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#42 夜廻り猫

成人式、普通に行けなくてごめんなさい 夜廻り猫が描く「記念写真」

目次

成人式に出席しなかった女の子が、「写真だけでも」と勧めてくれた母を思いながら「普通に友達と行けなくてごめんなさい」と振り返ります。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「普通の幸せ」を描きました。

振り袖撮影 はしゃげなかったけど、10年後には…

今日も夜の街を夜周り中の猫の遠藤平蔵。カフェでひとりうつむく女の子に「おまいさん泣いておるな 心で?」と声をかけました。

女の子は、中学・高校といじめられていて、成人式に行きませんでした。「お母さんが心配して、写真だけでも撮ろうって」

メイクして髪の毛を結ってもらい、振り袖で写真を撮りますが、はしゃぐ気分になれません。
カメラマンの「お友達と撮る人も多いですよ」といった言葉に、昔を思い出して、だんだんと母の表情も暗くなっていきました。

「『普通に友達と成人式に行けなくてごめんなさい』って、お母さんに今は言えないけど 泣いちゃいそうで」と女の子はつぶやきます。

そんな女の子の様子に、子猫の重郎は何か言いたげにそっと寄り添います。

すると女の子は「10年後にはお母さんと笑って写真を見ていたいな 出来るかな……」とほほえみます。遠藤は力強く「出来る」とうなずくのでした。

楽しむ、楽しまない、楽しめない それぞれが「アリ」

作者の深谷さんが成人になったのは昭和57年。お盆の時期に開かれた成人式で、出席する人もそう多くなく、着物の人も少なかったといいます。

「『みんなと同じ』ことにはアンチなのが『普通』でした。楽しむ人、楽しまない人、楽しめない人、それぞれが『アリ』だったんです」

近頃の成人式は、多くの人が晴れ着を着て写真を撮るなど、大勢のにぎやかな様子がニュースで報じられます。
深谷さんはそのたび、「楽しめる人ばかりでなく、いろいろな人がいるだろうな、と思います」と話します。

「私は今も『それぞれがアリ』だと思っています。20歳の時に寂しかった人には、より素晴らしい未来がありますように」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞。単行本6巻(講談社)が2019年11月22日に発売された。

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