連載
画家を目指した学生、晴れてフリーターに マンガで描く苦い現実
しろやぎ秋吾さんによる連載開始です。舞台は、学校。

春。希望が叶い、新たな一歩を踏み出す人もいれば、希望通りではない一歩を踏み出す人もいるかもしれません。インスタグラムを中心に作品を発表している、イラストレーターのしろやぎ秋吾さんが描く「新米くん」は、本当は絵描きとして生きていきたいけれど、食べていくために仕方なしと、希望とは違う職業に就きます。苦い現実を淡々と描きつつ、成長していく主人公の物語を描いたしろやぎさんに、思いを聞きました。
新米くんが土下座する先には



物語は「新米くん」の土下座から始まります。「お願いします!」と頭を下げる先は、「人気画家で大学教授で大きなアトリエを持っている」、優しげな顔にひげを蓄えたおじいさん。「どうしても画家になりたいんです!」と頼み込みますが、「お小遣いもあげる余裕なんてないんだからね」と断られてしまいます。
「うそだ!」と信じない新米くん。「こんなにまるまる太ってるくせに!」と、ちょっと失礼なところも憎めません。
「続けるには生活の基盤を」先生の教え



そんな新米くんに、人気画家の先生は「仮に、僕が売れっ子だったとしよう。そんな僕でも先生をしてお金を得なければならない」「続けるためにまずは生活の基盤をつくらなきゃいかんよ」と、新米くんを諭します。人気画家の先生の言葉は、暗に「実力があるだけでは食べていけない」という画家の厳しい現実を、学生の新米くんに伝えるものでした。
その言葉に、涙を流しながら耳を傾ける新米くんでしたが、桜が咲く季節、晴れてフリーターになりました。
「ほんとにダメなやつ」がどう変わるのか
主人公はその後、「一風変わった」美術教師になり、生徒との振り合いの中で様々な変化を経験していきます。作者のしろやぎさんに、この作品を描いたきっかけや込めた思いについて聞きました。
漫画の主人公は、「ほんとにダメなやつ」にしようと思いました。 ひねくれた考えを持ちつつ、特別な能力も資質もなく、まともに教育に向き合っていない、自分のことだけ考えている、不良でも極道でも無い――。
「高校生とそう年齢は変わらないくせに、何かわかった様な顔をしていて気に入らない」
「妙にハツラツとしていて気持ち悪い」
「そもそも、なんで教師になろうと思ったのか」
「人に何か教えられるほど立派な人間なんですか」と。
そんな主人公が他の先生や生徒との出会いでどのように変わり、成長していくのか気になって、描いてみようと思いました。
漫画はいろいろな教師視点、生徒視点で変わりながら短編で描いていきます。 部活動問題やいじめ問題などについても描いてみようと思います。
【次回予告】
フリーターになった「新米くん」。助手入りを断られた画家の先生からある提案を受けます。
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withnewsでは、しろやぎさんの「あなたそれでも教師ですか」を毎週日曜日に配信予定です。新米くん編に続き、男子くん編など、新米くんを軸とした教育現場を描いていく予定です。