連載
#22 ○○の世論
世論調査のコールセンター「中の人」知らない人と電話で話すコツ
魔法の言葉「ちなみに」「そうですよね」
世論調査って一体どうやっているのか。よく寄せられる疑問ですが、電話調査ではコールセンターのオペレーターが直接電話をして、対象者となった人に質問しています。知らない人と電話で話すことの難しさやそのコツを、オペレーターの人たちに聞いてみました。(朝日新聞記者・高橋肇一、植木映子、磯部佳孝)
朝日新聞がほぼ毎月行っている全国世論調査は、コンピューターで数字をランダムに組み合わせて作った電話番号に、電話をかける方法です。2016年からは固定電話に加えて携帯電話も対象にしました。調査は、朝日新聞が委託した民間調査会社のコールセンターで行っており、年齢や職業を聞く質問を含めて20問ほどを尋ねます。
調査の合間に取材に応じてくれた4人に、難しさや工夫などを語ってもらいました。
▽スーパーバイザー
成田さん…20代男性。アルバイトでオペレーターを3年経験し、そのまま入社。オペレーターを監督するスーパーバイザー歴3年
▽オペレーター
池上さん…50代女性。オレペーター歴3年半
光田さん…50代男性。オペレーター歴8年。スーパーバイザーに入ることも
飯田さん…40代女性。オペレーター歴2年
池上さん
成田さん
光田さん
成田さん
飯田さん
池上さん
池上さん
成田さん
池上さん
成田さん
光田さん
4人の話からは、世論調査の現場が人と人とのコミュニケーションの場だということが見えてきます。
ある時の調査で、池上さんが電話をすると、男性が出ました。一人暮らしだった男性は質問に答えつつ、ご自身の身の上話にまで話が脱線したそうです。それでも、池上さんは話を遮ることはしませんでした。結局、すべての回答を得るまでに30分ほど話し込んだそうです。
池上さんは世論調査について「人間と人間が話すので、本当の気持ちがわかってもらえる。とにかく丁寧に接すれば、努力は実る」と振り返ります。
飯田さんも、大切なことは「相手の気持ちに聞き耳を立てる」ことだと言います。
報道される時には数字でしかない世論調査ですが、その数字の裏には、世論調査の「中の人」ならではの会話術がありました。
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