連載
#31 #父親のモヤモヤ
男性の育休「歓迎できない」が4割 記者が何度も聞いた父親の訴え
育休取得を申し出た父親に、会社の人事責任者は「男性が育児する必要はない」と告げ、頭を下げて育休を取り職場復帰した後、上司は「謝罪する気持ちはないの?」と迫った――。父親の育休をめぐる実情を描いた記事が先日、Yahoo!ニュースで掲載されました。あわせて実施した「職場の男性の育休取得、歓迎できる?」という意識調査では、「歓迎できる」が5割で、「歓迎できない」は4割でした。父親の育休には、まだまだハードルがあるようです。(朝日新聞記者・高橋健次郎)
【平成のモヤモヤを書籍化!】
結婚、仕事、単身、子育て、食などをテーマに、「昭和」の慣習・制度と新たな価値観の狭間を生きる、平成時代の家族の姿を追ったシリーズ「平成家族」が書籍になりました。橋田寿賀子さんの特別インタビューも収録。
意識調査は、10月20日から30日まで実施され、1万801票の投票がありました。質問は3択。「歓迎できる」は48%(5188票)、「歓迎できない」は41.7%(4502票)、「わからない/どちらとも言えない」は10.3%(1111票)でした。
男性の育児休業取得率は、6.16%(2018年度)と低迷しています。
なぜでしょうか。厚生労働省が、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託した調査では、育休を希望しながら取得しなかった男性の理由(複数回答)が見えてきます。以下が上位二つです。
「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」 38.5%
「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」 33.7%
「人手不足」や「取得しづらい雰囲気」については、意識調査のコメント欄からも強くうかがえます。
「育休を取るか取らないかは本人の自由だが、歓迎するかしないかと言われれば歓迎は出来ない。男であれ女であれ、絶対数が減るだけだし」
「5人10人程度の小規模な会社だったらどうでしょう? ひとり抜けただけで仕事が回りませんよ」
育休を取得しづらい背景には、性別役割の意識も関係していそうです。
内閣府の16年度の調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方に賛成する人が約4割いました。「育児は母親がすべきだ」といった固定観念も根強いです。
「育休を取得しようとしたら『奥さんは、もっと休めないの?』と聞かれた」。父親のそうした訴えは、私自身、取材で何度も聞きました。
人手不足の原因としては、若い世代が減っているという人口構造の問題もありますが、景気も影響しており、状況は変化しています。一方、性別役割の意識は、大きな変化はなく推移しています。
コメント欄には、こうした意識変化の必要性を訴える声もありました。時間はかかっても、意識が変わらなければ、育休取得のハードルは残り続けるのでしょう。
記事に関する感想をお寄せください。母親を子育ての主体とみなす「母性神話」というキーワードでも、モヤモヤや体験を募ります。こうした「母性神話」は根強く残っていますが、「出産と母乳での授乳以外は父親もできる」といった考え方も、少しずつ広まってきました。みなさんはどう思いますか?
いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
1/31枚