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一気にユーザー6億人、中国のECサービス「拼多多」急成長の理由

「拼多多」のナスダック上場を記念したイベントで講演するCEOの黄崢氏=2018年7月26日、上海
「拼多多」のナスダック上場を記念したイベントで講演するCEOの黄崢氏=2018年7月26日、上海 出典: ロイター

目次

新型コロナウイルスによって、宅配サービスへのニーズが高まる中、「EC大国」である中国で、ベンチャー企業が立ち上げたサービスが急拡大しています。最大手のアリババグループに迫る勢いを見せる「拼多多」(ピンドゥオドゥオ)。成長の背景には、地方のユーザー重視やゲーム感覚の割引など、日本のECサービスのヒントとなる取り組みがありました。

「拼多多」のロゴとアプリのページ=2018年7月17日、北京
「拼多多」のロゴとアプリのページ=2018年7月17日、北京 出典:ロイター

利用者6億人に

「拼多多」は、上海尋夢信息技術有限公司が2015年9日に始めたECアプリです。

日本の楽天のような多くのECサービスと同様、「拼多多」というプラットフォームに個人や企業が出店しています。

2020年3月現在、「拼多多」の利用者は6億人を記録。前年同月比で2倍に増えました。月間アクティブユーザー(MAU)数の増加数は「アリババ」や「京東」よりも多く、GMV(Gross Merchandise Value=流通取引総額」も、10000億元(約1.6兆円)を超えました。GMVが10000億元になるまで、アリババは14年、京東は20年かかりましたが、「拼多多」は5年で達成しました。

「拼多多」アプリのダウンロードページ、ダウンロード数は73億に達した
「拼多多」アプリのダウンロードページ、ダウンロード数は73億に達した

農村部のユーザーに人気

「拼多多」の特徴は利用者の所在地です。

「アリババ」と「京東」の利用者は主に、北京、上海、成都、瀋陽など「一線」、「二線」と呼ばれる大都市に住んでいます。一方、「拼多多」の利用者は「三線」、「四線」と呼ばれる中小都市、さらに農村部に多いと言われています。

「拼多多」の急成長を支えたのは、「アリババ」や「京東」がすでに浸透していた大都市ではなく、中小都市や農村部の消費者だったのです。

大都市の消費者は、品物さえよければ、多少値段が高くても購入する傾向があります。逆に、中小都市や農村部の消費者は価格に敏感だと言われており、「拼多多」の強さも価格にあります。

「拼多多」のトップページには、セール商品が並び、10.02元(約160円)の子ども服のズボン、5.04元(約90円)の毛布、3.92元(約60円)のサツマイモなどなど、中国でも破格の安さで売られています。値段は小数点まで記載し、時間限定のセールもよく行われます。

商品単価の安さに加え、共同で購入することでさら価格が低くなるという仕組みも用意されています。「拼」(ピン)という漢字自体は、「共同、合わせる」という意味があります。

日中のEC業界に詳しいコンサルティング会社・中国市場戦略研究所(CMRC)上海法人の王健(ワン・ジェン)総経理は、「拼多多は革命児かつ革新者です」と評価します。

「中小都市や農村地域に力点を置き、元々オンラインショッピングの習慣がない人々の『消費のアップグレード』を促進させました。安い価格の商品をそろえることで、アプリを使った買い物を体験させ、さらに習慣化させ、成功への道筋を作りました 」

時間限定のセール商品。破格の安さが人気の理由。
時間限定のセール商品。破格の安さが人気の理由。

かつては「偽物が多い」イメージ

価格の安さには偽物や品質というリスクもあります。

「拼多多」も、一時期、「偽物が多い」、というイメージを持たれていました。たとえば中国の有名な洗剤ブランド「立白」のように見せかけて「立日」だったり、ハンドソープの「藍月亮」が「藍月壳」に、電気製品の「小米」(ショオミー)が「小米新品」に、携帯電話のVIVOは「VIVI」「VJVJ」になるなど、枚挙にいとまがありません。

そこで「拼多多」は漢字の形が似ている「并夕夕(「夕」が並んでいる)」や「拼爹爹(「お父さんで勝負する」」などのあだ名も得られました。

「拼多多」のオフィス内の風景=2018年7月25日、上海
「拼多多」のオフィス内の風景=2018年7月25日、上海 出典:ロイター

100億元の「補助金」

2018年7月に、「拼多多」はPDDというコードでアメリカのナスダックに上場しました。農村部の市場を獲得した「拼多多」は大都市の消費者を囲い込み、更なる発展を図るために、2019年夏に、「百億補貼」(100億元=約1600億円の買い物補助金を出す)という施策を打ち出しました。

この施策はアップル、ダイソン、格力(家電メーカー)、SKⅡなど有名ブランドをメインの対象としており、「拼多多」には偽物や質の低い商品が多いというイメージを払拭する狙いがありました。人気商品の価格競争で優位に立つことで、タオバオや京東のユーザーの利用を促したのです。

たとえばiPhoneⅩのような高額商品を「拼多多」で買うと、「拼多多」からの補助金が付くため、オフィシャルサイトよりも安く買うことができます。定価は変えず、実質、値引きを実現させたのが「百億補貼」でした。

「拼多多」のナスダック上場を記念して上海市で開催されたイベント=2018年7月26日、上海
「拼多多」のナスダック上場を記念して上海市で開催されたイベント=2018年7月26日、上海 出典:ロイター

農村から都市を包囲

補助金に加え、信頼感を高めるために、保険も導入しました。

中国の大手保険会社(中国人保財険、PICC)と連携し、万が一、消費者が偽物を買ったと「拼多多」が判断した場合、商品価格の10倍にあたる慰謝料を支払う制度を整えました。

最近では、コストパフォーマンスの良さと保険会社の保証によって、大都市の消費者も「拼多多」に乗り換える人が増えています。

2019年7月時点、「一線」都市で「拼多多」を使っている人の割合は11.22%に達し、「二線」大都市には31.7%に達しました。「二線」都市ではアリババを追いつき、さらに追い越そうとしています。

「拼多多」がアメリカのナスダックに上場した際の巨大看板=2018年7月26日、ニューヨーク
「拼多多」がアメリカのナスダックに上場した際の巨大看板=2018年7月26日、ニューヨーク 出典:ロイター

ゲーム感覚の割引

「拼多多」の急成長には、日本のECサービスにとってもヒントがありそうです。

中国市場戦略研究所(CMRC)上海法人の王総経理は、「拼多多」の特徴として、オフラインの店舗をそのままオンラインに移転するのではなく、まったく新しい形態を生みだそうとしている姿勢を挙げます。

「拼多多」は、中国版LINEの微信(wechat)グループ内で、『小程序』と呼ばれるミニプログラムを通して、商品の宣伝をします。『拼単(オーダー)』という友達と共同で購入すれば安くなる仕組みと、『砍価』という商品に対して複数のユーザーが値引き要請をすることによって値引きが実現されるといった機能など、ゲーム感覚をショッピングに導入しています」

こういった取り組みは、ネットのバナー広告より高い宣伝効果が期待できるそうです。値引きの機能を使うにはアプリが必要なため、ダウンロード数を増やすことにもつながります。

アリババと京東と比べれば、「拼多多」の決済システムや配達システムは弱いと言われていますが、その勢いは衰えを見せていません。

日本では新型コロナウイルスによって、家で過ごす人が増え、宅配サービスへの需要が高まっています。都市部から地方にECサービスの利用者が拡大する中、消費者への「補助金」や、品質保証、ゲーム感覚での割引など「拼多多」の取り組みは、日本の事業者にとってもヒントになりそうです。

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