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#4 クジラと私

ノルウェーの捕鯨船で「クジラ料理」食べてみた コックの皿には……

捕鯨船で出てきたノルウェーのクジラ料理
捕鯨船で出てきたノルウェーのクジラ料理

目次

クジラは硬くて臭い――。そんな印象を持っている人も多いのではないでしょうか。いや、私と同じ世代には一度も食べたことのない人が少なくないかもしれません。捕鯨とクジラを考えるなら、実際に食べておいしいかどうかを確かめることは欠かせません。捕鯨船で食べたノルウェーのクジラ料理。船内の食卓に広がったのは魅力的な「伝統料理」でした。(朝日新聞記者・初見翔)

クジラを追って

24時間体制のクジラ漁

私がノルウェーの捕鯨船「カトー号」に乗ったのは2週間。そのあいだは一度も港に寄らず、船員は寝泊まりや食事、シャワーや洗濯など生活の全てを船の上で済ませます。

食事は朝、昼、晩の1日3回。コックのルネ・ウトゥヴィクさん(47)が用意してくれました。ルネさんは食事の準備ができると電話で各船室に知らせ、船員はキッチンの隣にある食堂に三々五々集まって食事を済ませます。

北極圏は夏場、夜も太陽が沈まない白夜になります。そのためクジラ漁は24時間、昼も夜も関係なく続きます。多い日は1日5頭のクジラが捕れました。時差も加わって時間の感覚がなくなりそうになるなか、ルネさんの食事だけが生活のリズムをつくってくれました。(船酔いで食事をパスしてしまうことも多かったのですが……)

カトー号のキッチン
カトー号のキッチン 出典: 朝日新聞

「クジラ料理が見たい」出てきたのは……

船上で初めてクジラを食べたのは3日目の昼食でした。前日にルネさんに「クジラ料理が見たい」と頼んだところ、すぐに作ってくれることになったのです。

使うのは、1カ月ほど前にカトー号が捕ったというミンククジラの背肉。大きなブロック肉を薄くスライスして、トゲトゲのついたミートハンマーで両面をたたきます。こうすることで、加熱しても硬くならないといいます。

塩こしょうやスパイスで下味をつけたら、バターをひいたフライパンへ。両面に焦げ色がついたら茶色くクリーミーなソースが入った鍋に投入します。このソースはブラウンソースというノルウェーの伝統的なソースで、バターと小麦粉でつくったルーをブイヨンでのばしたものだそうです。軽く煮込んだら完成です。

できあがった料理は大皿で提供され、各自取り分けます。ノルウェーの主食はパンかジャガイモ。今回はゆでたジャガイモと一緒にいただきます。乗組員はこれを自分の皿で細かく崩してお米のようにクジラ料理と一緒に食べます。

肉は適度な歯ごたえを残し、うまみをしっかり感じます。独特の臭いはありますが、ソースとの相性が抜群。船酔いを忘れさせる味わいでした。

捕鯨船で調理中のクジラ。薄くスライスした肉をフライパンで焼く
捕鯨船で調理中のクジラ。薄くスライスした肉をフライパンで焼く 出典: 朝日新聞

多彩なレシピが意味するもの

聞いてみると、ノルウェーでは他にクジラ肉をシチューやハンバーグでも食べるそうです。

ハンバーグは前回の航海のときに作って冷凍してあったものを、同じソースで煮て食べさせてもらいました。タマネギなどを使わない鯨肉100%のハンバーグで、塩味も濃く、私ならもう少し違う作り方をするかな、という印象。シチューは船を降りる直前に作ってもらいましたが、こちらは細切れにした肉を使っていて、とてもおいしかったです。

ちなみにこの船でクジラ料理が出るのは1週間に一度くらいだそうです。ノルウェーのクジラ漁期は夏だけで、冬場は同じ船で他の魚の漁をしており、冷凍保存していたタラなどを食べることもよくありました。

クジラといえば刺し身か竜田揚げくらいしか思い浮かばない、それもほとんど食べたことがなかった私には、捕鯨船で食べた料理は新鮮でした。

おいしいクジラ料理からは、ノルウェーの捕鯨の歴史の長さを感じました。一説によるとノルウェーの捕鯨は9世紀には始まっていたそうです。私のようなクジラ初心者の日本人も、このような味付けなら受け入れられるかもしれません。

クジラを追って
 
【連載:クジラと私】クジラを食べられなくなったら困りますか?平成生まれの私はこれまで、「困らない」と思ってきました。でも、今その考えは変わりつつあります。この夏、ノルウェーの捕鯨船に乗った記者が、捕鯨をめぐるあれこれを発信していきます。次回はノルウェーのレストランや日本で食べたクジラ料理を紹介します。

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