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#9 注目!TikTok

コロナウイルスで休校「やったね、楽しもう」賛否を呼んだ投稿の真意

全国一斉休校が要請されたその日、子どもたちに向けてTikTokで発信されたメッセージに反映されたのは、9年前の経験でした。

しんのすけさんの投稿はまず「やったね」から始まりますが…
しんのすけさんの投稿はまず「やったね」から始まりますが…

目次

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、「政府が全国の小中高校に一律の休校要請」との報道があった2月27日の夜、TikTokに投稿された約1分のメッセージ動画が話題です。29日現在、「いいね」の数が15万を超えたその投稿は、「いま学生のみんながすべきことは、いかに家で楽しく過ごすかを考えることです」というメッセージと、具体的な方法を伝えています。投稿には賛成反対、様々な意見がつきました。動画を投稿した、フリーの映像作家であるしんのすけさん(@deadnosuke)に思いを聞きました。
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続くメッセージはいたってまじめ

@deadnosuke

僕が思う全学生に伝えたい、3/2から全国の公立小中高学校が休校するニュースについてです! ##ニュース ##コロナウイルス ##コロナ ##学校 ##高校生活 ##tiktok教室 ##tiktok社会学教室 ##卒業 ##休校

♬ オリジナル楽曲 - しんのすけ@映画感想13万人突破!
しんのすけさんのメッセージは「小中高のみなさん、ぜひ聞いてください。やったね、俺が小中高生だったら裸で部屋で踊り狂ってますよ」から始まります。
うれしさが堪えきれない子どもの頃に戻ったかのように、ちょっとニヤッとしているしんのすけさん。

ただ、その後に続くメッセージはいたってまじめです。

「遊びのリモート、できている」

いま大人の世界ではリモートワークっていう、会社に行かずに家で仕事できる環境っていうのをやっていこうぜって動きが広まっているけど、全職種ができるわけじゃないです。
だけど、みんなの遊びや勉強はほぼネットでできます
しんのすけさんの投稿から

動画は、報道があったおよそ3時間後に投稿されました。

「『全国一律休校要請』の報道前に、大阪市の小中学校の休校報道があったんですよね。その時点で『大人のリモートワークよりも、子どもの方が遊びにおいてリモートできている』という考えがまとまっていたんです」

週に1回、関西の専門学校で映像について講義もしているしんのすけさんは、普段から学生に接していることもあり、その感覚には敏感です。

しんのすけさんの普段のTikTokの投稿は映画評が多いですが、今回はグッと対象を絞り、休校の影響を受ける小中高生をターゲットにしています。
「『大人らしくする』のがそもそも好きではなく、今回は学生寄りの目線で投稿をしてみようと思ったんです」

自分の可能性を広げるチャンス

これを機にフォートナイト始めたり、TikTok始めたり、Youtubeはじめたり、24時間ビデオ通話チャレンジとか、ネットフリックス登録するとか…。

こういう制限された環境の中で思わぬ自分のクリエイティブが発見されます
しんのすけさんの投稿から

しんのすけさんは、これまでの自分の経験を振り返っても「映画をベースとして、ゲーム、音楽、マンガで育ってきて、あらゆる価値観をそこから学んできた」と話します。

「いまは音楽を聴くのも、映画を観るのも、外に行かなくてもできる環境が出来上がっている。感染リスクの面でも、自宅でそれらができれば自衛できます」

「それに、映画やゲーム、マンガ、音楽などに触れることで自分を見つめ直すこともできるし、自分の可能性を見つけることもできます」

「家にこもって、そういうものに触れることは、自分の可能性を広げるチャンスでもあり、それがつまり『勉強』にもなってきます」

ゆるやかな震災感を感じていた

いま大人たちがツイッターでわーわー言っているのを見て変な影響受けるのだけは避けてほしい。ネガティブな意見は見過ぎると体によくないです。
人がたくさんいる場所になるべく行かないこと。スマホをフル活用して自分を楽しませてあげること
しんのすけさんの投稿から

「なんか、ゆるやかな震災感があるんですよね」

しんのすけさんが言う「震災感」とは、2011年の東日本大震災のころの雰囲気のことです。当時、しんのすけさんは大学生。同世代の中には、卒業式が中止になった人もいて、世の中の自粛ムードを身をもって感じていました。

「最近、あの頃に雰囲気が似てしまっている気がします。でも、自粛ムードが広がっていた2011年には(日本では)なかったネットフリックスや、当時なかった連絡手段もあり、家の中にいても過ごしやすくなっている。だから『震災感』を感じるものからちびっこたちを遠ざけつつ、エンタメに触れてほしいと思っているんです」

出典:しんのすけさんの投稿より

一つの提案として

投稿の再生回数が増え、しんのすけさんのメッセージに対して賛否両論含めたコメントも多くついています。

「当事者の気持ちになると、休校によって卒業式がなくなってしまった子たちは悲しいだろうと思う。だから『なに言ってんねん』という意見があってもいいと思う」

ただ、「一つの提案」としてのメッセージを伝えたかったというしんのすけさん。

「子どもたちが大人と一緒に自粛ムードになる必要はないし、2020年のネット環境でできることはたくさんあるんだと伝えたかった。反応を見ていると、それは伝わっているんだろうなと思います」

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