連載
画家になるために「教師」、踏み台にする自分にモヤモヤ…マンガで
新米くんのモヤモヤが消える日は来るのでしょうか…。

教職の道を勧められた新米くんは、浮かない顔



前回、人気画家の先生に、助手入りを直訴したものの、「お小遣いもあげる余裕なんてないんだからね」と断られてしまった新米くん。「生活の基盤を作らないといけない」と諭してくれた先生が今回提案したのは、教職の道でした。
先生は「正採用目指して臨時講師をしよう」「美術教師をしながら自分も制作している人は多いよ」と提案します。そして、「何より子どもから学ぶことは多い」とも。
「はい」と応じる新米くんですが、浮かない顔です。
「自分の目標のために教師をする。先生はぼくが考えていたことをそのまま言葉にしてくれて背中を教えてくれたはずなのに納得することができなかった」
どうして教師に?仲間が語った熱い思いの一方で


時は巻戻り、教育実習後の打ち上げの場面に。
実習仲間との会話のテーマは、「どうして教師になろうと思ったの?」。
「熱い部活の先生に人生を変えてもらい、あこがれた」「子どもたちが可愛いから」――。それぞれの思いを熱く語る仲間に対し、新米くんは笑顔で一言、「おれはお金のためかな」。
「こういう人たちが先生になるべきだ」


新米くんの「お金のため」発言で、実習仲間は沈黙。その後、「そんなわけないじゃん」と言わんばかりに「なんだよそれ~」とケタケタと笑います。
それにつられて新米くんも「じょーだんだよ~」と返しますが、心の内ではこうつぶやきます。
「働く理由なんて人それぞれに決まっている」
「自分のクソみたいな理由ももちろん本心だった。だけどこういう人たちが先生になるべきだと思ったし、自分は踏み込んではいけないと思った」
迷って悩んでばかりの新米くん
子どもの頃に言われた、「やりたいことを見つけろ」「夢を持て」――。それなのに、いざ大人になると、とたんに現実との兼ね合いで職業を選ぶ(選ばざるを得ない)人もたくさんいます。
そんな、「現実との兼ね合い」に戸惑う新米くんの胸の内が見え隠れする今回。この場面に込めた思いを、作者のしろやぎさんに聞きました。
新米くんは、「生きているときは評価されなくても死んでから価値が上がってスーパースターになってしまうような世界一の画家になる」という夢を持っています。
大学の先生と進路相談する中で、「正しく安定して生きる」という、新米くんが思い描く理想の作家像から離れた教職を勧められることに不満顔…の一方で、現実的にやるべきことを言ってもらえて安心していたりもします。
そして、実習仲間との打ち上げ。
達成感や希望に満ちた実習生仲間との会話に共感できないわけではないけど、「教師という職を保険にかけた自分」が、仲間にも子どもにも不誠実で気持ち悪く感じています。モヤモヤ。
「夢がある」と言いながら、人の言うことに左右されて突き進む度胸もない。
「お金のためだ」と言いながら、不誠実だからと言って逃げる理由を探している。
迷って悩んでばかりの新米くんの話です。
【次回予告】
教職へのモヤモヤした思いを抱きつつ、ひとまず現実に目を向けてフリーター生活を続ける新米くん。相変わらずモヤモヤは募り続けています。
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withnewsでは、しろやぎさんの「あなたそれでも教師ですか」を毎週日曜日に配信予定です。新米くん編に続き、男子くん編など、新米くんを軸とした教育現場を描いていく予定です。