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ロケできないなら視聴者に…「家つい」の開き直り 北欧からも参戦

出演者も自宅からの収録にのぞんでいる「家、ついて行ってイイですか?」=テレビ東京提供
出演者も自宅からの収録にのぞんでいる「家、ついて行ってイイですか?」=テレビ東京提供

目次

「番組の作り方」とも言える、撮影マニュアルを公開したテレビ東京系の人気番組「家、ついて行ってイイですか?」。6日の放送では、このマニュアルを使って撮影された視聴者投稿が紹介されます。「現場に番組スタッフがいないから描ける家族のリアル。フィンランドからも応募がありました。僕らでは撮れなかったような作品も多くありました」と高橋弘樹プロデューサー。3密(密閉・密集・密接)を避ける番組制作が続くなか、試行錯誤の取り組みで見えてきたものを聞きました。

番組が公開した撮影マニュアル=テレビ東京提供
番組が公開した撮影マニュアル=テレビ東京提供

視聴者投稿、大木さんや矢作さんからも好評

撮影マニュアル「おうちで『家、ついて行ってイイですか?』ごっこ」は、在宅生活の楽しみにしてもらうため、4月8日の放送後に番組HPで公開されました。書かれていることは、新しい撮影スタッフにも教える「基本の型」で、番組で培ったノウハウが詰まっています。

番組によると、4月末時点で寄せられた投稿は約20作品。高橋さんが驚いたのは、テロップやワイプといった映像編集が施された作品も多かったことでした。「構図の上手なVTRも多くて、動画ネイティブな人たちが増えているのを改めて感じました」

作品は、MCのビビる大木さんや矢作兼さんたちにも好評だったそうです。「ごっこなので、冒頭の『出会い』の場面はどうしても演技になりがちに。そこをゲストの八嶋智人さんと一緒にツッコんでいました。番組のコンテンツで視聴者が遊んでくれて、うれしそうでしたね」

自宅から収録に参加するMCの矢作兼さん=テレビ東京提供
自宅から収録に参加するMCの矢作兼さん=テレビ東京提供

オンラインで時間や空間の制約を解消

番組では、フィンランドからの動画も紹介されます。「首都ヘルシンキから、かなり離れた森の中に住む日本人女性が、ニュースを見て送ってくれました。人とあまり接しない場所に住んでいるので、自宅で楽しく過ごす工夫がたくさん。それをフィンランド人の夫が撮影しています」。動画で気になった部分は後日、オンラインで追加取材をしたそうです。

「街で偶然出会った人に声をかける番組なので、人里離れた場所にいる人とはなかなか出会えません。ましてや、フィンランドなんて、ロケをしたら結構な予算がかかります。それが、こういった形でコンテンツになった。3密を避ける制約がある一方、これまで感じていた人や時間、空間の制約はオンライン取材の活用などで取っ払えそうな手応えを感じています」

フィンランドからも番組への投稿があった=テレビ東京提供
フィンランドからも番組への投稿があった=テレビ東京提供

タレントがVTRを見る収録も、出演者やスタッフを含め、全員自宅からを徹底しています。「撮影機材を送って、自らセッティングをしてもらっています。一般の方の家でプライベートをのぞかせてもらう番組ですが、はからずも出演者さんの私生活も垣間見えて、とても面白いです」

「先日収録した片岡愛之助さんの家では、カメラの横で紀香さんがカレー作ってるよ、なんていう実況を愛之助さんがしてくれる場面もありました。家族の方たちには負担をかけていると思うのですが、自粛期間中はタレントさんと相談しながら、理解を得られた方たちと、この形でできればと思います」

撮影機材のセッティングをする八嶋智人さん=テレビ東京提供
撮影機材のセッティングをする八嶋智人さん=テレビ東京提供

ルールチェンジが起きた

高橋さんは、新型コロナウイルス感染拡大によるテレビ業界の変化を、「ルールチェンジが起きた」と表現します。小型の高性能ハンディーカメラが普及した時に、ディレクターのロケ番組が増えたように、今回は3密を避けた結果、リモート収録・取材という新たなスタイルが生まれました。

ただ、リモート企画を「ロケやスタジオ収録ができない」という言い訳だけで続けていたら、「視聴者の目は肥えているので、今は目新しくても、すぐに飽きられます」とも指摘。「だからこそ、制約の中で面白いものがどうしたら作れるかを、『プレイ』として日々考えて楽しむことにしています」

出演者以外にスタッフも、自宅からの収録にのぞんでいる「家、ついて行ってイイですか?」=テレビ東京提供
出演者以外にスタッフも、自宅からの収録にのぞんでいる「家、ついて行ってイイですか?」=テレビ東京提供

制約を武器に

高橋さんが「プレイ」として心がけているのが、「制約が武器になるルール」を見つけることです。その際によく用いる一つが、「受動を能動に言い換えるプレイ」だと言います。

「ロケに『行けない』ではなく、『行かない』と考えるんです。そうすると、『行かない』という積極的な選択で、得られるメリットってなんだっけ、という思考になります。ロケの場合だったら、『交通費』ですね。『行かない』でもできる取材方法を生み出せれば、交通費はタダです。たとえば、オンライン取材や、一般の方に「撮影スキルの肝」をお伝えして、ご自身で取材していただくなどです」

「そして次は、『交通費が浮くこと』がメリットとなるロケは何か、と考える。そこで『海外ロケ』のように、空間的に離れた場所にアプローチする企画が思い浮かぶわけです」

「『行かない』と考えることで、金銭的・空間的な制約がなくなるという武器に変わる。実際、6日の放送ではフィンランド、13日の放送ではアメリカと中国の家を見せてもらうVTRを放送します。こんなにバンバン海外ロケの映像を入れるなんて、うちの番組ではこれまでなかったです」

「家、ついて行ってイイですか?」の高橋弘樹プロデューサー=2018年12月、河原夏季撮影
「家、ついて行ってイイですか?」の高橋弘樹プロデューサー=2018年12月、河原夏季撮影

令和2年のリアルを切り取る

「もちろんプロの矜持として、僕らが現場に行かないと撮れないものはあると思っています。でも番組が始まってから7年、『家、ついて行ってイイですか?』はその時代のリアルを描くことにこだわってきました。だからこそ、安易に過去の再放送に頼るだけではなく、自宅からできる方法で、今の社会を描きたい。さらに言うなら、こうした状況でできる『描き方』を模索して、これまでとは異なる色々な種類のVTRが出てくる事、それ自体が令和2年のリアルを切り取ることになるんだと思っています」

「もちろん辛いことも多いですけど、外出自粛という国の要請に従いながら、というか従うことを『プレイとして楽しむ』くらいの思いを持ちながら、そのルール下で新しいチャレンジをしていく。そうすれば、番組スタッフが、自粛しながら仕事を続けられます。その結果が、貴重な記録になればうれしいです」

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