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椎名林檎、紅白リハ圧巻のパフォーマンス 激動の1年を振り返る
5年ぶりのニューアルバム・初のベストアルバムをリリースした椎名林檎さんが、今年も紅白へ。

昨年、デビュー20周年の節目を迎え、今年は5年ぶりのニューアルバムと自身初となるベストアルバムを発表した椎名さん。31日の本番に向けて、盛りだくさんだった1年を振り返ります。(朝日新聞デジタル編集部・朽木誠一郎)
SNSは毎年騒然、本人はいたって自然体

6年連続7回目の出場となる椎名さんのステージは、回を重ねるごとにさらに大きな話題を集めてきました。当時、世界的に評価されていたダンスユニット・AyaBambi(現在は事実上の解散)とのパフォーマンス。自身が結成し、人気絶頂で惜しまれつつ解散した東京事変の元メンバーたちによるバックバンド。さらには向井秀徳さんやトータス松本さん、宮本浩次さんという名だたるアーティストとの共演……。今年はどんなステージになるのか――記者席では否が応でも緊張感が高まります。
そんな雰囲気にあって、本人は極めて自然体でした。衣装で本番に臨んだ椎名さんは、舞台袖からスタッフと共にステージに入り、そのまま流れるようにセンターに。NHK側から大がかりな演出の説明がなされ、頷くと、スポットライトの向こう側は非常に落ち着いた雰囲気のまま、演奏が始まったのです。
デビュー20周年、作家としてのこだわり
“デビューした当時は、なまじっか、ルックスがいいシンガー・ソングライターと言われたら、もう絶対に自分のやっている本当のプロフェッショナルな仕事を聴いてもらえないと思っていたので、とにかく、かわいいとかきれいとか言われちゃいけない、と思っていました。プライドです。いかに色モノに見せるか。すごく強い主張があったし、譲りませんでした”“当時も今もですけど。自分の作品への誇りを汚されないために、そして、本当に理解しようとしてくださっている方を守るために。その思いはずっと変わらず、強いですね”
“大スターの方々にゲストとして来て歌っていただく。年下の人間がさせていただくには、キャリア上の説得力が必要なんです。自分がこういう仕事をして、こうしたら、『えっ?なんでそんなことあんたがやるの?』と言われない状態になるだろうな、と考えて歩んできました。畑を耕して、土壌を作ってからじゃないと、言い出すこともできない。今回やっと企画を持ち出せた、という段階です”
また、同アルバムのオープニングトラック『鶏と蛇と豚』のミュージックビデオには、AyaBambi解散後に活動を休止していたAya Satoさんが登場。相方としてともに活動していた仲万美さんも祝福するなど、ファンにはうれしい出来事もありました。
リハーサルで変化、聴く人の心を震わした歌

後者については、発表を記念して「轟音上映会」を開催。椎名さんの楽曲のミュージックビデオを多く手がける映像ディレクター・児玉裕一監督がゲスト登壇し、両者が息の合った様子で対談。これもまたファンを歓喜させたイベントとなりました。
それぞれのリリースに関連して、多くのメディアに露出するなど、ニュースの多かった椎名さん。来年は「東京2020総合チーム クリエーティブ・ディレクター」の大役が待っています。今年の紅白はそんな椎名さんの19年を締めくくり、20年へと弾みをつけるタイミングです。
落ち着いた雰囲気で始まったリハーサルのパフォーマンスは、たしかな精度で会場の熱を高めていきました。椎名さんらしい、観る者をアッと驚かせる演出を交えながら、後半へ。そしてここで、椎名さんに変化が。より力強く、その場にいた人たちの心を掴み、震わすような歌を届けてくれたのです。31日の本番で、何が起きるのか。日本を代表するアーティストのステージを、みなさんと一緒に見守りたいと思います。