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2019年10月17日

「イクメンがなくなる日」マンガ家があえて描いた「理想」の子育て


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小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典: コミチ

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10月19日は、「イクメンの日」。みなさんは「イクメン」という言葉にどんなイメージを持っていますか? 少しずつ男性が育児しやすい環境は整ってきていますが、この先はどうなっていくのでしょうか。漫画のSNSを運営するコミチとwithnewsがコラボし、「#ミライのイクメン」をテーマに作品を募集した企画。大賞に決まったのは、「イクメン」という言葉が使われなくなった未来を描いた、小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」です。あえて「理想の未来」を描いたという小柳さん。そこには作者自身が見てきた両親の姿がありました。

#父親のモヤモヤ
※この記事は朝日新聞・withnewsの企画「父親のモヤモヤ」と連動しています。クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

漫画「イクメンが変えたやわらかな世界」

漫画「イクメンが変えたやわらかな世界」の舞台はそう遠くない未来。小学生の主人公の目線で、「イクメン」という言葉が使われなくなった世界を描いています。

小学校からの帰り道、主人公の純一はいつものように父が働く会社を訪れます。父の同僚も慣れた様子で、「パパは?」と聞くと「今ミーティング中だよ」と教えてくれます。

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典:コミチ

会社には、純一と同じように学校帰りに立ち寄った女の子がいて、父の同僚たちも優しく接してくれます。父の仕事が終わるのを待つ間も、みんなが遊んでくれるので寂しくありません。そんな中、純一は父の言葉を思い出します。

「純ちゃんが生まれる前は、子育てに参加する父親のことを『イクメン』と言ったんだ。『イクメン』がみんなの働き方を変えてくれたんだよ」

作中では当たり前に運用されている育休やリモートワーク、社内の保育所は、育児をする男性の願いから実現したものでした。

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典:コミチ

それに、変化があったのは育児にまつわる制度や環境だけではありません。社内には「集中エリア」という個室スペースが設けられ、理由にかかわらず、在宅勤務も柔軟に選べます。子育てしていても、していなくても、「特別扱い」のない働きやすい環境が整えられていました。

父と一緒に帰路につく純一。夕食は外食にしようと相談をしています。ちょうど仕事が終わった母と合流するようです。「今日楽しかったか?」と父に聞かれ、漫画はこうしめくくられています。

「かいしゃに行くと パパがいてみんながいて たくさん遊んでくれるから 毎日たのしいんだ!」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典:コミチ

会社のコミュニティの中で育った小学校時代

「自分自身がこういう風に育ってきたんですよね」と語るのは、作者の小柳かおりさん。物語のベースにしたのは幼い頃の日常でした。

小柳さんの両親は、福岡でデザイン会社を経営しています。自宅近くに事務所を構えていましたが、広告業界の仕事は忙しく、帰宅が21時や22時になることも。そんな時、小学生の頃の小柳さんは、妹と一緒に学校帰りに事務所に向かい、両親の仕事が終わるのを待つのが日課だったといいます。

「今思えば迷惑だったかもしれないですが、職場の人にも結構遊んでもらいました。気付いたら会社のソファで寝てしまっていたことも、帰り道に家族で居酒屋でごはんを食べたことも、思い出のひとつです」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典:コミチ

中高生になり放課後は友だちと過ごすようになっても、時々事務所に立ち寄っていたそうです。当時はさほど意識していなかったといいますが、会社の大人たちに見守られながら育ち、父や母が働く姿も身近に感じてきたといいます。

「家族といえば、家でみんなで食卓を囲むイメージがあるかもしれませんが、さみしさはありませんでした。自分が大人になってから思うのは、働いている父や母はかっこよく見えたし、これが両親なりの子育てだったんじゃないかなと思います」

育児・介護にかかわらず、働きやすい社会に

小柳さんはコミチやTwitterで漫画を発信する傍ら、ITコンサルタントとして働く会社員でもあります。会社には子育てをする同僚が、男女問わず身近にいるといいます。「イクメン」や子育てをする男性については、どんなことを感じているのでしょうか。

「『イクメン』という名前で、子育てに注力したい男性が認知されたおかげで、10年ほど前と比べても、出産の立ち会いや子どもの急病などを理由に、男性が堂々と休みを申し出やすくなっていると感じています。当時よく耳にしていた『ワーママ(働く母親)』が定着したように、イクメンも当たり前のことになっていくのではないでしょうか」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

小柳かおりさんの「イクメンが変えたやわらかな世界」

出典:コミチ

そんな思いから、小柳さんは「イクメン」という言葉が使われなくなった未来を漫画に描きました。気をつけたのは、子育てに関わる人だけではなく、すべての人が働きやすい未来をイメージしたことです。

「現状、育児や介護を抱えている同僚がいて、仕事量を調整することになれば、『理由がない人』のところに仕事が回ってきます。そこは譲り合いなので仕方のないことですが、もしかしたら不平等と感じる人もいるかもしれません。それがなくなると本当はいいですよね」

だからこそ、作中では理由を問わず、誰にでも利用できる制度が登場します。「集中エリア」や在宅勤務など、働く場所や時間も柔軟に選べることで、「我慢や不満が溜まらない環境や文化があるといいなあと思います」。

理想「まずは語らないと」

「私の漫画は、理想にすぎないかもしれません」と話す小柳さん。自身が育ってきた環境は、自宅の近くに両親の事務所があったり、大きな規模ではなかったり、優しい人に囲まれていたり……。「実際のところは、こんなにうまくいかないかもしれない」とも語ります。

「だけど、まずは語らないと実現しないと思うんです」

例えば10年前、半年や1年の間、育児休業を取れた男性はどれくらいいたでしょうか。「イクメン」を取り巻く、会社の雰囲気はどうだったでしょうか。「まさに今は過渡期だと思う」としながらも、小柳さんは続けます。

「希望や理想を語り続けることで、10年先に変えられることがあるのではないでしょうか」

小柳さんはコミチやTwitterなどを中心に、今回の作品のようなやわらかなタッチでありつつ、考えさせられるマンガを発信しています。今後の作品にも目が離せません。

小柳さんのTwitter:@kaokaokaoriri



父親のモヤモヤ、お寄せください

 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。

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記事の感想や体験談を募ります。連絡先を明記のうえ、メールメール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

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