたが、英語版は閲覧可能です。また、この状況を鑑みて、筋肉体操では負荷が高くて取り組めない人に向けた『筋肉わんぱく体操』『筋肉元気体操』『筋肉ココから体操』を考案し(順にレベルが下がります)、YouTubeにアップしています。ぜひ動画を確認しながら取り組んでみてください。
 

ジョギング・筋トレの注意点は

――ジョギングのフィジカルディスタンスについては「“後方”では5mでも不十分」といった内容のシミュレーション研究がSNSでも話題になりました。

この研究には、シミュレーションの方法が不明確である、科学論文の手続きを経ていない、などの問題が指摘されていますが、何より問題なのは「ジョギングをしている人の飛沫が5m以上とぶ」と誤解している人がいることです。

このシミュレーションで示しているのは、時速約14kmで走る場合、5m後方の人は前の人がいた場所を通過する1.3秒後の時点で、前の人の呼気が十分落下・拡散しておらず危険ではないか、ということです。5m後ろのランナーが前方の飛沫にとび込んでいくという話であって、ランナーの飛沫が5m後ろまでとんでいくわけではありません

危険回避の参考にはなりますが、それはあくまで「前のランナーの真後ろは危ないかもしれない」という話。この情報によって過度にジョギングをすることを避けたり、ランナーを怖がったりするのはまったくの誤解です。

――自宅でトレーニングをするときの注意点はありますか。

多くの人にとって自重トレは強度として十分ですが、本格的にジムで鍛えてきた人たちは、自重トレを「初級者向け」で強度が足りないと甘く見がちです。これは私自身かつてはそうでした。「100kgのベンチプレスでアップをする俺が腕立て伏せだと?」と思ってしまうんです。

でも、やり方次第で自重トレでも本格派の筋肉を存分に追い込むことは可能です。筋肉体操を監修して、自重トレを突き詰めて研究することで、それに気がつきました。

負荷を上げたいなら、ハイスピードでおこなったり、短い休憩時間をはさんでさらに追い込んだりと、さまざまなテクニックがあります。しかし、まず大事なのは、基本となるフォームでしっかりとおこなうことです。それだけでも格段に効果が変わります。みんな動きをごまかしすぎです。

胸が床につかない腕立て伏せは「腕立て伏せかけ」、浅いスクワットは「浅はかなスクワット」です。そんなごまかしたやり方では十分な成果は得られません。現在、「プッシュアップチャレンジ」がSNSで流行していますが、ムキムキマッチョのほとんどの人が「腕立て伏せかけ」をしています。自重トレを下に見ているのに、ちゃんとできてないんです。「初級者向け」と軽視せずに、しっかりやってみてください。

ジム休業でモチベーション低下、どうすれば?

――「ジム休業」でこれまでのようにトレーニングができず、困っているトレーニーも多いのではないでしょうか。

そうだと思います。本格的にトレーニングしていた方ほど、厳しい期間が続きますが、トレーニングだけでなくすべてにおいて、「しない我慢」よりも「できることを探して実行」という気持ちで取り組んでほしい

これまで自分をしっかり追い込んできた方々だからこそ、「ガマンは美徳」で思考停止しないでいただきたいのです。感染拡大のために必要なガマンはもちろんありますが、その中で何ができるのかを模索し、ぜひ、前向きの行動をしていただきたい。

筋トレについて言えば、筋肉を大きくするにはさまざまな刺激の与え方があります。ジムに行けない間は、自重トレでこれまでとは違う刺激を筋肉に与えるチャンスと思いましょう。

高負荷を上げる恍惚感はたしかに幸せなものですが(笑)、自重でもしっかり追い込み切れば、筋肉を激しくパンプ(乳酸などによる一時的な水膨れ状態)させることができます。

この悦びも味を覚えると病みつきになりますよ。今はそれをたっぷり味わいましょう。まさに筋肉体操のかけ声「この感覚が気持ちいい」「この感覚がたまらない」というやつですね(笑)。
『みんなで筋肉体操』の「新春スペシャル・豪華筋肉祭り」は2020年1月2・3日に二夜連続放送(23時20分~23時25分)。2日「新春スペシャル・豪華筋肉祭り サーキット」出演者の写真。
『みんなで筋肉体操』の「新春スペシャル・豪華筋肉祭り」は2020年1月2・3日に二夜連続放送(23時20分~23時25分)。2日「新春スペシャル・豪華筋肉祭り サーキット」出演者の写真。 出典: NHK『みんなで筋肉体操』提供
――この期間にさまざまな筋トレ動画をアップしています。どうしてでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための行動自粛が、「運動不足病」、つまり身体不活動(inactivity)による健康への被害を助長していることを憂慮しています。体力の低下もまた、死亡率やさまざまな疾患の罹患率を高めますから。特に高齢者のロコモ(ティブシンドローム)は深刻な問題です。

これを防ぐには、可能な範囲で外に出る、家の中で筋トレをすることが重要になる。そのために現在、他大学の研究者とも連携し、東北大学大学院医工学研究科の永富良一先生、同志社大学スポーツ健康科学部石井好二郎先生と、行動自粛下の体力低下対策の動画を作成、同志社大学スポーツ医科学研究センターのYouTubeチャンネルで公開しています。

中でも自重トレは「やろう」と思った1秒後にできる、取り組みやすいトレーニング。だから「やるか・すぐやるか」で、もちろんすぐやってほしい(笑)。いいセリフですよね。でも、実はこれ、かなり以前にネットで見かけた他人の「名言」なんです。元ネタの発案者に許可をとらなければいけないのですが……。すみません、時間が経ってしまって見つけられず、今のところ無許可で使わせていただいています。

そして始めたら、これは筋肉体操でおなじみの「がんばるか・超がんばるか」です。「必要は発明の母」と言いますから、この機会にぜひ、自分にとっての新境地を切り拓いてほしいと思います。
#おうちで本気出す
【#おうちで本気出す】
外出自粛による巣ごもりで、生活の中に変化が起こりにくい日々が続いています。そんなときでも、今まで知らなかった「ちょっとニッチ」な世界に出会うことで、新鮮な気持ちになれるかもしれません。withnewsでは家の中で楽しめる事柄の奥深さ、その道を究める「マニア」な人たちの情熱を伝えていきます。
 
CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます