連載
#18 ○○の世論
世論調査で見えた「おじいちゃん」の寂しい人間関係 老後の楽しみは
老後にお金をかけたい分野は――。朝日新聞の世論調査でこうした質問をしたところ、世代によって大きな違いが浮かび上がりました。「趣味やレジャー」と「子や孫との交流」、あなたならどちらを選びますか。(朝日新聞記者・君島浩)
全体では、「子や孫との交流」「趣味やレジャー」「旅行」の順でしたが、これを64歳以下の
人と65歳以上の高齢者に分類すると、傾向が変わりました。
64歳以下では「趣味やレジャー」が41%と最も多く、「旅行」が36%。「子や孫との交流」は3番目の35%でした。この世代の人たちは、自分たちが老後も活発に活動している姿を思い浮かべているようです。
若い人たちを年代別に詳しく見ていくと、30代は「趣味やレジャー」41%、「旅行」40%、「子や孫との交流」39%がトップ3で、ほぼ並びました。男性では「趣味やレジャー」が58%と跳ね上がり、女性では「グルメ」が20%と多めだったのが目立ちます。
18~29歳は「趣味やレジャー」48%、「旅行」42%、「子や孫との交流」31%でした。順番は30代と変わらないものの、それぞれの差は広がっています。女性は「旅行」が45%と多め。男性は「健康や美容」が17%と少なめでした。
一方、65歳以上では、「子や孫との交流」が46%で最多でした。やはり高齢者になると、実際に孫と遊ぶことを楽しみにしている人が多くなる印象です。そして、「健康や美容」が32%と2番目につけ、健康意識の高まりも感じさせます。「旅行」が25%、「趣味やレジャー」が24%と並び、「友人との交流」が21%と続きました。64歳以下で上位だった「趣味やレジャー」「旅行」はだんだんおっくうになってくるのでしょうか。
65歳以上を男女別に見ると、「子や孫との交流」は女性が50%であるのに対し、男性は42%。「友人との交流」は女性が25%で、男性は18%。女性の方が家族とのつきあいに熱を入れ、友達も多い様子がうかがえます。一方、男性は仕事を離れると、女性と比べて人付き合いを苦手に感じる人が多いのかもしれません。
記者は間もなく50代なかば。老後は、これまでかなえられなかった海外放浪などを夢見てきましたが、五十肩に悩まされるなど、体力の衰えも実感し始めただけに、この調査結果にはうなずけるものがありました。
まずはこれまであまり家庭を顧みなかった半生を反省し、20歳前後になった息子や娘たちに好かれずとも嫌われず、友人も増やせないまでも減らさないように、との思いを強くしたところです。
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